下記資料はいずれも北方領土問題に関わる国際的な「宣言」である。特に、「英米共同宣言(大西洋憲章)」(資料1)は、それまでの列強による帝国主義的・植民地主義的領土拡張を、問題視し、その1で「両国ハ領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス」と格調高く宣言した画期的なものであった。また、それぞれの国の主権を尊重するのみならず、「一切ノ人類ガ恐怖及欠乏ヨリ解放セラレ其ノ生ヲ全ウスルヲ得ルコトヲ確実ナラシムヘキ平和」などの文面からも読み取れるように、人権に配慮した平和主義的な内容の宣言であった。
「連合国共同宣言」(資料2)は、それを受け、ドイツの「ヒトラー主義」に勝利するため発せられた宣言である。また、「カイロ宣言」は日本の周辺国に対する侵略の阻止や日本が暴力的に窃取・略取した領土の返還を意図する宣言である。
ところが、こうした宣言が発せられた後の、1945年2月、これらの宣言の趣旨に反する「ヤルタ協定」が締結された。ヤルタ協定の2、『1904年の日本国の背信的攻撃に依り侵害せられたる「ロシア」国の旧権利は左の如く回復せられるべし』は、宣言の内容に沿うものであるが、その3、『千島列島は「ソヴィエト」連邦に引渡さるべし』は、宣言の趣旨に反するのである。特に北方4島は、日本固有の領土であり、日本が暴力的に窃取・略取した領土ではない。にもかかわらず、アメリカは、ソビエトの対日参戦を求めて、その見返りに『千島列島は「ソヴィエト」連邦に引渡さるべし』としたのである。まさに、帝国主義的・植民地主義的な領土の拡張を認める協定であった。ソビエトの対日参戦を条件に、アメリカが南樺太と千島列島をソビエトに譲り渡すことを認めたこのヤルタ協定があったが故に、日本はサンフランシスコ講和会議で、北方領土を「放棄」することになった経緯を忘れてはならないと思う。
1956年になってアメリカ国務省が、「ヤルタ協定は三国(米英ソ)首脳の目標を述べたものに過ぎず、領土移転のような法律的効果を持つものでなく、北方4島が正当に日本の領土下にあるものとして認めるべきものである」との見解を公にしているが、日本が無条件降伏した後に、そのような主張をすることは、いかがなものかと思う。事実は、ソ連がアメリカの求めに応じて1945年8月9日対日宣戦布告をし、ヤルタ協定通り進んだのである。
日本の外務省もアメリカと同じように、北方領土問題に関して「北方領土は、ロシアによる不法占拠が続いていますが、日本固有の領土であり、この点については例えば米国政府も一貫して日本の立場を支持しています。」との主張をくり返している。しかしながら、当時のヤルタ協定に関する関係者の理解や、トルーマンとスターリンの「一般命令第1号」をめぐるやり取りなど無視して、そのような主張をく り返すことには問題があるといわざるを得ない。
終戦当時アメリカは、千島列島がソ連の領有になることを認めていたのである。対日占領軍総司令部政治顧問のシーボルトは「千島列島の処分はカイロ、ヤルタ両会談で決められていた」と記しているという(『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』孫崎亨<ちくま新書>)。また、多くの外交関係者や日本の政治家も、そういう認識を持っていた。そうした認識があったから、当初、日本は歯舞・色丹は千島列島に含まれるものではないとして「2島返還」を条件として、「日ソ平和条約」を締結しようとしたのである。(ところが、その「2島返還」を条件とした日ソ平和条約は、「ダレスの脅し」として知られるアメリカの介入によって、「4島返還」に変更されたために、締結に至らなかった)。
したがって、「米国政府も一貫して日本の立場を支持しています」というのは、米ソ関係が終戦当時と変化し、米ソ冷戦が深刻になってからのことであり、事実に反する主張だと思う。現実にソ連(現ロシア)はそうした主張を受け入れていない。
したがって、日本は米ロの狭間でアメリカと同じ主張をくり返すのではなく、アメリカの世界戦略から離れて、堂々と「英米共同宣言(大西洋憲章)」や「連合国共同宣言」「カイロ宣言」などに反する「ヤルタ協定」締結の問題点を指摘すべきだと思う。そして、アメリカが認めたロシアによる北方領土の領有が、帝国主義的・植民地主義的な領土の拡張であり、不当に開始されたことを認めるよう迫るのが筋だと思うのである。そのために、ロシアの主張する条件について考慮する姿勢を示すとともに、アメリカに対しても、「4島返還」のための諸条件について考慮するよう要求すべきだと思う。そういう意味では、北方領土返還問題は、日ロ間の問題というよりむしろ「日・米・ロ」の3国の問題といえる。下記資料は「ソ連は最初北方四島は諦めていた 知られざる北方領土秘史 四島返還の鍵はアメリカにあり」戸丸廣安(第一企画出版)よりの抜粋である。
資料1-------------------------------
歴史を浮き彫りにする資料集
英米共同宣言(太平洋憲章)(ママ)
(1941年8月14日大西洋上ニ於テ署名)
アメリカ合衆国大統領及連合王国ニ於ケル皇帝陛下ノ政府ヲ代表スル「チャーチル」総理大臣ハ、会合ヲ為シタル後両国ガ世界ノ為一層良キ将来ヲ求メントスル其ノ希望ノ基礎ヲ成ス両国国策ノ共通原則ヲ公ニスルヲ以てテ正シト思考スルモノナリ。
1、両国ハ領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス。
2、両国ハ関係国民ノ自由ニ表明セル希望ト一致セサル領土的変更ノ行ハルルコ
トヲ欲セス。
3、両国ハ一切ノ国民カ其ノ生活セントスル政体ヲ選択スルノ権利ヲ尊重ス。両国
ハ主権及自治ヲ強奪セラレタル者ニ主権及自治カ返還セラレルコトヲ希望ス。
4、両国ハ其ノ現存義務ヲ適法ニ尊重シ大国タルト小国タルト又戦勝国タルト敗戦
国タルトヲ問ハス一切ノ国カ其ノ経済的繁栄ニ必要ナル世界ノ通商及原料ノ均
等条件ニ於ケル利用ヲ享有スルコトヲ促進スルニ努ムヘシ。
5、両国ハ改善セラレタル労働基準、経済的向上及社会的安定ヲ一切ノ国ノ為ニ
確保スル為、右一切ノ国ノ間ニ経済的分野ニ於テ完全ナル協力ヲ生ゼシメンコ
トヲ欲ス。
6,「ナチ」ノ暴虐ノ最終的破壊ノ後両国ハ一切ノ国民ニ対シ其ノ国境内ニ於テ安
全ニ居住スルノ手段ヲ供与シ、且ツ一切ノ国ニ一切ノ人類ガ恐怖及欠乏ヨリ解
放セラレ其ノ生ヲ全ウスルヲ得ルコトヲ確実ナラシムヘキ平和カ確立セラレル
コトヲ希望ス
7、右平和ハ一切ノ人類ヲシテ妨害ヲ受クルコトナク公ノ海洋ヲ航行スルコトヲ得
シムヘシ
8、両国ハ世界ノ一切ノ国民ハ実在論的理由ニ依ルト精神的利用ニ依ルトヲ問ハ
ス強力ノ使用ヲ抛棄スルニ至ルコトヲ要スト信ス。陸、海又ハ空ノ軍備カ自国
国境外ヘノ侵略ノ脅威ヲ与ヘ又ハ与フルコトアルヘキ国ニ依リ引続キ使用セラ
ルルトキハ将来ノ平和ハ維持セラルルコトヲ得サルカ故ニ、両国ハ一層広汎ニ
シテ永久的ナル一般的安全保障制度ノ確立ニ至ル迄ハ斯ル国ノ武装解除ハ
不可欠ノモノナリト信ス。両国ハ又平和ヲ愛好スル国民ノ為ニ圧倒的軍備負担
ヲ軽減スヘキ他ノ一切ノ実行可能ノ措置ヲ援助シ及助長スヘシ。
フランクリン・ディー・ローズベルト
ウィンストン・チャーチル
資料2-------------------------------
連合国共同宣言
〔アメリカ合衆国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、ソヴィエト社会主義共和国連邦、中国、オーストラリア、ベルギー、カナダ、コスタ・リカ、キューバ、チェコスロバキア、ドミニカ共和国、サルヴァドル、ギリシャ、グァテマラ、ハイティ、ホンジュラス、インド、ルクセンブルク、オランダ、ニュー・ジーランド、ニカラグァ、ノールウェー、パナマ、ポーランド、南アフリカ及びユーゴースラヴィアの共同宣言〕
(1942年1月1日ワシントンで署名)
この宣言の署名国政府は、
大西洋憲章として知られる1941年8月14日付アメリカ合衆国大統領並びにグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国総理大臣の共同宣言に包含された目的及び原則に関する共同綱領書に賛意を表し、
これらの政府の敵国に対する完全な勝利が、生命、自由、独立及び宗教的自由を擁護するため並びに自国の国土において及び他国の国土において人類の権利及び正義を保持するために必要であること並びに、これらの政府が、世界を征服しようと努めている野蛮で獣的な軍隊に対する共同の闘争に従事していることを確信し、次のとおり宣言する。
(1)各政府は三国条約の締結国及びその条約の加入国でその政府が戦争を行っ
ているものに対し、その政府の軍事的又は経済的な全部の資源を使用するこ
とを誓約する。
(2)各政府は、この宣言の署名国政府と協力すること及び敵国と単独の休戦又は
講和を行わないことを誓約する。
この宣言は、ヒトラー主義に対する勝利のための闘争において物質的援助及
び貢献をしている又はすることのある他の国が加入することができる。
資料3-------------------------------
カイロ宣言
(1943年11月27日「カイロ」に於いて署名)
「ローズベルト」大統領、蒋介石大元帥及「チャーチル」総理大臣は各自の軍事顧問及外交顧問と共に北「アフリカ」に於いて会議を終了し左の一般的声明を発せられたり
各軍事使節は日本国に対する将来の軍事行動を協定せり 三大同盟国は、海路、陸路及空路に依り其の野蛮なる敵国に対し仮借なき弾圧を加ふるの決意を表明せり 右弾圧は既に増大しつつあり 三大同盟国は日本国の侵略を制止し且之を罰する為今次の戦争を為しつつあるものなり 右同盟は自国の為に何等の利得をも欲求するものに非ず
又領土拡張の何等の念をも有するものに非ず
右同盟国の目的は日本国より1914年の第1次世界戦争の開始以後に於いて日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満州、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より窃取したる一切の地域を中華民国に返還することに在り日本国は又暴力及貪欲に依り日本国の略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし
前記三大国は朝鮮の人民の奴隷状態に留意し軈て朝鮮を自由且つ独立のものたらしむるの決意を有す
右の目的を以て右三同盟国は同盟諸国中日本国と交戦中なる諸国と協調し日本国の無条件降伏を齋すに必要なる重大且長期の行動を続行すべし
http://www15.ocn.ne.jp/~hide20/ に投稿記事一覧表および一覧表とリンクさせた記事全文があります。一部漢数字をアラビア数字に換えたり、読点を省略または追加したりしています。青字が書名や抜粋部分です。赤字は特に記憶したい部分です。
「連合国共同宣言」(資料2)は、それを受け、ドイツの「ヒトラー主義」に勝利するため発せられた宣言である。また、「カイロ宣言」は日本の周辺国に対する侵略の阻止や日本が暴力的に窃取・略取した領土の返還を意図する宣言である。
ところが、こうした宣言が発せられた後の、1945年2月、これらの宣言の趣旨に反する「ヤルタ協定」が締結された。ヤルタ協定の2、『1904年の日本国の背信的攻撃に依り侵害せられたる「ロシア」国の旧権利は左の如く回復せられるべし』は、宣言の内容に沿うものであるが、その3、『千島列島は「ソヴィエト」連邦に引渡さるべし』は、宣言の趣旨に反するのである。特に北方4島は、日本固有の領土であり、日本が暴力的に窃取・略取した領土ではない。にもかかわらず、アメリカは、ソビエトの対日参戦を求めて、その見返りに『千島列島は「ソヴィエト」連邦に引渡さるべし』としたのである。まさに、帝国主義的・植民地主義的な領土の拡張を認める協定であった。ソビエトの対日参戦を条件に、アメリカが南樺太と千島列島をソビエトに譲り渡すことを認めたこのヤルタ協定があったが故に、日本はサンフランシスコ講和会議で、北方領土を「放棄」することになった経緯を忘れてはならないと思う。
1956年になってアメリカ国務省が、「ヤルタ協定は三国(米英ソ)首脳の目標を述べたものに過ぎず、領土移転のような法律的効果を持つものでなく、北方4島が正当に日本の領土下にあるものとして認めるべきものである」との見解を公にしているが、日本が無条件降伏した後に、そのような主張をすることは、いかがなものかと思う。事実は、ソ連がアメリカの求めに応じて1945年8月9日対日宣戦布告をし、ヤルタ協定通り進んだのである。
日本の外務省もアメリカと同じように、北方領土問題に関して「北方領土は、ロシアによる不法占拠が続いていますが、日本固有の領土であり、この点については例えば米国政府も一貫して日本の立場を支持しています。」との主張をくり返している。しかしながら、当時のヤルタ協定に関する関係者の理解や、トルーマンとスターリンの「一般命令第1号」をめぐるやり取りなど無視して、そのような主張をく り返すことには問題があるといわざるを得ない。
終戦当時アメリカは、千島列島がソ連の領有になることを認めていたのである。対日占領軍総司令部政治顧問のシーボルトは「千島列島の処分はカイロ、ヤルタ両会談で決められていた」と記しているという(『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』孫崎亨<ちくま新書>)。また、多くの外交関係者や日本の政治家も、そういう認識を持っていた。そうした認識があったから、当初、日本は歯舞・色丹は千島列島に含まれるものではないとして「2島返還」を条件として、「日ソ平和条約」を締結しようとしたのである。(ところが、その「2島返還」を条件とした日ソ平和条約は、「ダレスの脅し」として知られるアメリカの介入によって、「4島返還」に変更されたために、締結に至らなかった)。
したがって、「米国政府も一貫して日本の立場を支持しています」というのは、米ソ関係が終戦当時と変化し、米ソ冷戦が深刻になってからのことであり、事実に反する主張だと思う。現実にソ連(現ロシア)はそうした主張を受け入れていない。
したがって、日本は米ロの狭間でアメリカと同じ主張をくり返すのではなく、アメリカの世界戦略から離れて、堂々と「英米共同宣言(大西洋憲章)」や「連合国共同宣言」「カイロ宣言」などに反する「ヤルタ協定」締結の問題点を指摘すべきだと思う。そして、アメリカが認めたロシアによる北方領土の領有が、帝国主義的・植民地主義的な領土の拡張であり、不当に開始されたことを認めるよう迫るのが筋だと思うのである。そのために、ロシアの主張する条件について考慮する姿勢を示すとともに、アメリカに対しても、「4島返還」のための諸条件について考慮するよう要求すべきだと思う。そういう意味では、北方領土返還問題は、日ロ間の問題というよりむしろ「日・米・ロ」の3国の問題といえる。下記資料は「ソ連は最初北方四島は諦めていた 知られざる北方領土秘史 四島返還の鍵はアメリカにあり」戸丸廣安(第一企画出版)よりの抜粋である。
資料1-------------------------------
歴史を浮き彫りにする資料集
英米共同宣言(太平洋憲章)(ママ)
(1941年8月14日大西洋上ニ於テ署名)
アメリカ合衆国大統領及連合王国ニ於ケル皇帝陛下ノ政府ヲ代表スル「チャーチル」総理大臣ハ、会合ヲ為シタル後両国ガ世界ノ為一層良キ将来ヲ求メントスル其ノ希望ノ基礎ヲ成ス両国国策ノ共通原則ヲ公ニスルヲ以てテ正シト思考スルモノナリ。
1、両国ハ領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス。
2、両国ハ関係国民ノ自由ニ表明セル希望ト一致セサル領土的変更ノ行ハルルコ
トヲ欲セス。
3、両国ハ一切ノ国民カ其ノ生活セントスル政体ヲ選択スルノ権利ヲ尊重ス。両国
ハ主権及自治ヲ強奪セラレタル者ニ主権及自治カ返還セラレルコトヲ希望ス。
4、両国ハ其ノ現存義務ヲ適法ニ尊重シ大国タルト小国タルト又戦勝国タルト敗戦
国タルトヲ問ハス一切ノ国カ其ノ経済的繁栄ニ必要ナル世界ノ通商及原料ノ均
等条件ニ於ケル利用ヲ享有スルコトヲ促進スルニ努ムヘシ。
5、両国ハ改善セラレタル労働基準、経済的向上及社会的安定ヲ一切ノ国ノ為ニ
確保スル為、右一切ノ国ノ間ニ経済的分野ニ於テ完全ナル協力ヲ生ゼシメンコ
トヲ欲ス。
6,「ナチ」ノ暴虐ノ最終的破壊ノ後両国ハ一切ノ国民ニ対シ其ノ国境内ニ於テ安
全ニ居住スルノ手段ヲ供与シ、且ツ一切ノ国ニ一切ノ人類ガ恐怖及欠乏ヨリ解
放セラレ其ノ生ヲ全ウスルヲ得ルコトヲ確実ナラシムヘキ平和カ確立セラレル
コトヲ希望ス
7、右平和ハ一切ノ人類ヲシテ妨害ヲ受クルコトナク公ノ海洋ヲ航行スルコトヲ得
シムヘシ
8、両国ハ世界ノ一切ノ国民ハ実在論的理由ニ依ルト精神的利用ニ依ルトヲ問ハ
ス強力ノ使用ヲ抛棄スルニ至ルコトヲ要スト信ス。陸、海又ハ空ノ軍備カ自国
国境外ヘノ侵略ノ脅威ヲ与ヘ又ハ与フルコトアルヘキ国ニ依リ引続キ使用セラ
ルルトキハ将来ノ平和ハ維持セラルルコトヲ得サルカ故ニ、両国ハ一層広汎ニ
シテ永久的ナル一般的安全保障制度ノ確立ニ至ル迄ハ斯ル国ノ武装解除ハ
不可欠ノモノナリト信ス。両国ハ又平和ヲ愛好スル国民ノ為ニ圧倒的軍備負担
ヲ軽減スヘキ他ノ一切ノ実行可能ノ措置ヲ援助シ及助長スヘシ。
フランクリン・ディー・ローズベルト
ウィンストン・チャーチル
資料2-------------------------------
連合国共同宣言
〔アメリカ合衆国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、ソヴィエト社会主義共和国連邦、中国、オーストラリア、ベルギー、カナダ、コスタ・リカ、キューバ、チェコスロバキア、ドミニカ共和国、サルヴァドル、ギリシャ、グァテマラ、ハイティ、ホンジュラス、インド、ルクセンブルク、オランダ、ニュー・ジーランド、ニカラグァ、ノールウェー、パナマ、ポーランド、南アフリカ及びユーゴースラヴィアの共同宣言〕
(1942年1月1日ワシントンで署名)
この宣言の署名国政府は、
大西洋憲章として知られる1941年8月14日付アメリカ合衆国大統領並びにグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国総理大臣の共同宣言に包含された目的及び原則に関する共同綱領書に賛意を表し、
これらの政府の敵国に対する完全な勝利が、生命、自由、独立及び宗教的自由を擁護するため並びに自国の国土において及び他国の国土において人類の権利及び正義を保持するために必要であること並びに、これらの政府が、世界を征服しようと努めている野蛮で獣的な軍隊に対する共同の闘争に従事していることを確信し、次のとおり宣言する。
(1)各政府は三国条約の締結国及びその条約の加入国でその政府が戦争を行っ
ているものに対し、その政府の軍事的又は経済的な全部の資源を使用するこ
とを誓約する。
(2)各政府は、この宣言の署名国政府と協力すること及び敵国と単独の休戦又は
講和を行わないことを誓約する。
この宣言は、ヒトラー主義に対する勝利のための闘争において物質的援助及
び貢献をしている又はすることのある他の国が加入することができる。
資料3-------------------------------
カイロ宣言
(1943年11月27日「カイロ」に於いて署名)
「ローズベルト」大統領、蒋介石大元帥及「チャーチル」総理大臣は各自の軍事顧問及外交顧問と共に北「アフリカ」に於いて会議を終了し左の一般的声明を発せられたり
各軍事使節は日本国に対する将来の軍事行動を協定せり 三大同盟国は、海路、陸路及空路に依り其の野蛮なる敵国に対し仮借なき弾圧を加ふるの決意を表明せり 右弾圧は既に増大しつつあり 三大同盟国は日本国の侵略を制止し且之を罰する為今次の戦争を為しつつあるものなり 右同盟は自国の為に何等の利得をも欲求するものに非ず
又領土拡張の何等の念をも有するものに非ず
右同盟国の目的は日本国より1914年の第1次世界戦争の開始以後に於いて日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満州、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より窃取したる一切の地域を中華民国に返還することに在り日本国は又暴力及貪欲に依り日本国の略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし
前記三大国は朝鮮の人民の奴隷状態に留意し軈て朝鮮を自由且つ独立のものたらしむるの決意を有す
右の目的を以て右三同盟国は同盟諸国中日本国と交戦中なる諸国と協調し日本国の無条件降伏を齋すに必要なる重大且長期の行動を続行すべし
http://www15.ocn.ne.jp/~hide20/ に投稿記事一覧表および一覧表とリンクさせた記事全文があります。一部漢数字をアラビア数字に換えたり、読点を省略または追加したりしています。青字が書名や抜粋部分です。赤字は特に記憶したい部分です。
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