本書で印象に残ったのは、母親である著者と5歳の息子さんとの言葉と描画と身体を含んだやり取りの部分である。
そのやり取りの中で、いかに子供の自らの能動的な部分と、母親から受ける受動的な部分により、
主体が生成されていくのかが解り易く解説されている。
これまでプレイセラピーなどの臨床場面において、どのように主体が生成されていくのかが
解らなかった臨床家の方にも、解り易く解説されていると思う。
その部分だけでも、多くの臨床家にとって役立ちそうである。
多くの部分はラカンや抽象芸術について書かれているが、その辺りが難解で解りにくくても、
多くの臨床家にとって一読の価値があると思う。