この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『SIGHT2016 老人が始めた戦争で死ぬのは若者』(奥田愛基、伊勢崎賢治)を読む(1)

2016-04-28 16:46:13 | 最近読んだ本・感想


      【 2016年4月28日 】


 インパクトある「老人が始めた戦争で死ぬのは若者」というサブタイトルに惹かれて買ってしまう。

 全部で8人が登場するが、読んでいてなかなか面白いというか、同じことを論じてもこれだけ見方が違ってくるのが興味深い。


      ○           ○            ○

 まずは、SEALD's 代表の奥田愛基。

         
 
 それまでの「反戦運動」や「平和運動」というと、爺さん婆さんに近づいた団塊世代(そういう自分もその仲間だが)の姿しか思い浮かばなかったが、ここにきてやっと(!)青年や若いお母さん世代の姿が見え始めてきて、頼もしい限りである。
 この本の今回のテーマにあるように老人が始めた戦争で死ぬのは若者なのに(おそらく団塊世代や国会議員たちが戦場に行くことは絶対にないのに)それにも拘らずどうして、その当人たちが涼しい顔でいられるのか、それが歯がゆかった。確かに、今の若者たちはテレビづけにされ、歪んだ情報を浴びせられ、大学は出てもろくな職業につけず、生活に追われ、一方一流企業に入っても仕事に忙殺され考える時間もなく、それどころではないという状況も一定は分かる。
 そうだとしても、通勤電車の中で、9割方の人が携帯の画面に見入り、ニュースを見るならまだしも、指をひっきりなしに動かしゲームに夢中になっている姿を見ると、ふがいないというか情けなくなってしまう。

 そんな中でのSAELDsの登場だ。《光明が差してきた》と感じると共に、何がきっかけで、どんなことを考えて行動しているのか興味深かった。

 奥田愛基さんがどんな人物なのかは全くと言っていいほど知らず、彼に関する記述もほとんど読んでいなかったから、不思議な存在だなと思っていた。唯一、いつかインターネットで佐高信の「学校教育に洗脳されなかった シールズ奥田愛基の野生」という記事を読んで、はじめて《なるほどそういう人なんだ》と理解した次第。

                『学校教育に洗脳されなかった シールズ奥田愛基の野生』の記事にジャンプ
 

 今回のこの記事で、佐高信のレポートから以後の情報が伝わって、面白く読んだが、5党を根気よく説得したなんて話を聞くと、ますます頼もしくなる。


     


      ○           ○            ○

 二人目は、《紛争屋》の異名をもつ伊勢賢治。

        

 
 伊勢賢治氏の著作で以前読んだものは「日本人は人を殺しに行くのか」2014年、朝日新書と「武装解除」2004年、講談社現代新書の2冊だけであるが、最初読んだときの印象は『日本にもこんな人が居たんだ!』という驚きだった。

 特に前者の本は、実際に現地で紛争解決に当たってきた当事者だから言える緊張感と実感を伴った見解であり、説得力もあり非常にわかりやすかった。それに比べると、この本での発言は、紙面が限られているせいもあるのかもしれないが、トーンダウンしたような感じもするし、解りにくいというか、問題をはぐらかしていると感じる部分もある。


 以下、主だった発言の要旨(部分)を抜粋すると、

 『他国に送られる自衛隊というのは、みんな国際法の世界で生きていかねばならない…』(P-82)

 『国連が初めて、自衛の戦争にも足かせをするために、「個別自衛権、集団的自衛権と、国連としての軍事行使、この3つ以外の武力行使はしてはいけない」というルールを作った。』(P-82)

 『日本は自らの好印象(美しき誤解)を壊し、敵にねらわれる口実を作ってしまっている。』(小泉政権のサマワへの自衛隊派遣や民主党政権のソマリアの海賊退治を口実としたジプチへの軍事基地の作成等を差している-P-84)

 『日本は海岸沿いに原発を並べている。・・・テロに狙われる脅威を論議したら、再稼働なんかできない・・。』(P-85) 

 『この国は敵を作らないことでしか守れない・・。』(p-87)

 『(日本では軍隊は殺人集団と思われているが、そうではなく)国際法に則り、合法的に認められた敵を合法的に殺す権利を有した集団を軍隊というわけです。』(P-88)

 『(借り物である憲法の)9条のおかげで戦争をしなかったというのはうそ?-と問いに対する回答(略)』(P-89〜90)

  (90ページから最終ページ(P-93)までは、要約が困難で直接読んだ方が誤解がないと思われるので割愛する。)

      


  海外に派遣された自衛隊員が仮に人を殺してしまった場合、政府はどう対応出来るか全く考えていないことや、「美しき誤解」の効用など前記の本を読んだ方がずっとわかりやすい。
 また「個別自衛権」と「集団的自衛権」、国連がとり行う「集団的安全保障」の関係が、この紙面からだけではしっかり把握できない。

 まっ、いろいろあるけど最後に言っていることは、1つの提案としては(小林節の主張と重なるところもあって)興味深いと感じた。


 最後に、今回の発言で一番インパクトがあったのは

 『3・11のような原発事故がテロによって起こされてもおかしくないと思います。』(P-93)だった。
   
  
         「日本人は人を殺しに行くのか(1)」へのマイブログへジャンプ

         「日本人は人を殺しに行くのか(2)」へのマイブログにジャンプ


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『アイヒマン・ショー歴史を... | トップ | 『「憲法改正」の真実』-護... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良か!! (tami_nero♪)
2016-04-28 20:18:11
奥田さんの野生の記事にも飛んできました。

心の中に力強い風が吹いてくるよう・・・
奥田さんに会いたくなる。

いいブログです(^_-)-☆
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

最近読んだ本・感想」カテゴリの最新記事