先週の中学生国語道場クラスでは、中高生新聞で紹介されていたこちらの本をご紹介しました。
作家の西加奈子さんは、家族でカナダに移住していたときに、乳がんに罹患していることが判明しました。コロナ禍の最中、西さんはカナダで乳がんの治療を行うことになります。こちらの本には、西さんの病が発覚したときから寛解までが記録されています。
この本に登場するカナダ人医師や看護師は、全員関西弁!
そのため、生死を考えざるを得ない瀬戸際のような状況が続く重い場面でも、温かさや本音で話しているような雰囲気が伝わってきます。
そして、がん患者という立場に置かれた西さんが、「弱い立場になった自分」、「老い」、「コロナをきっかけに分断が進んだ社会」、「自分がどう思うかよりも他者からどう思われるかを気にする女性が多い日本社会」などについて考察されているのも、非常に興味深いです。
西さんのがんは寛解するのですが、それは彼女が以前のように戻ったことを意味するわけではありません。一度、生死と真剣に向き合った人は、生き方、考え方を大きく変えるのです。彼女だけではなく、多くのがんサバイバーたちの変化についても書かれています。
この本は、がん患者やがんサバイバーの方はもちろんですが、一度きりしかない人生を生きている全ての人に刺さる言葉にあふれています。第5章では、突然の銃撃で命を落とした人々の記録も、随所に差し込まれています。
私は西さんとほぼ同年齢なので、生きてきた時代が同じこともあり、共感しながら読みました。
自分の弱さも受け止めて、それでも前進し続けることの大切さ。
当たり前の日常の素晴らしさ。
自分軸で生きること。
何気なく毎日を過ごしていると忘れてしまいがちな、当たり前だけれど、本当に大切なことに気づかせてくれる1冊です。
塾に置いてありますので、気になる方はどうぞお手に取ってみてください。
ちなみに、私自身が中3のときに読書感想文を書いたのは、こちらの本でした。
著者であるジャーナリストの千葉敦子さんは41歳で乳がんを発病し、3年目に再発。けれども、意志を曲げずに渡米します。
命の長さに限りがあるなら、やりたいことを実現しようと考えた彼女。
「書けなくなるまで、仕事を続け、人生を楽しむつもり」という彼女の生き方は、当時の私に大きな影響を与え、その後の私の人生の選択にも大きく影響していたと思います。
読書感想文の書き方を知らなかった当時の私は、本を読んで感じた自分の熱い思いの丈をぶつけるように書いてしまったので「賞」とは無縁でしたが、この本を読むことで、「賞」以上の大きなものをいただけたと思っています。
本には人生を変える力があると信じて、今、私は生徒さんたちに本を薦めています。
にほんブログ村 ←いつも読んでくださりありがとうございます!ランキングに参加しています。クリックしていただけると嬉しいです!