ミツバベンケイソウには無性芽は発生しないと言われています。生物の先生からも茨城の山のミツバベンケイソウには無性芽はないと聞いております。ところが庭では発生するのです。
最初に庭でミツバベンケイソウの無性芽を見たのは2007年でした。

庭のミツバベンケイソウが初めて無性芽を発生させたのは2007年のことです。その時の個体は茎が直立するもまだ小さなものでした。当時の茎長は15cmくらいかと推定します。栽培状況は、湿地に見立てるために、フライパンの中に四角の植木鉢(大きさは対辺がちょうどフライパンの内に入るもの)をおいて、鉢の中に石囲いをして土を山盛りにし、フライパンに水を満たしたものです。ここにアケボノソウの種を播き、イワタバコを植えて、土の表面は苔で覆っておきました。木漏れ日のもとで、湿潤で風通しがよい状態に管理すると両者とも自生地にあるがごとく生育して花を咲かせました。ここにミツバベンケイソウの種が落ちて発芽しました。無性芽が発生したのは発芽2年目くらいの若い苗のときでした。まだ、茎には木質化したような硬さがなく、白っぽい薄緑色でみずみずしい感じの状態で冬を迎えようとしていた矢先に凍結する事態になりました。このため若葉のような葉と茎はとろけるように垂れ下がった状態になって、一部は枯れてしまうも、どうにか生きていました。その後しばらく凍結するような寒さにはならなかったようで、日にちが過ぎたときに、枯れかかった茎に無性芽が発生しているのを発見しました。
この時は不思議なことにイワタバコにも無性芽が発生しました。

イワタバコ(正確にはケイワタバコ)の花序にも同年に無性芽を確認しました。イワタバコに無性芽が発生するとは図鑑にもNETでも見当たらずこれも非常に稀な現象です。
イワタバコ科のマツムラソウは花序にできる無性芽で増えるそうです。イワタバコの無性芽の発生については謎のままです。ある研究者からは「一回しか見られていないと言うことも合わせても種としての特性というよりは、何らかの生理異常で根元に着くべき冬芽が果穂の先にできたということではないでしょうか。」とのお話しをいただきました。その後、このミツバベンケイソウとイワタバコ両者の無性芽の発生の再現を待っていますがいまだに同じような条件下での再現はありません。
ミツバベンケイソウに最初に無性芽を見たときは若葉のような葉と木質化しないやわらかい茎でしたが、その後大きくなった木質化したような茎にはほぼ毎年無性芽が発生するようになりました。
ミツバベンケイソウ posted by (C)雑草 フォト蔵画面が出なくなったので、別途画像をアップしました20220222

無性芽ができるのは11月後半から12月ころですが、ある時不思議なことに10月に無性芽が発生しているミツバベンケイソウがありました。


まだ10月だというのに茎が枯れています。そして無性芽はすこし伸びていました。
一見枝が出たようですが、幹が枯れても生き残っているので無性芽に間違いないようです。
なぜこのようになったかはすぐにわかりました。

ネナシカズラがミツバベンケイソウに絡み付いたために枯れてしまったのでした。
この二つの無性芽の発生には共通点があります。
それはミツバベンケイソウが枯れるほどのダメージを受けたがすぐには枯れないで、瀕死の状態になったときに、子孫を残すために無性芽を発生させたものでした。
ミツバベンケイソウはこのようにダメージをうけたときにしか無性芽を発生させないので、一般にはミツバベンケイソウには無性芽は発生しないものと理解されていたのでしょう。
との二つの事例が庭で起きたことによりミツバベンケイソウには無性芽ができるはずだと確信しました。
それでは、山の自生地でも発生することがあるに違いないと思い、無性芽が発生しないと言われている山のミツバベンケイソウを確認に行ったわけです。
その前に、無性芽はどのようなときに発生するのかを調べてみました。ネナシカズラが寄生すると発生するのはわかりましたが、ネナシカズラとミツバベンケイソウのどちらもまれにしか見ない草本で、この二つが同じ場所にあることなどまずありえないことです。
そこで2007年に発生した時の気象を調べた所、発生原因となる事象がわかってきました。
ミツバベンケイソウは凍結に弱く、冬には地上部が枯れてしまいます。
2007年11月の最低気温を調べると、初めて氷点下になったのが、23日と24かです。この時に枯れそうになるほどのダメージを受けながらも、その後10日ほど暖かい日が続いていて、この間に枯れそうな、瀕死の状態になったミツバベンケイソウが生き続けて無性芽を発生させたと思われました。
つまり、秋は気温が徐々に下がって行きますが、一直線に下がるわけではなく、ある時氷点下になってもまた小春日和がしばらく続いて、その後また寒くなります。この鋸がたに下がってはまた上がるを繰り返していよいよ冬になります。最初の寒波でダメージを受けたミツバベンケイソウは次の小春日和のときに無性芽を発生させたのではないかということです。
必ず山でも同じようなことが起こっているはずです。
そこでもう冬になってしまいましたが、奥久慈の山に無性芽を探しに行きました。
1701030034abcミツバベンケイソウ自生地 posted by (C)雑草
自生地ではすでに枯れ果ててしまいミツバベンケイソウを見つけにくかったです。
1701030013ミツバベンケイソウ posted by (C)雑草
ようやく探し出しました。中央の枯れたJ型の茎です。でも無性芽はついていません。
1701030016ミツバベンケイソウ花穂 posted by (C)雑草
枯れた花柄がついていました。
1701030010ミツバベンケイソウ冬芽 posted by (C)雑草
根もとの落ち葉を取ると芽がでていました。でもこれは無性芽ではありません。
1701030017abミツバベンケイソウ無性芽 posted by (C)雑草
目が慣れてくると、地上から少し離れた位置に芽がついていました。茎はすでに枯れていますから、これは無性芽のはずです。
1701030028abcミツバベンケイソウ無性芽 posted by (C)雑草
ようやく枯れた茎の先のほうに小さな芽を見つけました。棒の指し示す先に見えますか。
1701030033cミツバベンケイソウ無性芽 posted by (C)雑草
拡大するとこんな感じです。これは間違いなく無性芽です。ついに無いと言われていたミツバベンケイソウを見つけました。多くの先生方の常識を覆すような発見です。
ちょっとオーバーですね。
ミツバベンケイソウに無性芽がついているのは、北岳で発見されて、コモチミツバベンケイソウと名付けて新種登録されていました。でも今はシノニムになっているようです。つまりコモチミツバベンケイソウはミツバベンケイソウと同じということでしょう。
それにしても弁慶の名をいただいたミツバベンケイソウは生命力を持っているものです。
最初に庭でミツバベンケイソウの無性芽を見たのは2007年でした。

庭のミツバベンケイソウが初めて無性芽を発生させたのは2007年のことです。その時の個体は茎が直立するもまだ小さなものでした。当時の茎長は15cmくらいかと推定します。栽培状況は、湿地に見立てるために、フライパンの中に四角の植木鉢(大きさは対辺がちょうどフライパンの内に入るもの)をおいて、鉢の中に石囲いをして土を山盛りにし、フライパンに水を満たしたものです。ここにアケボノソウの種を播き、イワタバコを植えて、土の表面は苔で覆っておきました。木漏れ日のもとで、湿潤で風通しがよい状態に管理すると両者とも自生地にあるがごとく生育して花を咲かせました。ここにミツバベンケイソウの種が落ちて発芽しました。無性芽が発生したのは発芽2年目くらいの若い苗のときでした。まだ、茎には木質化したような硬さがなく、白っぽい薄緑色でみずみずしい感じの状態で冬を迎えようとしていた矢先に凍結する事態になりました。このため若葉のような葉と茎はとろけるように垂れ下がった状態になって、一部は枯れてしまうも、どうにか生きていました。その後しばらく凍結するような寒さにはならなかったようで、日にちが過ぎたときに、枯れかかった茎に無性芽が発生しているのを発見しました。
この時は不思議なことにイワタバコにも無性芽が発生しました。

イワタバコ(正確にはケイワタバコ)の花序にも同年に無性芽を確認しました。イワタバコに無性芽が発生するとは図鑑にもNETでも見当たらずこれも非常に稀な現象です。
イワタバコ科のマツムラソウは花序にできる無性芽で増えるそうです。イワタバコの無性芽の発生については謎のままです。ある研究者からは「一回しか見られていないと言うことも合わせても種としての特性というよりは、何らかの生理異常で根元に着くべき冬芽が果穂の先にできたということではないでしょうか。」とのお話しをいただきました。その後、このミツバベンケイソウとイワタバコ両者の無性芽の発生の再現を待っていますがいまだに同じような条件下での再現はありません。
ミツバベンケイソウに最初に無性芽を見たときは若葉のような葉と木質化しないやわらかい茎でしたが、その後大きくなった木質化したような茎にはほぼ毎年無性芽が発生するようになりました。


無性芽ができるのは11月後半から12月ころですが、ある時不思議なことに10月に無性芽が発生しているミツバベンケイソウがありました。


まだ10月だというのに茎が枯れています。そして無性芽はすこし伸びていました。
一見枝が出たようですが、幹が枯れても生き残っているので無性芽に間違いないようです。
なぜこのようになったかはすぐにわかりました。

ネナシカズラがミツバベンケイソウに絡み付いたために枯れてしまったのでした。
この二つの無性芽の発生には共通点があります。
それはミツバベンケイソウが枯れるほどのダメージを受けたがすぐには枯れないで、瀕死の状態になったときに、子孫を残すために無性芽を発生させたものでした。
ミツバベンケイソウはこのようにダメージをうけたときにしか無性芽を発生させないので、一般にはミツバベンケイソウには無性芽は発生しないものと理解されていたのでしょう。
との二つの事例が庭で起きたことによりミツバベンケイソウには無性芽ができるはずだと確信しました。
それでは、山の自生地でも発生することがあるに違いないと思い、無性芽が発生しないと言われている山のミツバベンケイソウを確認に行ったわけです。
その前に、無性芽はどのようなときに発生するのかを調べてみました。ネナシカズラが寄生すると発生するのはわかりましたが、ネナシカズラとミツバベンケイソウのどちらもまれにしか見ない草本で、この二つが同じ場所にあることなどまずありえないことです。
そこで2007年に発生した時の気象を調べた所、発生原因となる事象がわかってきました。
ミツバベンケイソウは凍結に弱く、冬には地上部が枯れてしまいます。
2007年11月の最低気温を調べると、初めて氷点下になったのが、23日と24かです。この時に枯れそうになるほどのダメージを受けながらも、その後10日ほど暖かい日が続いていて、この間に枯れそうな、瀕死の状態になったミツバベンケイソウが生き続けて無性芽を発生させたと思われました。
つまり、秋は気温が徐々に下がって行きますが、一直線に下がるわけではなく、ある時氷点下になってもまた小春日和がしばらく続いて、その後また寒くなります。この鋸がたに下がってはまた上がるを繰り返していよいよ冬になります。最初の寒波でダメージを受けたミツバベンケイソウは次の小春日和のときに無性芽を発生させたのではないかということです。
必ず山でも同じようなことが起こっているはずです。
そこでもう冬になってしまいましたが、奥久慈の山に無性芽を探しに行きました。

自生地ではすでに枯れ果ててしまいミツバベンケイソウを見つけにくかったです。

ようやく探し出しました。中央の枯れたJ型の茎です。でも無性芽はついていません。

枯れた花柄がついていました。

根もとの落ち葉を取ると芽がでていました。でもこれは無性芽ではありません。

目が慣れてくると、地上から少し離れた位置に芽がついていました。茎はすでに枯れていますから、これは無性芽のはずです。

ようやく枯れた茎の先のほうに小さな芽を見つけました。棒の指し示す先に見えますか。

拡大するとこんな感じです。これは間違いなく無性芽です。ついに無いと言われていたミツバベンケイソウを見つけました。多くの先生方の常識を覆すような発見です。
ちょっとオーバーですね。
ミツバベンケイソウに無性芽がついているのは、北岳で発見されて、コモチミツバベンケイソウと名付けて新種登録されていました。でも今はシノニムになっているようです。つまりコモチミツバベンケイソウはミツバベンケイソウと同じということでしょう。
それにしても弁慶の名をいただいたミツバベンケイソウは生命力を持っているものです。
可愛いムカゴ苗がちゃんと育ちますように。
いろいろな木で試してみると何かわかるかもしれませんね。
ミツバベンケイソウのムカゴのでき方が少しわかってきたような気がしました。
植物は奥が深いですね。