仮題「心なき身にもあわれは知られけり」(11)

2022-05-18 05:27:29 | 「第三次世界大戦前夜」

 仮題「心なき身にもあわれは知られけり」

 

             (11)


 ニーチェは、世界の底流を流れるのは「ニヒリズムの歴史」だ

と言い、たとえばキリスト教的二世界論(理想の世界と現実の世界)

は「ニヒリズムの歴史」からの救済にほかならないが、そもそも

形而上学(Meta=physics)思惟は世界を二元化して捉え、真の世

界から捉える現実の世界は仮象の世界に過ぎないので「ヒリズ

ム」に陥らざるを得ないと考えて、そこで、

「われわれはニヒリズムに陥らないために芸術を持っている」

とまで言う。つまり変化する《仮象の世界》を固定化した「真理」

によって捉えようとする形而上学的思惟、つまり《理性》は決して

変化する《存在の意味》を捉えることはできない。

                        (つづく)