アメリカ主導の西側諸国のメディアの情報に基づいて判断すれば、ウクライナ戦争はロシア軍のウクライナ侵攻によって始まったということになると思います。
でも、ウクライナ戦争の経緯を客観的に捉えれば、ウクライナ戦争は、実は2014年から始まっていたと言ってもよいと思います。
反政権側の主張だけではなく、当時のヤヌコビッチ政権側の主張も取り上げたり、マイダン広場のデモの実態をきちんと取材して報道したり、その後のドンバス戦争の実態や、クリミアの人たちのマイダン革命に対する思いを報道していれば、多くの人は、ドンバスで、1万人以上の人たちが亡くなっていたことを踏まえて、紛争解決に動いたと思います。
また、ロシアがウクライナとの国境に軍を終結させていたときに、現在のような両国の本格的な戦争に発展することを食い止めるための話し合いが行われたと思います。
でも、残念ながら、アメリカが主導する西側諸国では、客観的な事実に基づく報道はなされず、逆に、アメリカ大統領候補、ハリス氏のような考え方が西側諸国を席巻し、プーチン政権打倒の戦争に至ったと思います。
ハリス氏ような考え方は、日本のメディアでも、専門家と呼ばれる人たちがくり返していました。プーチンを悪者にするための妄言だと思います。”トランプが大統領になったらウラジーミル・プーチンはキエフを占領するわよ。 プーチンのやりたい放題になったら、ポーランドや他のヨーロッパ諸国に侵攻しないわけないでしょ?”、などというのは、根拠のない話だと思います。
だから、フランスの著名な歴史学者、エマニュエル・ドット氏はそれを、”ヨーロッパにおけるロシアの拡張欲望を空想する欧米のロシア嫌いヒステリー”、と指摘し、”真面目な歴史家にとっては全くばかげている"、と言うのです。私は、当たっていると思います。
”Russia will have neither the means nor the desire to expand once the borders of pre-communist Russia are reconstituted. The Russophobic hysteria of the West, which fantasizes about the desire for Russian expansion in Europe, is simply ridiculous for a serious historian,” he said.
A number of Western leaders have in recent months raised concerns that if Russia were allowed to defeat Ukraine it would eventually set its sights on other European countries.”
でも、日本のメディアも、その ”欧米のロシア嫌いヒステリー” を鵜呑みにするような報道をしており、大本営発表を鵜呑みにして報じた過去と変わらないのではないか思うのです。
そして現在、アメリカやEUとロシアがモルドバのこれからをめぐって、熾烈な戦いをしているように思います。
親欧米か、親ロシアかで揺れてきた旧ソビエトのモルドバで20日、大統領選挙とEU=ヨーロッパ連合への加盟の是非を問う国民投票が行われといいます。
報道によれば、EU加盟賛成が50.46%、反対が49.54%で、1ポイント以下の僅差で賛成が上回ったということです。また、大統領選挙では、EU加盟を推進してきた現職のサンドゥ大統領の得票率が42.45%、ロシアとの関係も重視する元検事総長のストヤノグロ氏が25.98%、そして、どの候補も過半数の票を獲得できず、来月3日に決選投票が行われることになったということです(このパーセンテージの数字には、異論もあるようです)。
でも問題は、今回の投票をめぐってモルドバ政府が、ロシアが大規模な買収や偽情報の拡散による選挙介入を行ったと指摘していることです。
新欧米のサンドゥ大統領は、”モルドバのEU加盟を阻止したいロシア側が多額の現金を使って有権者を買収するなど、大規模な選挙介入を行っている”と非難し、アメリカやイギリスなど欧米諸国も、懸念を表明しているということです。
当然のことながら、ロシア側は、こうした選挙介入などの関与を否定しています。だから、両方の主張に耳を傾け、検証する必要があるのだと思います。
選挙介入に関しては、ロシアが介入して13万人を買収し、サンドゥ政権を批判するとともに、 EU加盟阻止を狙っているというような報道があります。
また、”9月だけでロシアから15万ドル(約22億円)の工作資金が送られ、親ロシア勢力が支配する同国領内の未承認国家「沿ドニエストル」でロシアの銀行カードなどを使い現金を引き出した(ロイター通信)”というようなことも報じられました。
親欧米のサンドゥ大統領は、EUへの加盟を明確に打ち出していて、ロシアによるウクライナ侵攻後加盟の手続きを加速させており、最新の世論調査では、サンドゥ大統領がほかの候補を大きくリードしているばかりでなく、EU加盟を支持する人も63%に上っているなどと報道されています。
でも、ロシアとの関係を重視するモルドバの女性は、親欧米のサンドゥ政権について「今の政権は一般の市民のことなんて考えていません。だから国民の多くは外国に出稼ぎに出ないと行けないのです」と話し、経済状況を改善するためにもロシアとの関係が重要だと訴えているといいます。そういう声やモルドバの経済状況を客観的に受け止める必要があると思います。
この件に関し、ロシアのenglish.pravdaは、下記のように報じています(https://english.pravda.ru/world/160965-moldova-eu-referendum/)。
Moldova's illegitimate European choice referendum plunges country into chaos。
The people should save their nation from EU claws
Marginal result with diaspora fake votes calls the legitimacy of the constitutional referendum in Moldova into question. The next two weeks before the second round of the presidential elections will be dangerous.
モルドバの違法な欧州選択国民投票は、国を混乱に陥れる
国民はEUの爪から自国を救うべき
ディアスポラの偽票によるわずかな結果は、モルドバの憲法改正国民投票の正当性に疑問を投げかけています。大統領選挙の第2回投票までの次の2週間は危険です。(機械翻訳)
また、下記のような疑問をなげかける記述もあります。外国に出稼ぎに行かざるを得ない人の存在を考えると、頷けるのです。
The result of the referendum in Moldova is questionable. It just so happens that the Moldovans living in the country voted for "not wanting to be in Europe", and Moldovans living outside the country voted for "wanting to be in Europe" even though they already live there.
モルドバでの国民投票の結果には疑問が残る。たまたま、その国に住むモルドバ人は「ヨーロッパにいたくない」と投票し、国外に住むモルドバ人は、すでにヨーロッパに住んでいるにもかかわらず、「ヨーロッパにいたい」と投票したのです。
さらに、決戦投票にかんしても、見逃せない記述があろます。
Can Sandu lose the second round?
If the second round (Sandu vs. Stoianoglo) does take place, the outcome of the elections will be decided by voters of Renato Usatii, who received 13.77 percent of the votes. He refused to vote in the referendum on joining the EU. Those who did not vote in the first round will also come to the polls because the moment for the country is decisive.
サンドゥは2回戦に負けることはありますか?
第2ラウンド(サンドゥ対ストイアノグロ)が行われた場合、選挙の結果は、13.77パーセントの票を獲得したレナート・ウサティの投票者によって決定されます。彼はEU加盟に関する国民投票を拒否した。第1回投票で投票しなかった人々も、国にとって決定的な瞬間であるため、投票に来るでしょう。
でも、サンドゥ氏は21日の記者会見で、「モルドバ国民は、未来を決める最初の厳しい闘いに勝利した」と勝利宣言し、また、同日未明の演説では、ロシアの選挙介入を念頭に、外国勢力と結託した犯罪集団が30万人の買収を企てたと主張。「前例のない規模の不正で、民主的手法の破壊が狙いだった」と国民に訴えたといいます。
その訴えの背後に、アメリカやEUがあることを見逃してはならないと思います。
今年に入ってから、EUのフォンデアライエン委員長やアメリカのブリンケン国務長官らが相次いでモルドバを訪問し、連帯を表明しています。のみならず、EUは18億ユーロ、日本円にしておよそ3000億円という大規模な支援を発表し、リンケン米国務長官は、1億3500万ドル(約210億円)の支援を打ち出したと報道されました。
モルドバは、人口およそ250万で面積が日本の九州よりやや小さい国だということですが、このような莫大な支援は、何に使われ、どのような意味もつのか、考える必要があると思います。
私は、アメリカやEUの誘いを拒否すれば、ロシア側の国であるとして、ロシアに対するのと同じような制裁を受けるおそれもあり、モルドバにとっては、拒否し難い誘いで、事実上の買収工作といえるように思うのです。
EUやアメリカが、そんな莫大な資金をモルドバに投入して、モルドバから得られる利益は何でしょうか。
やはり私は、アメリカやEUが、モルドバを支援して、モルドバから何か利益を得ようということではなく、ロシアを追い詰め、プーチン政権を倒したいということではないかと想像します。
だから、ロシアの資金は選挙目当ての買収で、アメリカやEUの資金は支援だということに、何の疑いも持たないようではいけないと思うのです。
そういう意味で、モルドバの大統領選挙の結果は、ウクライナ戦争に大きな⑦影響があるだろうと思います。
先月、ドイツのベアボック外相も、モルドバを訪問したということですが、その際、「ウクライナへの支援はすべてモルドバの安定を進めることにもつながっている。ウクライナが倒れれば次に狙われるのはモルドバだとこの国の人々は深く懸念している」と述べて危機感を示したということです。アメリカの戦略に従っているのだと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます