米国の放送局のHBOの制作だが、純朴なソ連の消防士さんが、
「原発の屋根の火災」ということで消火に駆け付けるが、壊れた炉心の近くで
消火作業にあたるので、放射線量的にすぐに亡くなる事が解る構成になっている。
そしてソ連政府の高官と、科学者が事故の終息に向けて、いろいろと計画を検討するが、
事故の起こった原発の近くにいるので、自分たちを含めて、ここにいる人たちは、
5年後には死んでいるだろうとのことが解りながら、対策を考えつつ、物語は進んでいく。
そのあたりの運命受容的なところが、これまでの米国映画などとの大きな違いだろう。
これまでの多くの米国映画では、努力して克服する、知恵を使って生き残るというものが多かったが、
ここ20年ほどの様々なことの影響で、このようなドラマが作られるようになったのだろう。
どちらかというと、ロシア映画のような作りである。
被爆して入院している消防士や原発技術者のところに、家族や科学者が訪れるが、
放射線障害の症状が、けっこうリアルに作られていた。
さらに、事故のあった原発の下にある空間に、消火で使った水が溜まっていて、
それを抜かないと、炉心が解けて落ちた場合、水蒸気爆発でさらに大変なことになるので、
被爆して数日で死亡すること前提での、そこのバルブを開けて水を抜く役目の志願者を募るのだが、
そこでの政府高官のセリフの、ロシア人はずっと、犠牲を出して歴史を子孫につないできて、
自分もそれを誇りに思っている、というところが、米国ドラマというより、
戦争や国内のことで、大量の犠牲者を出してきた、ロシア映画的なところであった。
Chernobyl (2019) | Official Trailer | HBO