いや、「油飯」ですかね? 正しく漢字で書けば。
まっ、本日の昼飯は「油飯」であっりました、と、言えばそれだけの事なんですが、しかし、思い付きで作った油飯でありましたが、作りながら、喰いながら、いろんな事を思い出した訳であります。
あれは今から50年程も前、私が生まれ、幼少期を過ごした栃木の田舎の婆様の家での事であります。
婆様は当時既にほとんど目が見えない人でありまして、竃の火を扱う時など、見ているコッチが熱くなるような所作なんであります。
いや、当時の田舎の家の炊事は竃が当たり前でして、飯を炊く、とか、鍋を掛けるなんて時には、まず、竃に火を起こさなくちゃ成らない訳であります。
で、婆様は目がちゃんと見えないもんですから、手探りで火が燃えている薪なんかをむんずと掴んでは、小声でアッチぃ、とか言う訳です。
で、心配して、婆ちゃん火傷しねぇんかぃ? とか言うと、手の皮なんざちっとくれ焼けたってくらねょ・・・と,言う訳で、平気だと言うのでありました。
不思議なんですが、燃えてる薪が見えない人なのに家のまわりの道を平気で歩く訳です。
少し曲がった腰を屈めて、躓かないように足を高く上げる感じで、まるで行進でもするように腿を上げて歩くんであります。
そうして、近所に豆腐や卵を買いに行くんであります。
で、朝早くからクワガタ採りに出掛けて家に帰ると、朝飯と昼飯兼用で飯を食う訳なんですが、普通に行くと、ナスとキュウリの漬け物か、カンピョウの煮物でおまんまを喰う訳であります。
しかし、婆ちゃんに取っては夏休みだけ現れる可愛い孫でありますから、何か美味くて元気の出る物を喰わせたいと思うのか、時たま油飯を作ってくれる訳であります。
それは、竃にでっかい中華鍋を掛け、タマネギと魚肉ソーセージと飯を入れて油で炒め、醤油をぶっかけるだけの簡単な焼き飯でありました。
婆ちゃんは明治の人でして食堂で飯を喰うなどの外食はした事が無かったと思うんですが、なんかの拍子に宇都宮あたりで炒飯など喰った事があって、それがハイカラな食い物であると信じて似たような物を工夫したのかもしれません。
いや、そんな事を思い出して油飯を喰いたくなり作った訳では無いのであります。
裏庭の神社に写真撮りがてらにカブト虫でも居ないかな~と、出掛けて家に戻り、さて昼飯は?と、考えつつ材料を見れば・・・タマネギと魚肉ソーセージが目に入った訳であります。
で、いつもの私の焼き飯であれば味付けはカレー粉で、オヤジ風ドライカレーになっちまう訳なんですが、本日は何故か醤油味が喰いたくなり、気が付いたら油飯を作って喰っていた訳であります。
いや、栃木の婆ちゃんの油飯と決定的に違うのは、我が家には味の素が無いので婆ちゃんの油飯の再現は不可能なんであります。
カナブン大集合
♂ ♀ ペアだった
真っ昼間に珍しいです
油飯を喰っては虫採りに明け暮れた夏休み・・・カブト虫なんて採る人は居ない田舎でありました。
だって、クヌギの木で樹液が出ていれば、カナブンと同じ位カブト虫は居たんですもん。
採るのはクワガタの♂だけであります。
で、本日・・・こんな時間に居るはずも無いよなと思いつつも、散歩がてらに神社の裏山に行ってみると・・・虫取りの目でそこの森を見た事が無かったんで気付きませんでしたが、雑木林のほとんどがミズナラでありました。
ミズナラとクヌギは外見は似てますがどう言う訳か少し樹液が出いても虫達は来ない訳であります。
で、ジックリと見て回ってクヌギを見つけたら、一発でカナブンの群れとカブト虫のペアに遭遇でありました。
私しゃ年甲斐も無く嬉しくなって、よぉ~し、採って帰ろう、と思いましたが・・・いや、まてよぉ~・・・あそこに一緒に入れたら喧嘩するに決まっているよな。
どっちが勝ってもどっちかは死ぬ事に成るんだよなぁ~・・・やっぱし止めよう・・・自然に置いとけば卵を産んで繁殖するしな、と言う事で・・・俺も大人になったなぁ~・・・まっ、来年還暦だし。
と、言う事で、今日はナンだかとっても夏休みな一日であったなと。
油飯の思いで、でありました。