原子力防災指針の見直しを進めている原子力安全委員会の作業部会は今日(10月20日)、原発事故の防災重点区域(EPZ)を30キロ圏に拡大しIAEAに合わせて呼称を「緊急防護措置区域(UPZ)」とする見直し案を示した。
現在の防災計画の対象市町村の数は全国で44だが、範囲が30キロ圏に広がれば、水戸市、福井市、京都市、鹿児島市の各府県庁所在地を含めて、135に増えるという。
石川県でも志賀町と七尾市だけだったのが、輪島市、穴水町、中能登町、羽咋市、宝達志水町に広がり、さらに富山県の氷見市も含まれることになる。
作業部会の議論の詳細がわからないので、断定的な言い方はできないが、一律30キロとするのか、この間も議論になっていたように、国が示すのはあくまで目安としての指針で、各自治体で地域の実情に応じた形で決めていくことになるのか。
原子力安全委員会の今後の議論を見極めなければならないが、国がなかなか指針を出せない中で、各原発立地自治体、周辺自治体では独自の見直しも進んでいる。
おそらく全原発一律30キロのような決め方はできないのではないだろうか。
いずれにしれも新たな指針が決まれば、原発が立地する各道府県は地域防災計画原子力災害対策編の見直し作業に入ることになる。
原子力防災計画見直しが即志賀原発の再稼動となるわけでもないので今後の課題を若干整理しておきたい。
1.仮に一律30キロでなく各道府県で、それぞれ地域の実情に応じて柔軟に対応できることになると、石川県でもどこまでをEPZに含めるか大きな議論となる。
特に半島先端部に位置する奥能登地域。輪島市と穴水町は30キロ圏で防災計画の対象となり、珠洲と能登町が対象から外れたとき、住民の不安はさらに高まることになるだろう。珠洲市では市長も市議会(政友会)も志賀原発の問題には触れたがらないが、防災格差が決定的になる中、それでも珠洲は黙っているのだろうか。
仮にUPZに含まれなくても、避難者の受入れ態勢(放射線測定や除染施設も必要)の確立や、金沢への避難経路が絶たれた中、住民の生活をどう維持するかは考えなければならない。
2.国の作業部会でも当然議論になだろうが、地震など他の災害との複合災害を想定した計画でなければならない。
3.計画の実効性を訓練によって確認しなければならない。これまでのような学芸会のような訓練なら意味はない。またごく一部の地域の住民だけの参加では意味がない。仮に30キロ圏なら、その中の全住民の避難が可能か検証しなければならない。冬場の避難、観光シーズンの観光客の安全確保対策も当然必要である。
4.原子力防災計画の対象になったからといって、放射能が降ってこないわけではない。被曝の可能性、あるいは被曝の量を減らせるだけだということは忘れてはならない。
これまでの原子力防災訓練での避難は、万が一の被曝を避けるための念のための一時避難であった。
しかし、外部への放射能大量放出が現実となったいま、念のための避難ではなく住み慣れた土地や家を離れる避難になる覚悟を決めてもらわなければならない。
5.もちろん、そのような事故はあってはならないのであり、安全の徹底追及は当然のことである。その大前提は福島の事故原因の徹底究明である。
6.安全対策が万全かどうか、さらに事故の不安と隣り合わせの暮らしを受け入れるのかも含め、再稼動の判断をより広範な自治体、より多くの住民が参加するなかで決めていかなければならない。安全協定の当事者の拡大も必要である。
安全協定は各自治体と北陸電力の間で結ぶものであり、防災計画のエリア以外の地域でも結ぶことは可能。北陸電力や国は防災計画とリンクさせたがるだろうが、UPZ外の自治体の動きも注目される。
7.安全協定の当事者の追加だけでなく、協定内容の見直しもおこなうべきである。いまの協定は自治体と電力会社の馴れ合い関係をつくるだけである。
8.1988年12月1日、能登原発の着工の日、北陸電力は能登原発の名称を志賀原発に変更した。能登半島のイメージダウンを避けるためである。いまUPZ30キロ圏となれば温泉地和倉も含まれる。半島先端を訪れる観光客は陸の孤島となる危険性をはらんだ旅となる。
UPZ拡大を、単に防災計画の面からだけでなく、地域全体にとってどんな意味を持つのか慎重に考えるなければならない。
そのうえで、本当に原発と隣りあわせの暮らしを引き続き選択するのか、全ての県民、富山県民も含めて真剣に考える機会にしていかなければならない。
現在の防災計画の対象市町村の数は全国で44だが、範囲が30キロ圏に広がれば、水戸市、福井市、京都市、鹿児島市の各府県庁所在地を含めて、135に増えるという。
石川県でも志賀町と七尾市だけだったのが、輪島市、穴水町、中能登町、羽咋市、宝達志水町に広がり、さらに富山県の氷見市も含まれることになる。
作業部会の議論の詳細がわからないので、断定的な言い方はできないが、一律30キロとするのか、この間も議論になっていたように、国が示すのはあくまで目安としての指針で、各自治体で地域の実情に応じた形で決めていくことになるのか。
原子力安全委員会の今後の議論を見極めなければならないが、国がなかなか指針を出せない中で、各原発立地自治体、周辺自治体では独自の見直しも進んでいる。
おそらく全原発一律30キロのような決め方はできないのではないだろうか。
いずれにしれも新たな指針が決まれば、原発が立地する各道府県は地域防災計画原子力災害対策編の見直し作業に入ることになる。
原子力防災計画見直しが即志賀原発の再稼動となるわけでもないので今後の課題を若干整理しておきたい。
1.仮に一律30キロでなく各道府県で、それぞれ地域の実情に応じて柔軟に対応できることになると、石川県でもどこまでをEPZに含めるか大きな議論となる。
特に半島先端部に位置する奥能登地域。輪島市と穴水町は30キロ圏で防災計画の対象となり、珠洲と能登町が対象から外れたとき、住民の不安はさらに高まることになるだろう。珠洲市では市長も市議会(政友会)も志賀原発の問題には触れたがらないが、防災格差が決定的になる中、それでも珠洲は黙っているのだろうか。
仮にUPZに含まれなくても、避難者の受入れ態勢(放射線測定や除染施設も必要)の確立や、金沢への避難経路が絶たれた中、住民の生活をどう維持するかは考えなければならない。
2.国の作業部会でも当然議論になだろうが、地震など他の災害との複合災害を想定した計画でなければならない。
3.計画の実効性を訓練によって確認しなければならない。これまでのような学芸会のような訓練なら意味はない。またごく一部の地域の住民だけの参加では意味がない。仮に30キロ圏なら、その中の全住民の避難が可能か検証しなければならない。冬場の避難、観光シーズンの観光客の安全確保対策も当然必要である。
4.原子力防災計画の対象になったからといって、放射能が降ってこないわけではない。被曝の可能性、あるいは被曝の量を減らせるだけだということは忘れてはならない。
これまでの原子力防災訓練での避難は、万が一の被曝を避けるための念のための一時避難であった。
しかし、外部への放射能大量放出が現実となったいま、念のための避難ではなく住み慣れた土地や家を離れる避難になる覚悟を決めてもらわなければならない。
5.もちろん、そのような事故はあってはならないのであり、安全の徹底追及は当然のことである。その大前提は福島の事故原因の徹底究明である。
6.安全対策が万全かどうか、さらに事故の不安と隣り合わせの暮らしを受け入れるのかも含め、再稼動の判断をより広範な自治体、より多くの住民が参加するなかで決めていかなければならない。安全協定の当事者の拡大も必要である。
安全協定は各自治体と北陸電力の間で結ぶものであり、防災計画のエリア以外の地域でも結ぶことは可能。北陸電力や国は防災計画とリンクさせたがるだろうが、UPZ外の自治体の動きも注目される。
7.安全協定の当事者の追加だけでなく、協定内容の見直しもおこなうべきである。いまの協定は自治体と電力会社の馴れ合い関係をつくるだけである。
8.1988年12月1日、能登原発の着工の日、北陸電力は能登原発の名称を志賀原発に変更した。能登半島のイメージダウンを避けるためである。いまUPZ30キロ圏となれば温泉地和倉も含まれる。半島先端を訪れる観光客は陸の孤島となる危険性をはらんだ旅となる。
UPZ拡大を、単に防災計画の面からだけでなく、地域全体にとってどんな意味を持つのか慎重に考えるなければならない。
そのうえで、本当に原発と隣りあわせの暮らしを引き続き選択するのか、全ての県民、富山県民も含めて真剣に考える機会にしていかなければならない。
志賀原発は停止中であるからとの理由があるようですが、だからこそ今から出来ることを行うべきではと考えます。
また航空機による汚染状況が順次西日本でも行われ、石川の汚染マップも11月には公表されると聞いています。
その数値をひとつの目安として、今後の対応にも生かしていただきたいと思います。