「人はみんないつか死ぬ」
同居する高齢者が要介護4の寝たっきりになって、改めて人はみんな
いつかは死ぬんだと、「死」について考えさせられた。
思い通りにならない身体から、遂には思いまでも萎えてしまった病人にと
って回復の見込みのない延命のための処置は生きていることの歓びよりも、
思い通りにならない絶望の連続に違いない。これまでは如何に生きるべきか
を問われた私にしても、すでに残された余命の方が短くなって、間もなく如
何に死すべきかが問われようとしている。もしも、死ぬことが避けられない
のであれば、切に「安楽に死にたい」(松田道雄 著 岩波書店)と願うばか
りである。 紙パンツを股間に纏って介護ベットに横たわる同居人を眺めて
いると、問題なのは、どう生きるかではなく、どう死ぬかではないかとさえ
思えてくる。自栽した評論家の故 西部邁氏や生前から安楽死を訴えていた作
家の故橋田壽賀子さんたちのように、たぶん、これからは安楽死、いや尊厳
死を求める声がますます大きくなるに違いない。もちろん、本人の意思が大
前提であることは言を俟たないが、高齢化社会の死に方として安楽死を認め
てもいいのではないだろうか。