徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

ハーンが見た盆踊り

2023-11-12 21:57:57 | 伝統芸能
 6月3日のブログに「揃うた 揃うたよ 踊り子が揃うた」という題名で、ラフカディオ・ハーンが、五高教師時代に書いた「知られぬ日本の面影」の中に、ハーンが初めて松江へ向かう途中、伯耆上市で見た盆踊りの風景のことを書いた。ハーンはその盆踊りで唄われる歌詞も紹介している。
(原文)
  Sorota swoimashita odorikoga sorota,
  Soroikite, Kita hare yukata.
(和訳)
  揃ふた、揃ひました、踊り子が揃ふた、
  揃ひ着て来た、晴れ浴衣。

 歌詞は明らかに「潮来音頭」や「潮来甚句」などで唄われる
 「揃うた揃うたよ 踊り子が揃うた 秋の出穂より よく揃うた ションガイー」
との関連性がうかがえるが、この唄が何という曲名なのかわからないのでそのうち調べてみようと思っていた。
 以来そのことをすっかり忘れていたのだが、先日、別件で中国地方の民謡を調べていたら、「いさい踊り(ハーン踊り)」という曲目が目についた。ひょっとしてこれのことかなと思い、鳥取県の芸能について調べてみるとたしかにこれがハーンが見た盆踊りだった。地元ではハーンの「知られぬ日本の面影」にこの踊りのことが書かれていることを記念して「ハーン踊り」というサブタイトルをつけたらしい。
 鳥取県の伝統芸能イベントの映像がYouTubeにアップされていたのでさっそく視聴してみた。たしかに「揃うた、揃いました、踊り子が揃うた」という唄ばやしが唄われている。この唄ばやしは福島県の「相馬盆唄」などでも唄われているので、「潮来音頭」が発祥かどうかはともかく、「伊勢音頭」の「めでためでたの若松様よ」などと同様、日本各地に伝播したものとみられる。

鳥取県大山町「中山いさい踊り」