百田宗治
どこかで春が
半紙
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作者の百田宗治(1893〜1955)といえば、いわゆる「民衆詩派」の詩人として有名で、それだけに歌詞は平明で、感傷を排してどこまでも健康的ですね。1932年ごろから児童自由詩や作文教育の指導に力を入れたそうです。
ところで、この歌詞は、岩波文庫「日本童謡集」(与田凖一編)によると、こうなっています。
どこかで「春」が
生れてる、
どこかで水が
ながれ出す。
どこかで雲雀(ひばり)が
啼いている、
どこかで芽の出る
音がする。
山の三月
東風(こち)吹いて
どこかで「春」が
生れてる。
大正12年に雑誌「小学男生」に掲載されたということです。三番の「東風」が、あれ? ですね。今ではここは「そよ風」に変わっています。いつ変わったのでしょうか。でも変えないと、今では歌えませんね。
作曲は、草川信(くさかわ・しん)。今まで名前も知りませんでしたが、ネットで調べてみると、「夕焼け小焼け」「汽車ポッポ」「ゆりかごの唄」「緑のそよ風」「誰が風を見たでしょう」など名曲揃い。ぼくはとくに、この歌と、「緑のそよ風」が好きでした。
この「どこかで春が」の合唱はほんとにキレイで、大好きです。