徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

出雲阿国の “かぶき踊り”

2014-11-05 17:56:24 | 歴史
 日本画とりわけ美人画が好きで、時々美術誌で上村松園や鏑木清方などを楽しんでいるのだが、最近ハマっているのが森田曠平(もりたこうへい)。昭和時代に活躍した京都出身の日本画家だが、彼の作品の中でも僕の心をとらえて放さないのが「出雲阿国(いずものおくに)」。江戸時代初期、一世を風靡した出雲阿国の「かぶき踊り」を描いたもので、当時、京の都を騒がせていた「傾(かぶ)き者」に扮した男装の阿国(右)と一座の囃子方(左)が史料に基づく風体で描かれている。阿国のファッションは今日的な目で見ても洒落ていて、黒塗笠には蒔絵が施されているようだし、濃紫の羽織に金襴の襟が映える。紫の帯には小刀を指し、身の丈ほどもある大刀は無造作に肩に担ぎ、腰にぶら下げた瓢箪と印籠にも蒔絵が施されているようだ。そして首から下げた水晶のコンタス(ロザリオ)がいかにも時代の先端を走る「傾き者」の伊達心を表している。
 森田の美人画の特徴は何と言っても女性の目の鋭さ。こんな目で睨まれたいという男のMごころをくすぐるのかもしれない。

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