ルクノス ~ともし火~

日本聖公会 北関東教区 宇都宮聖ヨハネ教会のブログです。

聖霊降臨後 第13主日

2006年09月04日 | ショートメッセージ
今日の聖書箇所(マルコによる福音書 7:1-8, 14-15, 21-23)における
イエス様の言葉は、厳格なユダヤ教の律法主義者であった
ファリサイ派への痛烈な批判です。

当時のユダヤ教には、けがれを清めるための細かい規定や習慣がり、
手や体を洗うのもそのひとつでした。
7章の前半では、食事前に手を洗わなかった人が、ファリサイ派に非難されます。

今でもイスラエルでは、乾期には雨がほとんど降りません。
荒れ野で野宿していた羊飼いや、畑仕事に精を出す農民にとって、
貴重な水で毎度手を洗うのは大変なことだったし、
現実のそれを守っている余裕はありませんでした。
苦しい生活の中で、本当に救いを必要としている人たちが、
ただ、手を洗わないという理由で排除される。
イエス様には、そういったことは我慢ならなかったのでしょう。

本当の「汚れ」とは何でしょうか。
イエス様は、「食べたものは、腹に入って便所へ出て行く。それだけだ。
食べるものに清いも汚れもない」と、断言します。

「便所」というと、やけにストレートな表現だと思われるかもしれませんが、
本来の意味はそのように訳されるべきであると、
桃山学院大学の滝沢先生も言われています。(「人間イエス」より)
「外に出る」と訳している新共同訳の聖書の法は、
むしろ、意訳しすぎて意味がぼやけてしまっているように思われます。
本当に人を汚すものは何か。
それは、私たち、人の内側から出るものであるとイエス様はおっしゃるのです。

執事 マタイ金山昭夫 《2006.9.3 週報より》