芭蕉七部集のなかの「猿蓑」。その中の「夏の月」と呼ばれる巻。
これは発句(連句の最初の句)で、凡兆の作。
江戸時代の町の様子が、「月」と「におい」で感覚的に表現されています。
ああ、夏がなつかしい……
これも、凡兆の作。七句目。
カエルのびっくりしたようなまんまるの目が、目にみえるよう。
これは芭蕉の句。「しはぶる」は「しゃぶる」の意。
「老」の姿ですね。
凡兆の「能登の七尾の冬は住みうき」につけた句。
七尾は今頃さむいでしょうね。
とっても寒い能登の冬。ああ、辛いといいながら、老人は魚の骨をしゃぶっている……
それを「悲惨」とはみずに、一種の「風流」と捉えるのが
俳諧の精神ということでしょうか。
これも芭蕉の句。
「夏の月の巻」の「挙げ句」(連句の最後の句のこと)の一句前の句です。
「挙げ句」は去来の「かすみうごかぬ昼のねむたさ」。
桜の花の下で、ぼんやりしながら手のひらをみているとシラミがはっている。
春風もぴたりとやんで、眠たくなる春の昼。
ああ、なんというのどかさ、てなところでしょうか。
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5年ほどまえに、何となく書いてみたものです。
こうやって筆で書いていると、
ただ活字で読んでいるいるより、何だか深く味わえるような気がします。