Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

課外課題

2013-07-22 01:00:00 | 雪3年1部(開講~二人の写メ)
雪は夢の中を漂うように、過去の記憶を辿っていた。

中でも”課題”によって引き出された記憶は、青田淳を訝しがっていた過去をまざまざと思い出させた。

平井和美によって徹夜で課題をせざるを得なくなった雪に、青田淳はあの見せかけの笑顔で言ったんだっけ‥。

後でもし必要なら連絡くれていいから。課題手伝うよ



雪はこう思ったはずだ。

心にも無いことを言うなと。誰のせいでこうなったと思っているんだと‥。





「え?何か言った?」



白昼夢から醒めた雪の目の前に、キョトンとした顔の彼が居た。



雪と先輩は、中庭のベンチで共に課題に取り組んでいるところだったのだ。

春のせいかぼーっとするんですと慌てて言い訳する雪に、青田先輩は「疲れてるんだな」とその身を案じた。



先輩は資料の調査状況とレポートの作成予定表を見合わせながら、

ある所まで雪が調べてくれたら後は自分が何とかするからと言った。



常々課題に追われ、全部一人で背負い込んできた雪には衝撃的な成り行きである。

純粋にお礼の言葉が出てくるが‥



途中でハッと我に返ると、雪は今までの事情もあり自分を戒める。



彼からこんなに親切にされたことが無かったからか、つい感動してしまったようだ。

いつも皆が彼の周りに集っているのが、分かるような気がしなくもない‥。


時間はお昼時。

ふと先輩が、鞄からビニール袋を取り出した。

「この間一緒に食べたの思い出してさ」



彼はそう言うと、おにぎりとジュースをテーブルの上に置いた。



その中に、レアな爆弾が入っているのを見た雪は固唾を飲んだ。

彼女の大好物だ。

「雪ちゃん雪ちゃん」



見て見て、と先輩は雪の前でおにぎりを剥き始めた。

「キレイに剥けただろ?」



嬉しそうに言う彼に、彼女は拍手を送った。

なぜこんなこと自慢するんだろと少し疑問に思いながら‥。



だけど本当に彼は嬉しそうだし、

照れて頭を掻きながら「実は練習したんだ」なんて言った。



雪の脳裏に、この間おにぎりが上手く剥けなくてやたら謝っていた彼の姿が思い浮かんだ。



あの時の名誉挽回? まさかね‥。

雪は先輩にお礼を言うと、爆弾を手に取った。



その姿を見て笑う彼に、



とても無邪気な、良い意味でバカみたいな面があるんだと知った。




二人を包む空気は、春の暖かさを含んだものだった。

春先の突風は、向かいに座っている彼の髪をさらさらと揺らす。



日差しは暖かく、新緑に木漏れ日がキラキラと潤んでいた。

雪はそんな空気の中で、何かとときめいてしまう‥



勿論すぐ、何考えてんのと自分を諌めたけれど。








「あれー?なになに、二人付き合ってんの?え?え?」



なんとも脳天気な顔をした健太先輩が、通りがかりに声を掛けてきた。

課題に取り組んでいることが分かると、青田先輩の隣に座った。



ふいに青田先輩の携帯が鳴り、彼は「失礼~」と言うと電話に出た。



彼の仕草はスマートだったが、真似した健太先輩のそれはどこか滑稽だ。

「もしもし?うん。身体の具合はどう?え?今日?」



通話をしている先輩の横顔を、雪はじっと見ていた。



その顔が、表情が、微かに変化する様子を。



彼はそんな雪の視線に気がつくと、ちょっと電話してくると席を外した。



そんな青田淳の行動に、健太先輩はあれは確実に女だと断定し、雪に耳打ちする。

「俺らの知らない女だから、席外したんだよ」と。



雪は「分かりませんけどね」と言葉を濁したが、頭は先ほど見た青田先輩の表情の方が気になっていた。

一瞬見せたあの表情。



にこやかだった彼が刹那に見せた、険しさが。




「そうだ、お前最近俺のメール無視してるだろ」



いきなり痛いところを突かれた雪は、思わずギクッとした。

雪は言い訳として、最近課題が溜まってて集中するために電源を切っていたと言った。

携帯が古くて調子悪いんです、とも。

しかし健太先輩は怯むことなく、それなら恵の携帯番号を教えてくれと迫って来る。



雪は断る理由を必死に考えた。

「あ‥あの子人づてに番号が伝わるの好きじゃないんで‥!

ほらあの子可愛いし、こういうこと前にも結構あってですね‥」




高速回転する脳みそが、ペラペラと言い訳を口にする。

しかし健太先輩は野生の勘が働いたのか、雪に向かって懐疑な目を向けた。

「おい、お前まさかわざと避けてんじゃねーだろうな?」



そう言って凄んでくる健太先輩に、雪は二の句が継げなかった。

猛獣に睨まれたウサギ‥まさにこんな気分だ。



雪が動揺のあまり固まっていると、健太先輩は豪快に笑って肩を叩いた。

冗談だよ冗談!と。



今は恵ちゃんも忙しいだろうし、また落ち着いたらよろしく頼むと健太先輩は言った。

ビクついて損した‥。思ったより興味無いのだろうか‥。



雪がとりあえず安堵の溜息を吐いていると、青田先輩が帰ってきた。

健太先輩はその後、青田先輩のしているブルガリの時計の値段を聞きたがったり、

それを腕にはめたいと言ってみたりと、相変わらずの暴走ぶりを発揮する。



雪はそんな二人を見ながら、頬杖をついた。



春の風は三人の傍を、颯爽と吹き抜けて行った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<課外課題>でした。

過去のゴタゴタ抜きにすると、とっても爽やかかつときめく回でした。
健太先輩はアレですが‥。

おにぎりを上手く剥けるようになった先輩ですが、実は人知れず努力してましたw



家政婦さんに剥き方を教わる先輩‥。

口でむしるとか斜め上すぎて‥笑


次回は<苦い記憶>です。


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恋心(2)

2013-07-21 01:00:00 | 雪3年1部(開講~二人の写メ)


雪と恵は昼食を取りながら、大学生活のことについて話していた。

雪は恵が学科は違えど同じ大学に入学してきたことが嬉しくて、

つい色々アドバイスをしてしまう。

それに対して恵はニコニコと応えてくれるので、雪は嬉しかった。



するとふいに恵が、一昨日構内で健太先輩に会ったと言い出した。


恵の姿を見ると声を掛けてきた健太先輩は、案の定馴れ馴れしい態度で彼女に接して来たと言う。



自分のことは健太さんと呼んでほしいと言い、これからお互いをもっと知っていこうと言うとほくそ笑んだ、と。

例の脳内暴走列車・柳瀬健太である。



途中佐藤広隆が通りかかった際、ノートを借りようと健太先輩は彼を呼び止めたが、

佐藤は無視して立ち去った。



恵に携帯番号を聞こうとしていた健太先輩だったが、

結局そのまま佐藤広隆を追いかけてその場を後にしたと言う‥。



雪は予想通りの健太先輩の暴走ぶりに打ちひしがれた。



恵には経営学科の近くに来る時は必ず連絡することと、

また迫ってこられたら彼氏が居ると言うようにと注意した。



すると恵は何か言いたげに、視線を空に彷徨わせた。

おずおずと、聞きたかったことを口にする。

「ねぇ、ゆき姉‥さっきの先輩って‥人気あるんでしょ?」



恵の脳裏に、爽やかな笑顔を浮かべる青田先輩の姿が蘇った。

雪は彼女の興味津々な視線を感じて、「やっぱりこの話題がキター!」と身構える。



「まぁ‥ね。見ての通り、あの人はもう芸能人みたいなもんだから!あははは‥」



嘘では無かったが、青田先輩は雲の上の人だという雰囲気を醸し出しながら雪は彼についての見解を述べた。

すると恵は、その表情を曇らせながら多少自虐的にこう言う。

「そうだよね‥当然モテるよね‥かっこいいもん‥」



その表情を前にして、雪はなんだか悪いことをしたようで良心がチクチクと痛む。

続いて恵は、青田先輩の名前を聞いてきた。

”青田淳”と彼のフルネームを口にすると、恵は「名前までかっこいい」と頬を染めた。



その天使のような可愛さビームに、雪はやられっぱなしだ。



恵の心から恋心が生まれるのを、ひしひしと感じながら‥。





別の日、雪と聡美と太一は、三人でスーパーに来ていた。

今日は同じ学科の直美さんの誕生日。直美さんは同期だが、二歳年上のお姉さん的存在だ。

同学科の女の子たちで寄り合って、誕生祝いをすることになったのだった。

ケーキはもう他の子達が調達したということで、雪達三人はお菓子を買っていくことになった。



店内のパネルを見てお菓子コーナーはあっちだよと言う雪に対して、太一は野生の勘で違う方向へ歩いて行く。

その間にも彼は試食を食べまくり、店員に注意されていた‥ww

お菓子の棚を見て何がいいかと迷っていると、ふいに聡美が全然関係ないことを言い出した。

「ねぇ雪、とりあえず合コンしよーよ」



いきなり何を言い出すのかと雪は困惑したが、聡美はこの間合コンしたメンバーと意気投合したので、

今度は雪も一緒にどうかと誘ってきた。



いつ合コンなんかしたんだろう‥。

そう雪が問うと、ふいに太一がお菓子を落とした。



呆気に取られた表情でこちらを見つめる太一は、

明らかに動揺していた。



その不自然な態度を見て、雪は太一の抱いた恋心を確信する。



脳裏には去年の夏、

横山を殴った時に聡美に嫌われるんじゃないかと泣いていた太一が思い浮かんだ‥。





しばしぼんやりしていた雪だが、聡美に髪を弄られると我に返った。



聡美は合コンに行ったことを事前に雪に言わなかったため、

それを気にしてぼんやりしてるのかと気を揉んでいた。



雪が否定すると、聡美は「次からは何でも雪に話すから」と肩を抱いた。

再び合コンに行くかどうか聞いてきた聡美に、雪は合コンなど考えたことも無かったし、

あまりにも急すぎると難色を示した。

すると聡美は「青田先輩のことがあるからでしょー?」とからかってきた。



二人に進展があったら絶対話してね、と言う聡美に、雪は乾いた笑いを立てるしか無かった‥。









学校に着くと、早速直美さんの誕生日パーティーが始まった。

同期、先輩、後輩と女の子達が集まって、彼女の誕生日を祝う。彼女は誕生日ハットもかぶり、嬉しそうだった。



ただ一人の男子、太一は机に並べられた沢山のお菓子とケーキにがっついていたが‥。


ふいに同期の女の子が、雪の友達ですごく可愛い子がいると聞いたと言ってきた。



「健太先輩に紹介することになったんでしょ?超自慢してたよ」

雪は誇張された真実に驚きを隠せない。

「ちょっとぉぉ!なんでそんな話になってるの!彼氏持ちって言ったのに‥。

あまりにもしつこいから聞いてみるって言って流しただけだったのに‥!」




隣で聡美が「ハメられたわね‥」とお気の毒モードで言った‥。

女子たちの話題は、そのまま健太先輩の暴走機関車ぶりについてに移っていった。



~語られた暴走っぷり一覧~

・基本ホラ吹きだ。

・頼んでもないのにイッキした挙句、外で吐いていた。

・ご飯を奢ると言っときながら途中で姿をくらます。

雪はその話題を黙って聞いていたが、なぜかそこから話は横山翔についての話題に移った。



去年横山と一悶着あった雪と聡美は、その名前が出るとビクッと動きを止めたが、

学科の子たちは内情を知らないため、横山についての噂を続けた。



可愛い子なら誰にでも声を掛ける横山。その軽率な態度に皆が辟易していた。

中でも平井和美にまとわりついていた時は、その激しいバトルは凄かったと皆笑っていた。

しかし去年の秋学期から、なぜ彼が急に休学したかについては、誰も知らないでいた。



雪はささやかれる話題、久々に出てきた名前を聞いて、ぼんやりと去年のことを思い出していた。


すると携帯が鳴って、メールが一通入ってきた。



一緒にやろうって言ってた課題だけど、ちゃんとやってる? 

来週にでも会ってお互い確認し合おう。^^




雪は青田淳からのメールに顔をしかめた。

”課題”という単語に目が留まる。

去年、平井和美が故意にプリントをすり替え、徹夜で課題に追われた記憶が蘇った。

懐かしい名前たちは苦い記憶を思い出させる。

雪は、心がズキズキと痛むのを感じていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<恋心2>でした。

今回も日本語版でカットされた内容が殆どでした。確かになきゃないで話は通じますが‥。

個人的にはスーパーで太一が試食しまくって店員さんに注意されてるのとか、なんでカットした!という感じですww

次回は<課外課題>です!

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恋心(1)

2013-07-20 01:00:00 | 雪3年1部(開講~二人の写メ)
朝。

雪の携帯から目覚まし代わりの着信メロディーが大音量で流れる。

目覚ましとしてセットされているのは、歌手フィソンの”不眠症”という曲だ。

♪針のような悩みも全部 切り裂いて明日へ♪



雪は手探りで携帯を探し、音楽を止めた。

まだ眠気の残る頭でご飯を炊いてないことに気がつく。朝ごはん無しである‥。



二回セットされたアラームからは、もう一度着メロが大音量で響いた。

♪夢よりもずっと君のことを思い夜を更かし~Feels like..♪



その大きなボリュームに、隣の浪人生は壁をバンバン叩いて来た。

「あんた二回もアラームセットしとんじゃないわよ!あんたのせいであたしゃ不眠症よぉぉ!」



外に出ると、暗いオーラを背負った彼に案の定注意された‥。



浪人生だからなのか、ちょっぴり神経質らしい。

ふと雪の携帯が鳴った。恵からのメールである。

ゆき姉!今日のご飯の約束忘れてないよね?

今日はこの間一緒出来なかった分、ランチに行く約束をしてあるのだ。



雪が恵からのメールに癒されていると、続いてもう一度メールを知らせる音が鳴った。

恵ちゃんの件どうなった?!上手いこと言ってくれたか?!



健太先輩からのメールだったが、雪は見ないフリして携帯を閉じた‥。




季節は三月といえど、まだ冷たい風が身に染みる。



雪が信号待ちをしていると、また携帯が鳴った。

授業の課題一緒にやらない?あとEメールアドレス教えて



雪はそのメールを見て、思わず顔をしかめた。

青田先輩は、この頃ずっとこんな感じだ。


携帯からは大音量の着メロが流れた。

♪どうして~悲しい予感は外れやしないの~♪



なにこのタイミング‥。



雪の大学生活が、また大きく変わろうとしていた。




「疲れた‥」



ゲッソリとそう漏らす雪に、そんな彼女を心配した聡美が声を掛ける。

「五月病とか?」「ううん、なんか‥甘いもの食べたいー」



二人はそのまま何気ない会話を重ねた。

「あれ?聡美、その携帯ストラップの人形って新しく買ったやつ?かわいいじゃん」

「でしょ?」



そして話題は今日のランチについてへと移り、二人はプリントアウトした地図片手に熱弁する。

「最近新しくオープンしたカレー屋さん、超人気らしいっすよ!」

「またインテリアがブログに上げたくなるほど素敵だって!」



雪、聡美、太一の三人は、実は三人だけのサークルを作っていて、その名も「味趣連(ミシュレン)」といった。

昼休みの度に大学の近くの美味しい店へ出陣するサークルだが、

太一が「味」担当、聡美が「趣(おもむき)」担当、雪が「連(つれ)」担当でミシュレンとは、上手く言ったもんである。



どうやら今日はカレー屋に出陣することになったらしく、聡美は前方の席に座っている青田先輩に話しかけた。

「先輩はそのカレー屋さん、行ったことありますか?」



青田先輩は、一年生たちを連れて行ってみたけど悪くなかったよと言った。

聡美が自分たちも年はイッてるけど後輩ですよとその身を乗り出す。



先輩は笑いながら、じゃあ今度なと言った。

雪はなるべく関わりを持たないようにと黙っていたのだが、今度は青田先輩の方から声を掛けてきた。

「雪ちゃん、悪いんだけどペン借りてもいいかな?」「あ‥はい!」



雪がペンケースの中からボールペンを探っていると、聡美と太一がグフグフと笑って雪の方を窺った‥。



その後、太一が青田先輩と世間話を始めた。健太先輩の姿が見えないのはインフルエンザだからだとか、

他の先輩達はみんな二日酔いで授業に来てないとか‥。そして最後には服の話題で盛り上がっていた。

楽しそうな会話をする二人を見て、雪は複雑な気持ちがした‥。





授業が終わって、聡美と太一は青田先輩と話せるのも雪のお陰だと喜んだ。



当然雪は釈然としない。

「あんた達が話しかけたはずなのに、なんで私がペンを貸さなくちゃならないの?」



すると二人はバカじゃないのと言った空気で雪にダメ出しだ。

「わかってないすね~!わざと雪さんの前に座ったんじゃないっすか!」

「うちらはあんたのダチだからよくしてくれるだけ!どんだけ鈍感よ?」



すると建物の影から、恵が雪を見つけて出て来た。

「ゆき姉!さっきからずっと向こうで待ってたんだよ!」



雪は辺りを見回して、健太先輩のことがあるからこっちの建物に近づいちゃダメ!とがなる。



その後恵を聡美と太一に紹介すると、雪はお昼は恵と食べるから先行ってと、二人を見送った。



雪と恵がランチは何を食べようかと話していると、後ろから聞き覚えのある声が掛かる。

「雪ちゃん!ペン返すの忘れてた」



ペンを受け取って雪がお礼を言うと、先輩がお礼は俺が言うべきでしょと笑った。

恵を見て雪の友達かと問う彼に、雪は互いを紹介する。



爽やかな笑顔で挨拶をする青田先輩を見て、恵は頬を赤らめた。



その後、恵は自分から自己紹介を始めて‥。



その積極的な態度と、上気した頬を横目で見ながら、雪は恵の感情に気がついてしまっていた。



誰からか、また携帯からは着メロが大音量で流れ始める。

♪どうして~悲しい予感は~外れたことがないの~♪





色々なことが、変わり始めていた。


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<恋心>でした。

雪の朝の目覚まし着メロはこれのようです↓

不眠症(Insomnia) Wheesung


隣人の「あたしゃあんたのせいで不眠症よぉ!」という可笑しみがようやく分かりました‥。


どうして悲しい予感は~♪
というのはこれのようです。↓

ひとりのための心 Kim Jeong Hoon


色々なサウンドが携帯に入ってるみたいですね!テンボルも然りね!(やはりしつこい)

次回は<恋心(2)>です。

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一緒の授業

2013-07-19 01:00:00 | 雪3年1部(開講~二人の写メ)
雪は教室に着いてからも、恵への健太先輩からのアタックを阻止する方法を考えていた。



険しい顔をしながら座っている雪。

そんな折、いきなり声を掛けられた。

「あれ?雪ちゃんもこの授業聞いてたんだね」「はい、先輩」



健太のことで頭がいっぱいだったので、雪は考える前に応答した。

その声の主が誰かということに気が回る前に。

ハッ!



思わず雪は自分の目を疑った。

なんと隣に、にこやかな青田先輩が座っているのだ。

「良かった。俺一人かと思ってたんだ。一緒に頑張ろうな!」



一難去ってまた一難‥。

ど‥どういうこと?!



目を剥く雪にはお構いなしに、先輩はにこやかにこの授業を取った経緯を話し始めた。


「俺、もう授業あんまり取らなくてもいいんだけど、

この授業は人も少ないし課題もそんなに難しそうじゃなかったから、受講してみたんだ」




「だから雪ちゃんもこれ取ったの?」「ソウデス。グウゼンデスネ」



先輩の質問にまだ頭の整理がついてない雪は、ロボットの如くそう答えた。

瞳は猛スピードで教室に居る学生を見回し、知った顔が居ないと分かるとほくそ笑む。

よし!授業終わったらソッコー家帰って、オンデマンド受講に切り替え‥



「今回オンデマンド廃止されたってね。もう殆ど閉鎖してるみたいだよ」



心の中を読まれたかのようなタイミングに、雪はぶふーっと吹き出した。

慌てふためく雪を見て、青田先輩は真剣な口調でこう言う。

「雪ちゃん、俺が居ると気まずい?」



雪は口元を押さえながら、その言葉の真意を探った。

本心で言ってる?じゃなきゃ、分かって聞いてるのか。



彼の、雪を気遣う表情は真剣に見える。



こんな表情をされては、私の方が悪者みたいじゃないかと思い、雪はイラついた。

答えようと口を開いた瞬間、教授から声を掛けられた。

「そこ!学生二人!」



授業が始まったのに、あまりにも二人向き合いすぎですよと教授はからかうような口調で言った。

そして淳に目を留めると、その印象を正直に述べる。

「あら?あなたひょっとして芸能人?ドラマか何かに出ていなかった?」



教授はそういった事情を抱えた学生が受講するなんて聞いていないけど‥と続けると、

青田淳はその爽やかな笑顔でこう答えた。

「いえ、ただの学生です」

「ほほほ‥実はそうだと知っていたけど、あまりにも素敵だから一度話しかけてみたかったのよ」



その教授の言葉に対し、青田淳はニッコリと微笑んで返答する。

「ありがとうございます。教授もお綺麗ですよ^^」「まっ!お世辞まで上手ね」



そのおべっかにまんざらでもない教授、にこやかな先輩、そして集まってくる皆の痛いほどの視線。

雪は勘弁してくれと、教科書で顔を隠すように丸まった。



周りからのヒソヒソ話が聞こえる。

え?なになに、芸能人? マジイケメンじゃん。 隣の女が彼女? まっさかぁ。

ただの知り合いだろ。女の方が言い寄ってるとかね。キャハハ


雪は苛立っていた。



ただ授業を聞きに来ただけなのに、どうして自分の悪口みたいなことを聞かされなければならないんだ。

これもそれも青田淳のせいだ。

青田め~~~~



怒り心頭の雪。

しかし不意に、顔を隠すように持っていた教科書が外された。



どうしてこうしてるの?と青田淳が外したのだ。

「なんか気にさせちゃったみたいだな。ごめんね」



先輩の言葉に、雪は溜息を吐きながらも、「先輩のせいじゃないですから」と答えた。

すると先輩は、雪の方を見ながら真摯な表情でこう言う。

「雪ちゃん。俺のこと先輩だからって気張らずに、気楽に接してな」



雪は、これが本心なのかそうでないのか、本当に判別出来なかった。

にこやかに笑う彼は、去年の彼とは明らかに違う。



新歓飲みの時、雪のことを汚らしいとまで言っていたじゃないか。

雪が書類を落とした時も、あれほどの冷淡さを見せたじゃないか。


同一人物じゃないみたいだ‥。



雪はあの疎ましく感じていた後ろ姿が、瞼の裏に映るのを見た。

しばし封じ込めたはずの去年の記憶の海を、揺蕩っているような感覚で。








目を覚ますと、ヨダレで教科書が顔に引っ付いていた。

辺りは席を立つ為に椅子を引く音や、学生たちの歓談の声でざわざわと騒がしかった。

「大丈夫?あまりにもよく寝てたから起こさなかったんだ」



まだ起き抜けで状況が理解出来ない雪に、

先輩は「今日はオリエンテーションだし大したことは言ってなかったよ」と言いながら、

取っておいてくれたプリントを手渡してくれた。

「あ、ヨダレまだついてるよ」



あまりの恥ずかしさにそそくさとこの場から去ろうとした雪だが、

先輩はどこか嬉しそうな口調で言った。

「知らなかったなー、雪ちゃんがこんなに面白い子だったとは」



行こっか、と彼は言った。

呆気に取られたような雪は、共に教室を出るしかなかった。





なんでこの人と一緒に帰ってるんだろう‥。

雪は何もかもが甚だ疑問だったが、とりあえずは正門まで彼と一緒に歩いた。

すると先輩は、夕飯を一緒にどうかと誘ってきた。

「いえ!お断りします!」



あまりにも早い返答、そしてちょっと先輩に対しては失礼なくらいきつい口調になってしまった。

ポカンとした表情で、青田淳が自分を見つめている‥。



雪は弁解するように、彼と夕飯を取れない理由をペラペラと喋り始めた。

「い‥家の掃除をしなきゃならないんです!荷物段ボールに入ったままで!

テレビ電話というものが発明されたお陰で大変なんですよ!先輩は掃除とかしないんですか?!」




キョトンとしている先輩。

雪はしどろもどろになりながら説明を続ける。

「‥えーとだから‥掃除をしないと母に怒られてしまう‥。

私の精神の健康と鼓膜の安全のために‥」




そこまで喋ると、先輩は豪快に笑った。

「プハハハハ!」



は‥?



予想外の反応に、思わず目を丸くする雪。

先輩は雪を見て微笑むと、こう優しく言ったのだった。

「分かったよ。それは早く帰らなきゃな」



固まった雪を見て、「本当に面白い子だな」と付け加えて。




雪は物凄い勢いで帰宅した。



隣人の浪人生が「ドア壊れちゃうじゃない!」と文句を言うのも気にならなかった。

~誰よりも早く個性的に~



くつ!ふく!かばん!パソコン!

雪はオンライン授業登録の画面を前に、頭を抱えた。

「しまったぁぁ!他の授業全部埋まってる!」



単位の都合からいって、もうあの授業を取るしか無い。

青田先輩とこれから一学期間、一緒の授業を‥。

うわあああああ!ムリムリムリムリ!




雪は家の中をゴロゴロと転がった。

その間ずっと隣人は、ガンガンと壁を叩いていた‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<一緒の授業>でした♪

今回の話の中盤部分は、日本語版webtoonではカットされた部分です。なんでカットされたのかは謎ですが、

記事にしてみました。楽しんで頂けたら幸いです。



雪が家に帰ってからの「誰よりも早く個性的に」は、

最速ラップと呼ばれる韓国の歌手アウトサイダーのキャッチコピーだそうです。

Outsider - Hero (ft. LMNOP)


雪の素早い仕草、確かに個性的‥笑

次回は<恋心(1)>です。


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一人暮らしと幼馴染み

2013-07-18 01:00:00 | 雪3年1部(開講~二人の写メ)
まだ段ボールの片付かない混沌とした部屋の中で、雪は母親と電話していた。

「部屋の片付け?そんなのとっくに終わってるよ~」



「掃除もしたし、ゴミの分別だって完璧だから!」



口から出る言葉と反比例したこの部屋を見回しながら、雪は冷や汗をかいていた。

おまけに母親がテレビ電話で本当かどうかを知りたがったので、ますます雪は声を大にして嘘をついた。

「いやいや本当にちゃんとやったってば!!」



すると、隣の部屋の人が壁をガンガンと叩いてきた。雪の心臓は跳ね跳びそうになる。



ここは安アパートなので壁も薄く声が響くらしく、少しでも大きな声を出すと隣人は壁を叩いてくるのだ。

雪は電話を切ると、天を仰いで溜息を吐いた。



思い描いていた一人暮らしとどこか違っている。

あれほど大きな決意で臨んだ休学も出来なかったし、

あの男は急に態度を変えるし‥。



雪の脳内で、ヘラヘラと自分に声を掛けてくる青田淳の姿が思い浮かんだ。

もうわけが分からない‥。

考えようにも理解が出来なすぎるまま、夜は更けて行った。



翌朝、雪は大あくびをしながら部屋を出た。



今日取る予定の授業は知り合いも居ないし、様子を見てオンデマンドに切り替えようか‥と考えていると、

突然隣のドアが開き、隣人が出てきた。

「ちょっとアンタ!大家さんに浪人生が隣りに住んでるって言われなかった?」



「常識ってもんを知らないのかしら?電話の声も丸聞こえだっつーの!」

初めて見る隣人は雪の姿を見るや否や、その不満をつらつら並べ始めた。

言うだけ言うと、今度から気をつけるようにと最後に言い残して、バンッとドアを閉めて隣人は部屋へ帰っていった。



雪は呆気にとられた。

オネェ言葉といい、その爪にされたマニキュアといい、あらゆる面で衝撃的な隣人だった‥。

ぽかんと口を開けたままでいると、ふいに携帯が鳴った。



もうすぐ授業終わるんだけど、時間大丈夫? 小西恵

幼馴染みの恵からのメールだった。

雪はとりあえず大学へ向かった。




「よぉ~!赤山!ここで何してんだ?」



恵を待っていると、健太先輩から声を掛けられた。

「知り合いを待ってるところです。小さい頃からの幼馴染みで、今年うちの美術科に入学して来たんですよ」



健太先輩が「それは女か?可愛いのか?」と食いついて来た。雪が苦笑いをしていると、向こうから恵がやって来た。

「おーい!雪ねぇ!!」



久しぶりの再会に、雪と恵はキャアキャアと手を取り合って喜んだ。



雪にとって恵は、昔からご近所に住む幼馴染みだが、可愛い妹のような大事な存在だった。

また恵も、一人っ子の彼女にとって雪は頼りになる姉のような存在だった。

小さい頃は雪をめぐって恵と雪の弟の蓮がよく喧嘩をしたものだった‥。


盛り上がる二人に、健太先輩が声を掛けてきた。まだ居たんかい



雪は健太先輩をうちの学科の先輩だと恵に紹介すると、恵は丁寧な笑顔を浮かべて自己紹介した。

健太先輩が二の句を継げないでいると、恵は今からミーティングだったと慌て出した。



恵は笑顔で別れの挨拶を雪と健太先輩にすると、その小さな身体で一生懸命走って行った。

雪も笑顔で見送った後、隣で健太先輩が微動だにしてないことに気がついた。



やばい、逃げようと思ったが遅かった。

「赤山っ!」



健太先輩はお前とあの子本当に仲良いんだよなと猛烈な勢いで詰め寄って来た。

「それなら俺に紹介してくれ!」



健太先輩がそう言い終わらない内に、雪は「あの子彼氏居ますよ」と咄嗟の嘘を吐いていた。

しかし健太先輩には全く効かなかった。

「そうなのか?でも大学に入ったんだし気が変わるかも!」



それは無いと思うと言う雪に、とりあえず一回聞いてみてくれよと健太先輩は強い眼力で言った。

雪はそれでもなんとか流そうとしてみたが、健太先輩の必死の頼みに根負けし、ついにしぶしぶ了承した。

「‥聞いてみるだけですからね?期待しないで下さいね」



そんな弱々しい言葉にも、健太先輩は絶大な期待を寄せた。

雪は困ったことになったと教室へ走りながら思った。



あの人相当しつこいのに!何されるか分からない‥彼氏の件が嘘だとバレたらなおさらだ!

恵にあんな人を紹介するなんてありえない。

雪の脳裏には幼い頃の恵の姿が思い浮かんだ。



パジャマ姿で追い出された幼少の時、雪の母に恵は必死に許してくれるように懇願してくれた。



給食代を無くして1ヶ月昼飯抜きだった高校時代、恵は中学生だったのに雪の為にお弁当を作ってくれた。



その他もろもろ、雨が降ったら傘を持ってきてくれた、手作りのクッキーを差し入れしてくれた‥。

脳裏に浮かぶ数々の思い出のBGMに、賛美歌が流れ続けた。


小さい頃から傍に居た。

思い出せばキリがない程、恵はいつも雪を助けてくれた。



あの天使のような恵を、あの健太先輩に紹介するなんて‥。




ダメ!絶対!



同じ大学といえど、幸い恵は美術科。

経営学科とは校舎も離れているし、どうにか避けて行動すれば問題ないだろう‥。


不安な気持ちを納得させるかのように、雪は自分にそう言い聞かせた。

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<一人暮らしと幼馴染み>でした!

恵ちゃんがようやくちゃんと出て来ましたね。

小さい頃から無償のような愛情をくれた恵ちゃんは、雪にとっては特別可愛い存在なんでしょうね。

そんな恵ちゃんのBGMは、賛美歌です。

(Libera - Sanctus)



分かる限り、本編に出てくる音楽を紹介したいと思っています。

まぁ一番の衝撃はやはり「テンボル」でしょうけどね!(しつこい)

次回は<一緒の授業>です!

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