橋下市長の「慰安婦」制度必要論ならびに米軍への「風俗」活用進言をそのままにして、大阪の教育は行えるでしょうか。戦時には「慰安婦」制度が必要なことは誰が考えてもわかる―この発言一つ取っても、これまでの大阪の人権教育を否定するものです。下記に伊賀さんからのメールを掲載します。
子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会では、
一連の橋下発言について、大阪市教委の見解を正す要望書を提出しました。
橋下市長は、教育条例によって大阪市の教育目標の作成する権限が与えられ、今年度から大阪市教育振興基本計画の中に橋下市長の意向が色濃く反映されています。
橋下市長は大阪市の教育に大きな影響を与えており、その問題発言について、大阪市教委はこれ以上傍観することは許されません。
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私たちは、大阪市教育委員会に求めます!
教育目標の決定者である橋下市長の
「慰安婦は必要」等の発言について見解を明らかにしてください!
2013年6月3日
子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会
■橋下市長は、この間、「慰安婦」制度は必要なのは誰だってわかる」「日本軍だけでなく、いろんな軍で(「慰安婦」を)活用していた」「海兵隊の性欲をコントロールするために、風俗業を活用した方がよい」等、人権蹂躙・女性差別・歴史歪曲の暴言を吐き続けています。
橋下市長は批判にさらされると、「発言の一部が文脈から切り離され、断片のみが伝えられた」と矛先を報道機関に向けました。さらには、自らの人権蹂躙発言について反省も謝罪もせず、日本政府と軍の加害責任を棚に上げにしておきながら、自分こそが戦場での女性の人権蹂躙について真剣に考えているかのように世界に向けて発信しました。問題の本質をそらし、開き直って相手を攻撃し、自分への批判をそらすもので許すことができません。
さらに橋下市長は、在日米軍に「風俗の活用」を奨励するだけでなく、大阪市職員への奨励も議論の対象に「なりうる」「子どもにもそういうことは言う」「世の中にはこういう解消策がある」とまで語りました。
これらの一連の橋下発言は、人権蹂躙・女性差別・歴史歪曲発言であることは明らかです。5月31日、国連の拷問禁止委員会は、日本軍「慰安婦」問題で橋下市長発言を念頭に置いて「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」との勧告をまとめています。国内はもとより、国際的にも厳しい批判にさらされています。
■橋下市長は一政治家、党の共同代表の立場にとどまりません。市民を代表する市長であり、大阪市立学校の教育目標を設定する当事者なのです。その発言は大阪市民と大阪の教育関係者、子どもと保護者全てに責任を負っています。
昨年、大阪市議会で成立した大阪市教育行政基本条例では、市長に教育目標やそのための施策を規定した「教育基本振興計画」(以下、「基本計画」)を作成する権限を与えています。各学校は「基本計画」の目標達成に向けた「運営に関する計画」を定めることが義務づけられています。さらには、この3月には橋下市長は大阪市議会で市教委などの調査権限を与える条例を可決させ、教育内容への介入権限を拡大させています。
つまり、教育条例の成立によって橋下市長の考えが学校現場にストレートに反映される制度になりました。橋下市長の言動は大阪市の教育に重大な影響を与えるのです。
■大阪市の学校現場は、これまで人権教育、男女共生教育、平和教育を重視して教育活動をおこなってきました。しかし、今回の一連の橋下発言は、これらの大阪市の教育と真っ向から反するものです。橋下発言とその後の責任逃れと居直りは、子どもたちと保護者の意識に計り知れない悪影響を与えるものです。人権蹂躙・女性差別・歴史歪曲発言を繰り返す橋下市長に大阪市立学校の教育目標を決める資格はありません。
■大阪市教委はこれ以上傍観し続けることは許されません。大阪市教委は、橋下発言に対する見解を明らかにし、強く抗議する責任があります。橋下市長に対してアメリカ政府・軍に謝罪するだけでなく、大阪市の学校に通う子どもたちと保護者、教職員全てに対して発言の問題性を明らかにし、謝罪するように要求すべきです。
私たちは、以上の観点にたち大阪市教委に以下の要請をおこないます。文書による回答を求めます。
【要請事項】
1.大阪市の教育目標作成者である橋下市長の次の発言について、貴教育委員会の見解を明らかにしてください。
(1)記者に「市職員のわいせつ事案増加の場合に、風俗業の利用推奨が議論の対象になるか」と問われ、「僕はなりうると思う。『何の罪もない人のところに行くくらいだったら、認められる範囲のところで対応しなさいよ』というのが本来のアドバイスだ。」「僕は子どもにもそういうことは言う」「世の中にはこういう解消策がある」(5/15)と答えたことについて
(2)「銃弾の中で命をかけて走っていくとき、精神的に高ぶっている猛者集団に休息させようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる。」(5/13)と発言したことについて
(3)沖縄の米軍司令官に対して「法律の範囲内で認められている中で、いわゆるそういう性的なエネルギーを合法的に解消できる場所は日本にあるわけだから、もっと真正面からそういう所を活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーをきちんとコントロールできない」(5/1)と発言したことについて
2.これらの一連の橋下発言は、人権教育、男女共生教育、平和教育を推進する大阪市の教育に反すると考えられます。大阪市教委としての考えを明らかにしてください。
3.これらの一連の橋下発言は、大阪の教育と子どもたちに多大な悪影響を与えると考えられます。大阪市教委としての考えを明らかにしてください。
4.橋下市長の「慰安婦」に関する歴史認識と沖縄での米軍犯罪の問題は、小中高校での授業で必ず問題なります。大阪市教委は、学校の教員が子どもたちに問われた時どのように答えればよいとお考えでしょうか。
以上