北陸鉄道労働組合の労働講座で話をさせてもらう。
テーマは「福島第一原発の今後 ~チェルノブイリの今~」。
ときどきこれまでの様々な付き合いの中で、話をしてほしいという依頼を受ける。とてもありがたいことであり、また自分の頭の中を整理するいい機会にもなるので、日程の都合がつく限り喜んで引き受けさせてもらっている。
今回のテーマも、3.11を受け、自分なりに勉強しておかなければいけない課題だと思っていたところであり、二つ返事でOKをした。
ところが今度ほど、引き受けない方がよかったかなぁと準備の途中で感じたことはなかった。正直言って自分の能力に照らして荷が重すぎるテーマであった。
能力不足に加えてもう一つの壁は、そもそもチェルノブイリはいまだ被害者の被ばくの全容が明らかになっておらず、結果として健康被害との関係も十分には解明されていないということに起因する。事故当時のソ連政府の情報隠し、情報操作はその後の被害状況の解明を困難にしている。
同じことは福島についても言える。福島県民の被ばく状況の調査、内部被ばくの調査など今もってきちんとやられていない。
そんな中、四苦八苦しながら類似点、相違点を提示し、高濃度汚染地域の未来はチェルノブイリ同様長期にわたって居住不能になるであろうが、一方で福島の場合、チェルノブイリにはなかった海洋汚染が深刻であること、事故はまだ収束していらず、今後の新たな放射能の放出も危惧されること、さらに避難より除染優先の政策はチェルノブイリ以上に貫かれていることなどを見たとき、安易に事故の規模がチェルノブイリより小さいからと楽観はできないことを指摘した。
その上で、現状、多くの人たちの健康被害が心配されるが、無為無策で26年後を迎えるのではなく、避けられる被曝がある、救える命があるということをしっかり認識し、人命と健康を優先した政策転換を図る必要性を訴えた。具体的には、除染よりまずは避難を優先させること、そして内部被ばく対策の強化である。
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