北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

原子力防災訓練の調査行動に向けて

2013-10-31 | 志賀原発
 来月16日は石川県の原子力防災訓練がおこなわれる。
 
 先日は訓練内容に対し注文をつける申し入れをおこなったが、その後、訓練に対する調査行動の計画づくりを進めている。

 石川県での一番最初の原子力防災訓練は1992年6月。志賀原発1号機が稼働する前である。ちゃんとした防災体制ができることが稼働の最低限の条件だという運動を重ねてきたことが反映されたともいえなくはない。

 私は92年の訓練の監視行動(当時はそう呼んでいた)に参加し、その後も2年に1回おこなわれる住民参加の訓練に対する監視行動にはほとんど参加してきた。
 残念ながらあれから21年が経過してもちゃんとした防災計画はできていないし、そもそも過酷事故に対してちゃんとした(すべての住民の被ばくを避けることができるという意味で)防災計画ができるのかという課題が突きつけられている。

 大きく改訂された現在の県原子力防災計画は、過酷事故が起こったら5キロ圏は大量被ばくで急性障害は出ないように、そして晩発性障害(ガンなどももちろん含む)のリスクをできるだけ減らすよう一定の事態となったらすぐに逃げる、30キロ圏も晩発性障害のリスクをできるだけ減らすという計画になっている。「リスクを減らす」つまりリスクはゼロではない。過酷事故に対して、「ちゃんとした」防災計画という意味では、お手上げ宣言をした計画である。

 5キロ圏の住民がちゃんと逃げられるかどうかもわからない。

 地震・津波に対する珠洲市の防災訓練のように、地区住民が数百人単位で避難するわけではない。赤住とか福浦といった地区単位でみるとせいぜいバス1台か2台に元気なお年寄りが参加して予定通りの「避難」をする(一度だけバスが予定時間に来なくて関係者があたふたしたことがあったが)。昨年ははじめて自家用車による避難訓練を入れたとのことだったが、実態は集会場の前に用意されたレンタカーによる数人だけの避難である。当然ながら予定通りの時間に行動完了である。

 津波対策も同様だが、原発事故に対する避難はまさに時間との勝負である。先頭の避難者の時間がどれだけ早くても意味はない。平均の避難時間でも意味はない。おそらくは最後の避難者となるであろう災害弱者の避難時間まさに問題である。そういう意味で代表50人が予定通り避難できたからOKという訓練ではなく、地域全員参加の訓練をやってこそ計画の実効性が見えてくるが、県にその気はない。

 今回の訓練では陸上自衛隊や航空自衛隊のヘリなども参加して華々しくおこなわれるようだが、本質から目を反らす狙いが含まれていると思えてならない。

 この他にもたくさんの課題、問題点がある。これからも少しずつ紹介していきたい。


 



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