マチンガのノート

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明日の空のむこうに   ドロタ・ケンジェジャフスカ監督

2015-01-03 00:57:24 | 日記
ロシアのストリートチルドレンの話。
最初は、古ぼけた駅舎や、馬車などが出てくるため、
1930年代の話だろうかと思う。
ストーリーが進むにつれ、ペットボトルや携帯電話などが出てきて
現代の話だと分かってくる。
駅舎で暮らす6歳から12歳くらいの3人の子供たちは、国境を越えればましな暮らしがあるのではと
とにかく南へ向かい、夜間に国境を越えようとする。
苦労の末、何とか国境は越えるのだが、駆け込んだ先のポーランドの田舎の村の
いかにも冴えない中年太りの警察署長が上部に電話すると、
本人が「亡命」を希望すると言わなければ、
ロシアに引き渡す規則だと言われて、とても哀しそうにする。
3人に、そんな言葉を知っている年齢の子供はいない。
ポーランドの村の子供は、貧しいロシアの子どもということで馬鹿にして囃し立てる。
現代にいたるまでの、ロシアとポーランドの関係が、子供にまで及んでいるのだろう。
囃し立てる子供の妹の、いちばん小さい5歳くらいの少女は、警察署まで
パンをあげるために持ってくる。
署長にしても、国境の向こうには、飢えた子供たちが大勢居る事は知っていても
実際に目の前にいると、出来れば何とか助けたくなるのだろう。
国によって、こんなに子供の暮らしが酷くていいのだろうかと考えさせられる。
最後の3人の無邪気な明るさがいくらかの救いだった。
全体に映像が美しい映画だった。
この映画のレヴューで、子供に煙草を吸わせるシーンがあるのはけしからん、
と書いている方がいるが、それどころの話じゃないだろう、と思った。