ずれる

父娘の思いは、ずれる。

今日の昼食はシチュー。
料理家マロンさんが大好きなマサチャンから教えてもらったレシピ「オーブンを使わないマカロニグラタン」で使ったホワイトソースが余ったのでそれを使ってね。

ご飯とシチューを並べて、昨夜の残り物を並べて、さて食卓に着いて、
「父さん、開けてくれや。」と言ったら、父は速攻で、ご飯をシチューの中にスポッと入れた。あっという間よ。素早かったわ。

ふつう入れるか？シチューの中にご飯。カレーならいざ知らず、ね。
ところが父は何の違和感もなく入れて食べる人だから、私が今日は馬鹿に親切に言ってくれたと思ったらしいのよ。もう大笑い。

私は、残り物を入れてある容器の「ふたを開けてくれ。」と言ったつもりなのに・・・

思いこみだけが激しく言葉が足らない娘と、耳が遠く適当に返事している父との間はどんどん遠くなるわけよ。

昨夜も、いつもはコップ一杯のお酒なのに、私がチョイと立った隙にもう半分がコップに入っていたから、「仕方がない、お風呂だけは時間を遅くしてね、危ないから。」と念押ししておいた。酔って、ご飯の最中に居眠りしているくらいだから・・・

夕食後、私はパソコンをしていた。
食事を終え、こたつでこっくり居眠りから覚めた父は、隣の部屋に行ってもぞもぞしている。何しているんだろうとは思ったけれど、いちいち聞くのもなんだしなあ、と思ってそのまま続けていた。

もぞもぞはしばらく続いていたけれど・・・
しばらく続いていたけれど、私もそのまま続けていた・・・
しばらくして、父が、
「もう、風呂入っていいかや。裸になっとる。」と訴える。

かくして、肝心な時に、娘の言葉は足らず、父の言葉は如何にも遠慮している。
ああ、父娘はこのまま急カーブを描きながらずれていく。
この後もきっともっともっとずれていく。あな恐ろしや！！！