ラカン派では、個人の言語活動や人格の中心的なところに、
「父の名」と言うものが位置付けられているが、日本と比べて
伝統的、文化的に言語に重きを置く、などの影響だろう。
ユング派で似たような事で取り上げられるものと言えば、中心の投影としての太陽が挙げられる。
普通の子供でも小学校低学年くらいまでは、描画において、5~7個の太陽を描くことがあるが、
年齢が上がるにつれて、1つの太陽を描くようになるとの事である。
統合失調症の方の描画においても、複数の太陽を描いていたのが、回復するに従い、
単一の太陽を描くようになることはよく見られる事だという。
(「王権の心理学」織田尚生著)
さらにユング派精神科医武野俊弥氏の著書「分裂病の神話」によれば、
ノルウェー出身の画家のムンクも、統合失調症を発病したころに「叫び」を描いて、
病が治まるころに、太陽壁画を描いていたとの事。
ラカン派、ユング派それぞれに、中心が外的な対象に投影されて距離をとることの
必要性を臨床で感じていたのだろう。