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一日一書 94 いろは歌〈越智麗川〉

2013-05-18 22:15:37 | 一日一書

 

いろは歌

 

越智麗川

 

全紙2枚 135×140cm


 

いろはにほへとちるぬるを

 

これほど単純で、奥の深い歌もありません。

それだけに、また表現としては難しい。

今年の「TOKYO 書 2013 公募団体の今」出品の

我が師匠の渾身の作。

 

こちらに師匠の自作解説があります。

ご覧ください。

 


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100のエッセイ・第9期・27 共感

2013-05-18 07:14:19 | 100のエッセイ・第9期

27 共感 

2013.5.18

 



 「じぇじぇじぇ!」が大流行し始めている、という話を中1の授業でしたところ、クラスに2~3人は、「あ! あまちゃんだ!」と叫んだが、ほとんどの生徒は知らなかった。朝ドラは、中学生は見ないのだろう。大人の間でまず流行するというのも珍しいことではなかろうか。


 最近も、ぼくに来たメールの2通に、「じぇじぇじぇ!」が使われていた。そんな流行の先端の言葉を使いそうもない人たちだったので、びっくりしてしまったが、それだけ使いやすいというか、使ってみたくなるというか、なかなか魅力的な言葉だ。


 先日の朝日新聞によると、この言葉は北三陸の方の海女の一部が昔使っていたことがあるそうだが、今はほとんど使われていないということで、その言葉を知ったクドカンがドラマに使って見事に復活させたということだろう。


 こんなふうに、言葉というのはね、自然に地面から生えてくるものではなくて、必ず「言い出しっぺ」がいるんだよね。これは考えてみるとすごいことだと思わないか? だって、「石」っていう言葉だって、大昔の日本人の祖先みたいな人たちの誰かが「イシ」って言ったわけだろ。道に転がっている堅くて丸くてちょっとやそっとじゃ動かない物体を見て、見ず知らずの100人が、同時に声をそろえて「イシ」って言ったわけじゃないよね。だれかが「イシ」って言って、それ、いいんじゃん、ってことになって、次から次へと使われ、それが今でも使われているというわけだ。でも、「それ、いいんじゃん。」って誰もおもわずに、「なにそれ」って無視されればその言葉は死んでしまう。つまり「共感」が必要だってこと。「じぇじぇじぇ!」は、まさに共感を呼んだというわけだね。同じ共感でも、大昔はテレビなんてなかったから、共感の輪がジワジワ広がっていったんだろうけど、今は、もう一瞬で全国区だからね。すごいもんだ。


 なんて話しながら、そういえば、ぼくらが若かったころ、この「じぇじぇじぇ!」に当たる言葉は何だったのだろうと思って、ふと、そうだ、昔は「ギョギョギョ!」って言ってたなあ、知ってる? って言ったら、生徒は「あ、さかなクンだ!」って言った。


 そうか、さかなクンは、死んでいた「ギョギョギョ!」を復活させてくれたのか。まあ、彼の中では「魚、魚、魚!」なんだろうけど。そしてそのことがネックになって、「ギョギョギョ!」はさかなクンの専用語にとどまって、ちっとも広がらないのだろう。


 家に帰って家内に、昔、「ギョ!」とか「ギョギョギョ!」とか、ずいぶん言ったよねえ、と聞いたら、そんなの知らないって言われてしまった。翌日今度は学校で、同い年の教師に聞いたら、やっぱり、使わなかったなあと言う。じゃあ、「ギョギョギョ!」は極めて地域限定的だったのだろうか。さかなクンは、「魚」の音を使って独自に「ギョギョギョ!」を「発明」したのだろうか。いやいや言ったよなあ。


 それはそうと、中1の生徒諸君の間では、もうすでに「じぇじぇじぇ!」が大流行してしまっている。さあ、今日は漢字の小テストだ。「じぇじぇじぇ!」中間体操(上半身裸で毎日やるラジオ体操のこと)だ。「じぇじぇじぇ!」何を言っても「じぇじぇじぇ!」


 もうどうしようもない。共感を呼びすぎである。


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