「Yakkoだより」

お菓子のこと、わんこのこと、おいしいもの、そして今日のハッピーを書き綴ります。

最近、書いた小説。

2012-04-17 16:35:18 | 今日のできごと
一番、最近書いた小説は、定年間近の中年サラリーマンの話。


窓際族(若い人は知らないかな?)そのままに、

仕事中、窓の外を見ていたら、

突風のような春風に、ワンピースの裾を煽られて、

まるで、マリリン・モンローのあの場面のようなことが起こるの。

その彼は、ちょっとドキッとするのね。


それから場面は変わって。

「ただいま」と、家に帰るのだけど、

「おかえり」と言ってくれる人はいない。

奥さんは、4年前にガンで亡くなっているの。

で、彼は、仏壇と写真に向かって、「ただいま」って言うの。


そして、その彼の日常を描写するのだけど、

わびしい中年男の一人暮らしだから、

殺伐として、拠り所のない寂しさを、日常で表現するの。

たとえば、ひとりで缶ビールを飲むシーンとか。


でね、彼は思うの。

何度も悔やんだことを。

それはね、奥さんの「胃が痛い」と胃薬ばかり飲んでいたことに対して、

ただ「病院に行ってきたら」と言うだけだったこと。

なぜ、無理やりにでも病院に連れていって、検査させなかったのかと。

もし、もっと早く病院に連れていってれば、

今頃、「おかえり」と、笑顔で迎えてくれていたかもしれない、と、

何度も繰り返し悔やむの。


そんな彼の日常(さしずめ、モノクロの世界)に、

春風で、ワンピースの裾を煽られた彼女の存在が、

カラーの世界に引っ張ってくれる。

という、ストーリー。


要約すれば、こんな内容だけど、

文章にすると、もっと複雑になるのだけどね。





今朝の新聞の死亡広告に、高校の後輩(男性)が出てたの。

私より、2歳年下。

時々、店に来てくれていたのよ。

奥さんと一緒だったり、娘さんと一緒だったり。

ところが、奥さんが亡くなって(ガンで)、

そのあと、すごく辛そうだった。

かける言葉もないくらい。

お菓子を買いに来てくれていたけど、本当は、ただしゃべりたかっただけじゃないかと思うの。

お菓子を選んで、会計って時に、私が、「お金はいいよ。わたしからのプレゼント」と、

何度、言ったかな。

「ありがとう、また来るね」って、笑顔を振り絞っていたのにね。

娘さんにも、「お父さんのこと、頼むね」なんて、言ったっけ。

新聞には「病気療養中・・」と書いてあったから、

体を壊していたのだと、今朝、知りました。

最後に会った時は、そんな話はしていなくて、

娘さんと、お菓子を買いに来てくれたのだけど。

あれが、最後になってしまった。

「また来るね」が、叶わぬ約束になってしまった。





今日、死亡広告を見た時、最近書いた小説を思い出したの。

私が書いた主人公は、カラーの世界に戻るんだけど(恋愛にはならないけど)、

後輩は、戻らなかった。

小説は、夢のようなハッピーエンドもできるけど、

現実は、そうはいかない。

できるなら、すごく現実的なものを書きたいけど、

リアルは、あまりに悲しい。

せめて、物語の中は、小さな光が欲しいよね。


では、明日もキラキラで。