なぜ、殺し合い(ウクライナ戦争)を 止めない? 犠牲者が出ることが分かっているのに、なぜ、武器を供与する? なぜ、ウクライナ軍を支援する?
ウクライナ「軍」を支援する人たちや、それに賛同する人たちに、その答えを聞きたい。今、停戦をすればロシアを利する? 冗談ではない。人の命より大事なものなどない。
だからいろいろ考えます。
まず、このところアメリカは、ロシアの制裁に加わらない国、特に南アフリカ共和国に強い圧力をかけているように思います。報道によると、ブリゲティ駐南アフリカ大使は、南アフリカがロシアに武器や弾薬を提供していると指摘し、非難したといいます。また、常々、南アフリカ共和国のラマポーザ政権が、中立を装いながら、ロシアに寄り添っているとして批判してきたといいます。
私は、ジョージ・ブッシュ元大統領の主張を思い出します。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を受けて、当時のブッシュ大統領が、
”世界各地の全ての国々は、今、決断しなければならない。アメリカ側につくのか、テロ側につくかのいずれかだ”
と語り、各国に選択を迫ったときの主張を思い出すのです。中立を認めず、選択を迫り、アメリカの側につかない国には、制裁を匂わすような強硬な主張だったと思います。
ウクライネ戦争に関してもアメリカは、ウクライナ・欧米側は「善」、ロシア側は」悪」として、中立を認めない考え方をしているように思います。
でも、世界は「善」と「悪」にきれいに二分されるようなものではないと思います。にもかかわらず、アメリカはいつも、普遍的な理念を掲げて、自らの利害に基づく戦略を覆い隠し、「善」と「悪」に二分して、他国を自らの側につけるようにしながら戦ってきたと思います。だからそこには、少なからずアメリカの外交における主権侵害があると思います。
ロシアとの戦いでは、民主主義と専制主義の戦いや一方的な侵略者との戦いを語り、中国との関係では、民主主義と専制主義の戦いに加えて、開かれたインド太平洋とか法の支配とか、もっともらしい理念を掲げています。でも、実態はそんなものではなく、その言葉の裏に、危うくなりつつあるアメリカの覇権と利益の維持という目的があり、アメリカが、攻撃的になっていることは明らかだと思います。
そういう時だからこそ、今、アメリカの南アフリカ共和国に対する圧力が気になるのです。南アフリカ共和国が否定しているにもかかわらず、アメリカは南アフリカ共和国が、ロシアに武器や弾薬を提供しているとして、報復の制裁を検討しているといいます。
アメリカは、現在もなお、世界最大の軍事大国であり、世界最大の経済大国でもあります。アメリカによる制裁は、弱小国にとっては、死活問題となりうる恐ろしいものだと思います。したがって、不本意ながら、アメリカの主張に同意してきた国は少なくないだろうと思います。
そういう意味では、武力行使だけではなく、経済制裁も力による支配であり、アメリカは力によって、他国の外交における主権を侵害し、民主主義に反するふるまいをしてきたと思います。
ふり返れば、南アフリカは、かつて、法によって人種隔離と差別を制度化しているアパルトヘイトで知られ、少数の白人が不当に支配する国でした。南アフリカの黒人の多くが、少数の白人による一方的な支配とアパルトヘイトに粘り強く抵抗して、苦しい闘いを継続していたことや、後に大統領になるネルソン・マンデラが、反アパルトヘイト闘争で長く投獄されていたことは、よく知られていることだと思います。
そして、その反アパルトヘイト闘争を支援していたのは、キューバや当時のソ連であり、アメリカを中心とする西側諸国は、アパルトヘイトを黙認していた事実を見逃してはならないと思います。
また当時国連は、アパルトヘイトを、国連憲章および世界人権宣言と相容れない「人道に対する罪」として非難し、1973年11月に国際連合総会で、下記のような条文をもつアパルトヘイト条約を採択しますが、アメリカのレーガン大統領は、これに反対したことも忘れてはならないと思います。
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アパルトヘイト犯罪の抑圧及び処罰に関する国際条約(アパルトヘイト条約)
第一条 国際犯罪
1 この条約の締約国は、アパルトヘイトが人道に対する犯罪であること、及び、この条約の第二条に規定するアパルトヘイトの政策及び慣行から生ずる非人道的行為並びに人種隔離及び差別の類似の政策及び慣行が国際法の諸原則、特に国際連合憲章の目的及び原則を侵害しかつ国際の平和及び安全に対する重大な脅威を構成する犯罪であることを宣言する。
2 この条約の締約国は、アパルトヘイト犯罪を犯す団体、機関及び個人を犯罪人であると宣言する。
以下略
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自由や民主主義を掲げるアメリカが、なぜ、アパルトヘイト条約に賛成しなかったのかは、見過ごすことのできない重大な問題だと思います。
やはり、ここでもアメリカは、人命や人権よりも、自らの利害、資源の獲得や反共主義を優先させていたのです。
だから、南アフリカ共和国が、かつて支援を受けたロシアの制裁に加わらなかったり、ロシアの非難決議を棄権したりすることは、南アフリカ共和国の権利の行使であり、南アフリカ共和国の自由であると思います。アメリカが報復制裁を匂わせて、非難することの方が、明らかに不当だと思います。
だから、ウクライネ戦争を主導するアメリカの意図や利害を考慮しないで、ウクライネ戦争を語ったり、過去のアメリカの所業をなかったことにして、国際政治を論ずる人たちは間違っている、と私は思います。特に、ウクライナ戦争や中国問題の解説に登場するような、国際政治が専門の学者たちは、そういう意味で罪深いと思います。
私に言わせれば、”何故、殺し合いを 止めない? 犠牲者が出ることが分かっているのに、なぜ、武器を供与する? なぜ、ウクライナ軍を支援する?” の答えは簡単です。アメリカが、自国の覇権と利益を維持するために、戦争によって、ロシアのヨーロッパ諸国に対する影響力拡大を阻止し、ロシアを孤立化させ、弱体化させる必要があるからです。アメリカのマイダン革命に対する関与は、その準備であったと思います。
また、アメリカが台湾にくり返し武器を売ったり、供与したりしていることも、同じように、中国を孤立化させ、弱体化させる必要があるからだと思います。
ロシアや中国を孤立化させ、弱体化させて、世界中の国々のアメリカ離れを止めなければ、現在のアメリカ社会を維持することができないため、アメリカは必死なのだろうと思います。
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