夕螺の一言日記

毎日心に浮かんだことなどを書いてみたいと思います。。。(2014年3月13日開設)

2014年 7月11日(金)「利潤率の低下」

2014年07月11日 22時51分23秒 | 「政治・経済」
ある企業が賃金(可変資本)として1億円を支払ったとする。剰余価値率が100%ならば新たに生産された商品の価値は1億円+1億円=2億円です。この時に原材料やエネルギー代などなどに不変資本が1億円ならば
利潤率=剰余価値(1億円)÷可変資本(1億円)+不変資本(1億円)=50%となる。
この時生産性が上がって同じ1億円の可変資本(つまりこれまでと同じ労働者数を雇用して)で2億円の可変資本を商品に価値移転できるようになったらどうなるか?剰余価値率は変化しませんから100%のままです。
利潤率=剰余価値(1億円)÷可変資本(1億円)+不変資本(2億円)=33%となります。
生産性の向上は同じ労働力量を使ってより多くの不変資本を商品に価値移転できるということですから、可変資本と不変資本の割合が変化して資本の有機的組成を高度化させるということです。ですから上で見たように有機的組成の高度化は必然的に企業の利潤率を下げます。
この時企業が利潤率を維持しようとしたら何を行うか?剰余価値率=可変資本分の剰余価値を上げることです。そうならば可変資本を減らす(賃下げ)ことにより剰余価値率は高まります。つまり搾取強化です。それにより剰余価値が増加をする。剰余価値の増加は利潤率を引き上げます。
日本が行ってきた経済政策はこのようなものであった。
しかし賃下げは労働力商品の価値以下への引き下げですから本来経済法則から見れば禁じ手なのです。しかしその禁じ手に頼るしか利潤率の低下を食い止められなかったということでしょう。
利潤率が下がれば株価も下がっていく。これを食い止めたかったのでしょう。
しかしアベノミクスは円安により輸入品の価格を上げてしまった。これにより不変資本量が高くなってしまいました。これは特に国内産業にしてみれば不変資本の増大は生産性向上と同じような作用をして利潤率を下げていきます。剰余価値率を賃下げで上げても不変資本が増えるのですから利潤率は上がらない。ここに矛盾が集中してきます。ですからさらに賃下げに走ろうとします。それが労働の規制緩和という新たな成長戦略でしょう。物価を上げることは円安と消費税で行いました。しかし実質賃金は下がり続けていますからこれは相対的な賃下げとなります。これからは実際の賃下げとこの相対的な賃下げという二重の意味で賃金は下がり続けます。
しかしこのような経済法則を無視した労働力の再生産以下への賃下げは消費を極端に抑える作用をするでしょう。利潤率が上がってもその金の使い道が拡大再生産に向けた設備投資には向かわない。銀行も貸し出す場所がなくなる。社会的な生産性が縮小していく。
コメント
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