マチンガのノート

読書、映画の感想など  

自衛隊の幹部候補生学校を中退した父親に関する考察。

2023-08-25 23:30:17 | 日記

うちの父親はアルコールの問題を抱えていて何かと被害的になる祖父の長男として産まれて、

小さい頃から何かと干渉されてきて、さらに酔って暴れたりする祖父に対して祖母や他の兄弟が何も出来なかったこともあり、

祖父の言いなりになるのみで家庭内で自分で考えて何かを決めたりする機会も与えられなかったことから、抽象化能力も育たず、

そのため周囲とは違う自己を持てなかったことで、学校でもずっと教員などの言いなりになるのみで学校の試験勉強は暗記でしのいでいたのだろう。

 

それでも試験の成績はある程度取れていたという点に関しては、チンパンジーは記憶力はとてもいいが、抽象的な思考はできないという点を思い起こさせるところである。

本人は英文学関係の学部に行きたかったようだが、防大にも受かったので祖父にそちらに行かされたとのことだ。

さらに防大では24時間することが決められていて、教官の言うことに従うことが基本にあったこともあり、周囲の言いなりになるのではなく

自分で考えて何かをするということを身に着けられなかったのだろう。

そのため周囲とは違う自分というものは持てず、周囲との境界も作れなかったのだろう。

そのこともあり防大を卒業してから、幹部候補生学校に行った際に、言いなりになるのではなく自分で考えて決めて、指示を出すなどが出来なかったので、

やっていけないので中退したのだろう。

本人も周囲とは違う自己や主体というものを持てなかったので、なぜやっていけないのかが解らなかったのだろう。

ある程度、実家で家庭教育があり、これはこうあるべき、こうするのが普通、などを教わっていればある程度なんとかなった

のかもしれないが、祖父が酔って暴れても周囲が止めたり追い出したり出来ない家庭では、そのような常識的知識も身につかなかったのだろう。

 

近年、発達障害の子供が増えているが、主体がなかったり曖昧だったりする学生が、24時間することが決まっていて、

教官の言うことには従うという防大に入ると、主体をしっかり持ったりする方向には行かないと考えられる。

主体が曖昧だったり無かったりすると、主体的に臨機応変に対応することが出来ないので、有事の際に適切に判断を下し

対応することが困難になりそうである。

 

欧米の士官学校では学生に個室が与えられていて、それなりに自治が認められているというのは、学生の主体を

生成させることに繋がりそうである。

欧米では近代以降、国家間の戦争が多かったため、有能な士官が必要であったことや、階級社会であることからそのような制度になったのだろう。

 

 


救い難き人 赤松利市 感想

2023-08-18 00:49:19 | 日記

ここ数年、多数の著書を刊行している赤松利市さんの書いたものですが、自伝的な小説は読み応えのあるものが多い一方、

それ以外はイマイチなものが多いです。

本作は一代でパチンコ屋チェーンを築いた父親から全てを奪おうとする、息子を主人公にしたものです。

作中、父親が息子の言うことを疑わないところや、自分の部下以外に、助言してくれる相手が居ず、

あっさり全てを奪われるところが、不自然に感じました。

やはり著者が学者の息子で、在日韓国人の実業家たちや、闇社会に深く関わったことがないことから、

このような小説になったのでしょう。

自伝的小説との落差が大きく、才能がある小説家でも、生育歴からくる向き不向きがあるのだろうと

思いました。

生育歴による限界というものを感じさせる一冊でした。


アムステルダム 監督 デビッド・O・ラッセル 出演 クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントン 感想 ネタバレ

2023-08-15 22:51:28 | 日記

クリスチャン・ベールとジョン・デビッド・ワシントン出演の1933年のNYを舞台にした歴史物のサスペンスです。

実際にあったことをもとにした、脱力モードで作られた映画ですが、内容はシリアスでした。

【あらすじ】

医師のバート(クリスチャン・ベール)はNYの小さな診療所で、黒人などの有色人種を含む戦傷者の診療をしていますが、

自分の所属していた連隊の指揮官がヨーロッパから帰ってくると知り、元同僚のハロルド(ジョン・デビッド・ワシントン)

とともに会いに行きますが、遺体となった指揮官を見ることとなります。

そのため、二人で何があったのかを探るのでした。

【感想

元になったのは、ナチスを支持する財界の大物たちが、当時人望を集めていたスメドレー・バトラー少将を

使いクーデターをしようとした”ビジネス・プロット”という陰謀とのことです。

作中、バトラー少将に相当する役はロバート・デ・ニーロが演じていました。

リンドバーグやヘンリー・フォードなど親ナチ派がある程度、戦前の米国に居て、'28年の大恐慌後、

経済も上手くいっていなかったことを考えると、そのようなことを企む勢力がある程度いたことは

納得できる事柄です。

現代でも戦争の帰還兵が経済的に困窮する一方、大企業が莫大な利益を得ても、あまり税金を払っていず、

普通の国民を超えて、様々な影響を政治に与えているという状況は、当時と重なっているのでしょう。

現代社会批判ものの映画でもある内容でした。

なんの野心も持ってい無さそうな富豪のヴォーズ(ラミ・マレック)が終盤色々脅してくるところは、

金持ちはそんなものなんだろうと思わせるところでした。

 

映画『アムステルダム』予告【ありえないけど、ほぼ実話!編】10月28日(金)劇場公開


愛着障害・発達障害と攻撃性に関する考察

2023-08-14 00:02:34 | 日記

児童虐待に関する研究で、虐待を受けた自分を恥じたり責めるケースは何かと報告されているが、

ネグレクトや暴力などの虐待の影響で自分という存在自体を恥じたり責めていると、

自分の感覚を刺激して自分に何かを感じさせる事があると、感じなくするために騒がしくしたり

動き回ったり、感じる原因となった相手を攻撃したりすることに繋がるのだろう。

そのあたりは発達障害と愛着障害に共通することなのかもしれない。

山中康裕氏の著作のなかに、治療がある程度進展し、自閉の殻が破れる時、治療者に噛み付いたりするなど、

治療者に攻撃性を向けることがあると書かれていたが、自分を恥じたり責めたりして自分に向けていた

攻撃性を、治療者に向けるからなのではないだろうか。

自分というものを恥じたり責めていて、かつ、自分と言うものを感じないようにしていると、

自分の感じていることが外部に投影され、被害的になるので、周囲と距離を置くことに

繋がるのだろう。

 

攻撃性というものは扱いが難しいものだが、自分に攻撃性を向けていることを、

変えることをしないと、治療は進展し無さそうである。

 

たましいの窓―児童・思春期の臨床(1) (山中康裕著作集) | 山中 康裕, 岸本 寛史 |本 | 通販 | Amazon

 

甘えたくても甘えられない: 母子関係のゆくえ、発達障碍のいま | 小林 隆児 |本 | 通販 | Amazon

 

子ども虐待という第四の発達障害 (ヒューマンケアブックス) | 杉山 登志郎 |本 | 通販 | Amazon

 

 

 

 


中高生とプロレスや格闘技

2023-08-11 23:10:03 | 日記

子供は9歳くらいから抽象化能力が発達してゆき、それ以降に周囲とは違う自己というものを生成して

ゆくのだが、家庭が何かと上手くいっていなかったり学校の授業が解らなかったりするほど、

自己をしっかり持つ必要があるので、いろいろ周囲と対立して自己を生成しようとしたり、

対立と対決を扱うプロレスや格闘技に魅力を感じるのだろう。

何かと『みんな仲良く』ということが奨励される学校教育だが、生徒によっては対立と対決が

なにより必要なことなのだろう。

20世紀末までヤンキー物の漫画が多かったのも、多くの中高生が自己を生成してゆくことに

取り組んでいたからと考えられる。

それ以降は派遣社員が増え、格差が拡大していったので、自己を生成するより出来るだけ学校で

いい成績を修め、少しでもいい職業に就こうとする生徒が増えたので、周囲とは異なる自己を生成するより

周囲と同じように振る舞おうとする生徒が増えたのだろう。

多様性の必要性が何かと話題になっているが、画一的な価値観に多くの生徒が合わせる様になったことで、

個性のない大人が増えて来ているのかもしれない。