読み聞かせ日記@矢野学習教室(千葉県山武市)

矢野学習教室で読んだ本をご紹介。塾の日記も。

『窓ぎわのトットちゃん』(中学生に紹介した本)

2024年03月20日 | じ~んと感動本
3月第2週の中学生国語クラスでは、映画化されたこちらの本をご紹介しました。
 こちらは、第2次世界大戦が終わる少し前まで、実際に東京にあった小学校とそこに本当に通っていた女の子のことを書いたお話です。
トットちゃんという、その女の子は、現在もご活躍の黒柳徹子さん。

入学した小学校で、授業中に机のふたを100回くらい開けたり閉めたりしたり、教室の窓のところに立っていたり…
そんなこんなで小学1年生で、小学校を退学になってしまったトットちゃん。彼女が通い始めた2つ目の小学校は、電車の車両が教室になっている、「トモエ学園」という学校でした。
1年生は、全員で9人。
愛にあふれた大人たちに見守られ、自由なトモエ学園でトットちゃんは友達と一緒に色々な体験をしていきます。

トモエ学園の生徒たちは、個性派ぞろい。
実験ばかりしている泰ちゃん、小児まひの泰明ちゃん、身長がうんと低い高橋くん…みんな色々な個性を持っていますが、トモエ学園ではそれぞれの良さをうまく生かして、子供たちが自信を持てるように育てていきます。

トモエ学園を作られた小林宗作先生の教育方針は、
「どんな子も、生まれたときにはいい性質を持っている。それが大きくなる間に、いろいろなまわりの環境とか大人たちの影響で、スポイルされてしまう。だから、早くこの『いい性質』を見つけて、それをのばしていき、個性のある人間にしていこう」というものです。

私も息子二人を育てましたが、この考えには大賛成です。
同じ両親から生まれた二人の息子たちですが、才能の方向性は全く違います。親の得意分野とも全然違うのが面白いところです。

お子さんは、一人一人「才能の種」とでもいうべきものを持っていると思っています。周りに言われなくても勝手にやり始めて没頭していることや、少しの練習であっという間に上達していくもの、驚くほどの優しさやコミュニケーション能力など、何かあるのではないでしょうか。
私どもは塾の先生として学校の勉強という狭い範囲でのお手伝いしかできませんが、お子さまをよく観察して「才能の種」を見つけ、そこを伸ばしていくのが、子育ての醍醐味ではないかと思います。

さて、「窓ぎわのトットちゃん」の話に戻りますが…
実はこちらの本は、小学生だった私の愛読書でした。
お話の中にシェパードのロッキーが登場しますが、私の実家でもシェパードを飼っていて、ロッキーと名付けていました。シェパードなので身体は大きいですが、賢く優しくて、少し気の弱い犬だったことを思い出します。
今読み返すと、小学生だった頃には気づかなかった、大人の深い愛情や教育に対する思いが伝わってきます。時間をおいて再読すると、新たな発見がたくさんありますね!

多様性が叫ばれるようになった昨今、そして、戦争の影が忍び寄ってくる様子…。今こそ、多くの人たちに改めてこちらの本を読んでいただきたいと思います。
塾にも置いてありますので、ご興味のある方はぜひ!
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『くもをさがす』(中学生に紹介した本)

2023年06月12日 | じ~んと感動本
先週の中学生国語道場クラスでは、中高生新聞で紹介されていたこちらの本をご紹介しました。
作家の西加奈子さんは、家族でカナダに移住していたときに、乳がんに罹患していることが判明しました。コロナ禍の最中、西さんはカナダで乳がんの治療を行うことになります。こちらの本には、西さんの病が発覚したときから寛解までが記録されています。

この本に登場するカナダ人医師や看護師は、全員関西弁!
そのため、生死を考えざるを得ない瀬戸際のような状況が続く重い場面でも、温かさや本音で話しているような雰囲気が伝わってきます。

そして、がん患者という立場に置かれた西さんが、「弱い立場になった自分」、「老い」、「コロナをきっかけに分断が進んだ社会」、「自分がどう思うかよりも他者からどう思われるかを気にする女性が多い日本社会」などについて考察されているのも、非常に興味深いです。

西さんのがんは寛解するのですが、それは彼女が以前のように戻ったことを意味するわけではありません。一度、生死と真剣に向き合った人は、生き方、考え方を大きく変えるのです。彼女だけではなく、多くのがんサバイバーたちの変化についても書かれています。

この本は、がん患者やがんサバイバーの方はもちろんですが、一度きりしかない人生を生きている全ての人に刺さる言葉にあふれています。第5章では、突然の銃撃で命を落とした人々の記録も、随所に差し込まれています。

私は西さんとほぼ同年齢なので、生きてきた時代が同じこともあり、共感しながら読みました。

自分の弱さも受け止めて、それでも前進し続けることの大切さ。
当たり前の日常の素晴らしさ。
自分軸で生きること。

何気なく毎日を過ごしていると忘れてしまいがちな、当たり前だけれど、本当に大切なことに気づかせてくれる1冊です。

塾に置いてありますので、気になる方はどうぞお手に取ってみてください。

ちなみに、私自身が中3のときに読書感想文を書いたのは、こちらの本でした。
 著者であるジャーナリストの千葉敦子さんは41歳で乳がんを発病し、3年目に再発。けれども、意志を曲げずに渡米します。
命の長さに限りがあるなら、やりたいことを実現しようと考えた彼女。
「書けなくなるまで、仕事を続け、人生を楽しむつもり」という彼女の生き方は、当時の私に大きな影響を与え、その後の私の人生の選択にも大きく影響していたと思います。

読書感想文の書き方を知らなかった当時の私は、本を読んで感じた自分の熱い思いの丈をぶつけるように書いてしまったので「賞」とは無縁でしたが、この本を読むことで、「賞」以上の大きなものをいただけたと思っています。

本には人生を変える力があると信じて、今、私は生徒さんたちに本を薦めています。
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『よぶこどり』(小4に読んだ本)

2023年05月23日 | じ~んと感動本
先週の小学生国語クラスでは、こちらの本を読みました。
 ある山の畑のやぶに、一匹のりすが住んでいました。
りすはひとりでした。
ある日、りすは畑に白いものが落ちているのを見つけます。
それは、1つのまるいたまごでした。
りすは、喜んで毎日それを抱いていました。日数がたち、1羽のひながかえりました。
りすは、おいしい餌をやったり、子守唄を歌ったりして、ひなを愛情深く育てます。そのうち、ひなは大きくなり…

クラスでは、生徒さんが「音読したい」というので、読んでもらいました。
途中までは良かったのですが、後半の展開には、私の方が胸を打たれてしまい涙が…。
自分で読んでいると、読むことに集中できるので意外と感情移入しすぎずにすむのですが、お子さんの声で読まれると……油断しておりました。(それだけ、お子さんの音読が良かったということです。)

このお話は、子どもよりも、むしろ大人の方が深く響くかもしれません。

浜田廣介さんのお話といえば、この名作も是非!
 

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『きつねのきんた』(小4に読んだ本)

2023年05月15日 | じ~んと感動本
先週の小学生国語クラスでは、こちらの本を読みました。
 きつねのきんたは、あおい山のふもとで生まれました。
お母さん、お父さん、お兄さんは、人間に殺されてしまいましたが、きんただけはくまのげんちゃんのお父さんの洞穴に逃げ込んで助かったのです。
きんたは、山のみんなの愛情を受けてすくすく育っていました。
ところが、ある日、山のみんなが遊ぼうとしていたときに、ふいにがらがらと地面が砕け、木が倒れ…

「家族の愛情」「自然の大切さ」など、言葉で書くと簡単ですが、それを心で受け止めることは、大人になってもなかなか難しいものです。
このお話を読むと、物語の持つ力をひしひしと感じさせられます。
是非、親子で読んでいただきたい1冊です。

生徒さんも、神妙な面持ちで聞いていました。

ちなみに、作者のかこさとしさんは、こちらの絵本で日本中の子どもたちにおなじみの方です。他にもたくさんの作品を書かれていますので、お気に入りの絵本を探してみてください。
 

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『さんしょっ子』(小3に読んだ本)

2023年03月18日 | じ~んと感動本
先週の小3国語クラスでは、こちらの本を読みました。
 さんしょっ子は、山椒の木の中に住んでいる女の子。
その山椒の木は、貧しいお百姓の畑の真ん中に生えていました。
邪魔なので、その木を切ろうとするお百姓の夫婦でしたが、そこの娘のすずなは、山椒の木を切ることをいつも止めるのでした。
その山椒の木の下は、すずなと茶店の三太郎の遊び場でした。
ままごとなどをして、仲良く遊んでいた二人ですが、やがて大人になり…


さんしょっ子は、「山椒の精」のようなものでしょうか。
三太郎のすずなに対する思い、さんしょっ子の三太郎に対する思い…
短いお話ですが、人生において必ず訪れる変化や別れ、そして愛について考えさせられます。
誰も悪くないのですが、3人の気持ちを考えると本当に切なくなります。

生徒さんも色々と考えながら聞いてくれたようで、読み聞かせ後、感想を聞かせてくれました。
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