マチンガのノート

読書、映画の感想など  

ザリガニの鳴くところ 監督 オリヴィア・ニューマン 出演 デイジー・エドガー=ジョーンズ テイラー・ジョン・スミス  感想

2022-09-29 21:19:24 | 日記

’20年に日本で本屋大賞を受賞したディーリア・オーエンズの同名小説を映画化したものです。

主演は英国のドラマ「ふつうの人々」で’21年ゴールデン・グローブ賞テレビ部門主演女優賞に

ノミネートされたデイジー・エドガー=ジョーンズさんです。

【あらすじ】

主人公の少女カイヤは一人で湿地にある家に住んでいるので、町の人々からは狼に育てられたとか、

猿人だとか夜に目が光るなど噂され、異人として見られています。

実際は父親が酒を飲んで暴れるので、母親と兄や姉たちは出て行き、さらに父親もどこかに行ったきり

帰ってこないため、カイヤは一人で貝を採って売ることで暮らしているのでした。

学校に行っていなかったため、字を読めないカイヤにエビ漁師の息子のテイトが

読み書きを教えることから二人の関係は始まりますが、大学に行ったテイトは

再会の約束も守らず戻ってきません。

そんなときに裕福な両親のいるチェイスが彼女に近づいてきます。

【感想】

原作が良かったので、映画版も観たのですが、原作の雰囲気を感じさせる映画になっていました。

映画の中の物語は1965年から始まりますので、当時の社会のあり方が解る描写でした。

主人公が純朴でもトロかったり無力だったりしないところが現代の映画という感じで

湿地の自然の描写と合わせ、原作の雰囲気を壊さずにうまく映画化できていると思いました。

アメコミものや大作映画が好きではない人に合いそうな映画になっています。

 

原作者のディーリア・オーエンズさんも、気に入っているそうです。

 

ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」映画化記念インタビュー 「カイアはみんなの中にいる」|好書好日

ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」映画化記念インタビュー 「カイアはみんなの中にいる」|好書好日

全世界では売り上げ1200万部、日本でも8万部を超えるベストセラーとなった『ザリガニの鳴くところ』(全米7月15日公開・日本公開未定)が映画化されました。米国ノースカ...

好書好日

 

映画『ザリガニの鳴くところ』予告1 11月18日(金) 全国の映画館で公開

 

 


自閉症とこころの臨床―行動の「障碍」から行動による「表現」へ 著者 小林隆児 原田理歩 感想

2022-09-25 21:10:41 | 日記

高度な療育の実例をあげて解説しています

著者の小林隆児氏は様々な著書において、発達障碍などの臨床に関して

クライアントのアンビバレントなところに基づく行動障碍などの問題には、

その言葉や行動だけではなく、その根底にある未分化な力動感に関わることで、

クライアントはそこから脱していける、行動障碍などの軽減につながるとしていますが、

これまでは例示している実例が少なく解りにくかったです。

しかし本書では共著者である原田理歩さんと原鉄男さんが、自ら関わった

実際の療育の症例をあげて、解りやすく解説しています。

きめ細やかな関わりがいかに自閉症などの人を、自らのアンビバレントなところや

未分節なところへの捕らわれから先へ進めて、発達を促せるかを実際のやり取りをあげて

解説しています。

様々な臨床家や療育関係者にとって、とても参考になる一冊だと思いました。

 

 


イレイザー:リボーン 監督:ジョン・ポーグ  出演:ドミニク・シャーウッド、ジャッキー・ライ、マッキンリー・ベルチャー三世 感想 ネタバレ

2022-09-23 21:13:49 | 日記

シュワちゃんが主演した「イレイザー」('96)のリメイクです。

舞台を現代の米国と南アフリカに移しています。

【あらすじ】

証人保護プログラムの要員メイソン(ドミニク・シャーウッド)は、組織犯罪の

裁判の証人リナ(ジャッキー・ライ)を保護して南アフリカに隠しますが、

買収された同僚たちに狙われることになるのでした。

【感想】

ガンアクションや格闘アクションを色々と入れてあり、元の作品と比べると

様々なハイテクもあるのですが、何かとテンポが良くなく、

盛り上がりに欠ける作品になっていました。

色々なアクションをしても、カメラワークが単調で、ストーリー展開にも

メリハリが欠けていたからでしょうか。

映画『イレイザー:リボーン』予告編


言葉を失ったあとで 著 信田さよ子 上間陽子 筑摩書房 感想

2022-09-22 22:46:02 | 日記

著者ふたりの対談を本にまとめたものなので、何かと読みやすくなっています。

臨床に関して様々な心理学などのアプローチはありますが、信田さよ子さんは

DVなどの被害者であるクライアントに関わり続けてきて、さらにその周囲の

家族や加害者である夫などにも関わり、独自の臨床を長年続けてきた方です。

そのため何かと多数出版されている、面接室の中の2者関係を中心に扱った

心理臨床などのものとは、かなり違ったものになっています。

もう一方の上間陽子さんは、教育学者として沖縄で様々な困難な育ちの中の少女たちと

関わり続けてきた方なので、お二人でする困難な生活の中で暮らす人に関する話が

実例をもとにされていることもあり、その成育歴や生活が、いかに本人に影響を

与えつづけているのかが、とてもわかり易く書かれていました。

様々な臨床家が見落としがちな暴力の影響について取り上げた一冊です。

ちくまweb