まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

アーティゾン美術館作品 ジャコメッティ「矢内原」

2020-02-24 08:56:12 | 展覧会

アーティゾン美術館は太っ腹だ。
展示作品をすべて撮影していいという。えっ!本当にいいのですかとびっくりしてしまう。
そうとなったらお気に入りの作品は記念に撮っておこうじゃないの。ね。張り切りました。

でもこちらは違う、特に気に入ったわけじゃないけれど。
私の情報源TVぶらぶら美術・博物館がタイミングよく
アーティゾン美術館を取り上げていた。
番組中で新収蔵作品のジャコメッティ「矢内原」について、
山田五郎さんと解説の貝塚さんのエピソード披露が面白くて絶対に観賞しようと決めていたの。
こちら。

 少しだけ拡大して

ここから聞きかじりのエピソード披露。

小木さんじゃないけれど、私も誰この人?のレベル。
有名な哲学者でフランスに留学していたおり、ジャコメッティに出会って親交を深めたそうだ。そして帰国をする前に挨拶に行ったとき「君の顔を描かせてくれ」と請われて。
五郎さんいわくそれが運の付きで、いつまでたっても描き終わらなくてなんと72日間もかかって、帰国は延期されたって。

次の年からは、ジャコメッティからチケットが送られてきて、
夏休み毎年パリに渡ったというからジャコメッティの執念もすごい。
またもや小木さんじゃないけれど、もうこれでいいんじゃないのと思えるのに、
描いては削り描いては削りの繰り返し。

「描きたいけれど、描けない。だから描きたい」
「なぜ描けないかを知りたいから、描きたい」
困ったもんね。
そんなジャコメッティの情熱に応えて矢内原さんは午後の2時から夜中の12時まで
モデルを務めたそうな。
こちらも尋常じゃない。

研究者たちの中では、「ヤナイハラ・クライシス(矢内原の危機)」と言われていて、
矢内原に没頭し、他の作品が描けない状態の面白い興味深い時期と捉えていると。

「鼻が難しい、鼻が捉えられない、鼻が描ければ顔も描ける」

(webから拝借)
この鼻がそうか、捉えられないのか、芸術家はすごいわね。

そして五郎さんが下世話な話を。
矢内原さんとジャコメッティの奥さんは恋愛関係にあり、ジャコメッティもそれをけしかけていたというから分からん。
毎晩描き終わると3人でカフェに行き、そのまま矢内原さんと奥さんは一緒に帰り奥さんは朝方家に帰るという関係だというから、何と言っていいものか。いいのか。

でもね、ジャコメッティは絵を描いたり彫刻を造ったりしているとへこむ、それを
矢内原さんが励ますという、大親友でありいわば男同士の友情が成り立っていたと。
貝塚さんは続ける。
矢内原さんは哲学者だからジャコメッティと向かい合う意味を考え続けたのではないか。
おそらく一緒に作品を造っているような気持になって、いろいろな意味で一体感を持った
のではないかと。
描いていること自体が作品であり、完成より描き続けること。
何かを求めていく過程が作品なのではないか、と話されていた。
結局のべ230日かかったそうな。

こんなエピソードを聞いてから作品を観ると、
そういうことなんだってと誰にともなく教えてあげたくなる。

ちなみにこちらが美術館所蔵のジャコメッティ作品。

 ディエゴの胸像

 正面 

コメント
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