この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『よりよき人生』-平凡なタイトルだが、フランスだからこそできる映画

2013-04-14 22:35:45 | 最近見た映画

       【2013年4月6日】    京都みなみ会館

 学校給食の調理員をしているヤンはより条件のいい職場を求め就職活動をするが、経験者を求める経営者は、経歴だけを書面でみて門前払いをし、採用されない。
 たまたま職を求め訪れたレストランで、ウェイターをしていたナディアを食事に誘い懇意になる。ナディアは中東のレバノンから来た子持ちの移民者だった。ナディアの子、スリマンに父親はいなかった。
 
 ある日、3人でパリの郊外に遊びに出掛けた時、レストランにしたら流行りそうな廃墟のような物件を見つける。
 シェフとしての就職をやめ、自分で店を持つことをナディアに熱く語る。自己資金もないのに不動産会社に連絡し物件を抑え、銀行には強引に融資の話を持ちかける。必要な頭金は数社の消費者金融から融通してしまう。建物の手入・改装には、安く上げるため手抜き工事を業者に指示する。
 その結果、消防署の検査に【不合格】になって、開店できなくなる。

 収入の道を閉ざされ、残るのは高額な借金と高利な利息の支払いである。

      ○        ○       ○

 フランスのような、日本よりもずっと社会保障とセーフティーネットの行き届いた国でも、就職難と貧困の問題は避けられない様である。しかし、フランスやイタリアの映画を見て、いつも思うことは警察や司法や出入国官吏員など、権力の側に立つ人間や取り締まりにあたる人々が、日本よりずっと温かく感じることである。もちろん権力の一端を担っているのだから、それなりに厳しいことはあるのだが、杓子定規に人の顔を捨てて暴力で襲ってくるということは少ないと思う。
 警察官にも、労働する一人の人間としての権利や尊厳を与えている違いかなと思ったりする。
 一般市民もまた、外国人に対して寛容と思える。


 誰でも、『よりよき人生(Better Life)』を求める権利はある。


 京都では、まだ観光客の外国人しか目立たないけれど、企業の工場のある都市では、今後ますます外国人労働者が入ってくると思うが、日本でも、安く使うことだけでなく、どう受け入れていくのか、いかに共存していけるのか、-国内の貧困な派遣労働者や失業率の高さ、正規職員の過重労働などの問題とあわせ-考えていかなければならない時が来ている。





     『よりよき人生』-公式サイト







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