マチンガのノート

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「昔話と夢分析」 織田尚生著

2014-04-17 01:02:54 | 日記
 境界例の女性患者を例示して、面接治療と考察について書かれている。
ユング派の著者としては、境界例の人格の分裂については、
自我のみならず、自己(セルフ)にまで、及んでいるのではないかとのことだ。
そこから受動性と攻撃性の分裂が起きているのだろうとのことだ。
統合失調症(当時の分裂病)などでは、患者の描画に見られる
セルフの投影としての太陽が複数描かれることから(「王権の心理学」にも例示)
統合失調症ではセルフの分裂、複数化、境界例ではそれに近い深い分裂が
あるのではないのかとのことだ。
山中康裕医師は、自閉症児が治療が進展して、治療者などの目を少し見る
ようになり、そこを中心として、治療施設や療育キャンプで
行動し始めることを「中心化」と名付けていて、
宮本忠雄医師は、ムンクが一つの太陽の壁画を描いたところを
「中心化」と名付けていた。
自閉症児に関しては、一つの中心の生成、
統合失調症に関しては、一つの中心の回復、
境界例については、中心まで達している分裂の回復が
治療の要点ではないのだろうか?
発達障害に関しても、過度に決まった事にこだわる一方で、
周りの影響を受けやすいというのも、
中心が形成されていないことが大きいのではないのだろうか?