社会の発展に伴い、社会が複雑化して、女性の社会進出が進むと、
母親などの養育者と子供の愛着関係が成り立ちにくくなり、
様々な問題が生じているとの事だが、発展して複雑化した社会の方が
医療や福祉制度が発展して、乳幼児死亡率はかなり低下しているという
長所がありそうである。
子供と母親などの養育者と愛着関係が成り立ちにくく、様々な問題が生じるという事と、
乳幼児死亡率などの低下という関係の生じる社会をこれからどうしていくかを
考える時期なのだろうが、今のところいいアイデアは出てきてい無さそうである。
父親の兄弟達は、うちの家に勝手に入ってくる人達だった。
祖父の住んでいた実家を立て替えた家だったので、
その人たちにとっては、実家に顔を出す、ちょっと戻る感じだったので、
勝手に入って来たのだろう。
母親にとっては、父の兄弟とはいえ、よその家の人が勝手に入ってくるという事は、
境界を崩されて、思考力も判断力も麻痺させられた行くことだっただろう。
狭い家に住んでいる貧しい家族などでは、自他境界が成り立ちにくいので、
様々な境界や、そこから来る判断力や思考力の発達が阻害されることが
多いのだろう。
学校や塾に行くための費用を行政が補助しても、住環境を良くしなければ、
それ程、知的判断力や思考力を発展させる効果が少ないのかもしれない。
上海などの中高生の国際比較でみる学力は高くなっているそうだが、
富裕化による住環境の向上も影響してるのだろう。
本書の第三部の実践編で出てくる自己モニタリング能力や他者へのメンタライゼイションに
ついてですが、他者が生成することと同時に自己が生成するというあたりは、
ラカンなどの言う鏡像段階の辺りをしっかり経ていない人が、それをやり直す、
または初めてやることで、自己と他者が生成して、そこから自他境界や
様々な境界が成立していく基盤になるからでしょう。
最近はフランスに留学してラカン辺りを学んだ人も増えているようなので、
学んだ事が臨床へ活かされることが期待されます。
本書では胡散臭いものも少し取り上げられていたので、そこは星がマイナス1個。
そういうものについては東畑開人「野の医者は笑う―心の治療とは何か?―」
が参考になります。