昨年末。
米沢に住む祖母が、軽い脳出血で倒れた。
.....いや。
脳出血とは言っても、本当に軽いものらしく、
病院へ運ばれた翌日には、もう退院となったほどなのだが.....。
もうすぐジャガイモの植え付け。
種イモの準備に入りました。
『男爵』『アンデスレッド』『インカのめざめ』。
うまく育つかな?
しかしやはり、年齢が年齢ということで、皆、一様に心配したものだった。
が。
さりとて、『即日退院』の病状で押しかけては、
病人を疲れさせるだけだろうというのもあって、
私と妹は話し合い、それぞれ、お見舞金を送ることに決め、
祖母と共に住む伯父達には『くれぐれもお返し等の気遣いはしないで欲しい』と、
そう伝えたのだった。
が。
普段は元気いっぱい。
少しもじっとしていない祖母のことである。
案の定、ここにきて、なにやらせっせと買いに行き、荷物を送ってくれたらしく、
一昨日のこと。
「明日、荷物が着くから留守にしないように」と、
突然、そう、電話をよこしたのだった。
こちらの方は、到着した荷物にものすごい食いつきを見せてます(笑)
見て下さい、この背伸び。
しかし、足短いな、ちゃあこ(爆)
ところで、ちゃあこの足元右側の床ににあるシミ、見えますか?
何かをこぼしたわけでもないのに、日に日に濃く浮き上がってくるの~。
なんで?(拭いても決して落ちない)
そして、昨日。
その荷物が無事に届き、
開封してみれば、米沢名物。
鯉の甘露煮がどっさり。
身がぎゅっと締まって、噛めば噛むほど美味しい鯉。
しかし骨は信じられないほど硬く、キケン(笑)
この、鯉の甘露煮と米沢については、以前にも書いた、
『ケネディに尊敬された男・上杉鷹山』に深い関係があるのだが。
(『かてもの』については↑を参照。「かてもの」で検索しても面白い)
1802年。
その、名君・鷹山公が、動物性たんぱく質の乏しい山国米沢に、
相馬から稚鯉を取り寄せ、飼育させたのが始まりということである。
しかし、この鯉の甘露煮。
お店によって、大きく味が違い、モノによっては『味が薄い』、
『鯉独特の臭みが気になる』等の理由で、魚好きな私でさえ、
食べられないものがある。
色んなお店がある中でも、
この創業150年、『鯉の宮坂』だけは別格。
が。
昔から、祖母が買って来るこの『宮坂』の鯉だけは、
一度箸をつけたらとまらない美味しさで、食べた者の舌と心を魅了するのである。
「だからくれってば~!その鯉を!」
今までに見せたことのない執念で『なんとかこいつを食べてやる』と、
しつこく食い下がるちゃあこ。
確かに美味しい鯉だけど....
何がそんなにちゃあこの恋心をかきたてるの!?
その貧しさゆえに、独特の食文化を持つようになった米沢。
今でこそ、祖母の家の前にも、コンビニなど出来、便利になったけど。
子供の頃は、そこらに胡桃が落ちてて、タバコ畑や野菜畑がいっぱいで、
農道には、ぺったんこに轢かれたヤマカガシがいたり、
川にもぐれば、鮎がたくさん泳いでたり.....
空には見たこともないイトトンボ。
それは素敵な場所だった。
こちらは私のデザート。
ベルギーのビスケット『ロータス』チョコがけ版。
エスパー妹がかつて、ロンドンへ一人旅をした時。
歩き疲れて入ったカフェで、これ(プレーン)が出てきて、
「疲れた体と心に、それがものすごく美味しかった.....」と。
以来、私にとっても、ここのお菓子は見るたび「あっ♪」っと、
目を留めるものとなった(笑)
そして今も、叔父たちは当たり前のように山に入っては、山菜を採ったり、
時には立派なマツタケを採ってきては、食卓に並べたりする。
祖母はたくさんのきのこを塩漬けにして保存し。
子供の頃に遊びに行くと、塩抜きをしたそれが味噌汁の具となって出てきたり、
漬物のカメが縁の下にあったり。
子供の頃のことは、あまり覚えていない私でも、
それらの記憶だけは、やけに鮮やかで.....
まだ、その風景が、目の前にあるようだ。
プレーンが堅くって歯ごたえばっちり、どこか懐かしい感じなのに対し、
チョコがけのこちらはサクサク軽い、現代風な感じ。
今や、飽食の限りを尽くした食生活を送る私に、
質素な暮らしをする祖母が送ってくれた鯉の甘露煮。
うんと味わって、食べよう。
この、甘くてからい味は、特別なものなのだから。
ところで....
こいつの箱には小分けパックが6つ入っていると書かれているが。
さっき箱の中を見たら、2パックしか入っていない。
.....おかしいなぁ。私は1パックしか食べてないのに。
6-1=5だよね?なのになぜ、6-1=2に....!?
「ねぇ、ゴンザ、なんか知らない?」
それとも.....これは私が計算が苦手だからなの?