北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

20mSvをめぐって

2011-05-28 | 活動報告
 福島県内の小学校や幼稚園の校庭利用基準を20mSvにするという文科省のとんでもない基準が事実上撤回された。放射線管理区域では18歳以下の人は労働してはいけないことになっているのに、『放射線管理区域』内で勉強させるような話である。

 国内外の多くの団体が抗議の声をあげ、ようやく方針転換に至ったが、学校の安全基
準=子どもたちの命にかかわるこの問題への対応で、日教組の取り組みが見えなかった。
 今日、七尾市内で開かれた日教組北陸協議会に参加したが、ここでも日教組の情報発信の弱さが指摘された。

 私は、この間の運動の全体像を把握しているわけではないが、精力的に運動を展開し、局面の転換にリーダーシップを発揮したのは市民グループだったように思う。

 以下は、運動の中心になった、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)、グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan、環境NGOグリーンピース・ジャパンで発出した声明である。
 問題はまだ終わっていない。

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                       2011年5月27日
声明
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文科省:当面の対応として「今年度、年間1ミリシーベルト以下を目指す」
「子ども年20ミリシーベルト暫定基準」事実上断念
福島の父母たち、市民運動が勝ち取った大きな一歩
同時に、文科省の発表は多くの問題と課題を残す
http://dl.dropbox.com/u/23151586/110527_statement.pdf
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 本日(5月27日)、文部科学省は、「福島県内における児童生徒等が学校等にお
いて受ける線量低減に向けた当面の対応について」を発表し、この中で、「年間
1ミリシーベルトから20ミリシーベルトを目安とし」としながらも、「今後でき
る限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って、今年度、
学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、1ミリシーベルトを目指
す」としました。また、校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以
上の学校の除染について、財政支援を行うこととしています。

 明言こそしていませんが、年間20ミリシーベルトに基づいた校庭等の利用制限毎
時3.8マイクロシーベルトを事実上断念し、棚上げにして、私たちがいままで求
めていた通常の基準値年間1ミリシーベルトを目指すという基本姿勢を文書で示

これは、5月23日の福島の父母たちおよびそれを支援する多くの市民たちの要請
にこたえたものであり、この間の市民運動が勝ち取った大きな一歩です。
一方で、下記の課題も残ります。

1.「今年度1ミリシーベルト以下を目指す」について
・事故後からの積算線量で年間1ミリシーベルト以下を目指すべき。また、学校
外における積算線量も含めるべき。
・さらに、既に1ミリシーベルトを超えている学校については、表土除去だけで
はなく、学童疎開など、あらゆる被ばく低減策を実施すべき。
・この1ミリシーベルトには、学校給食などによる内部被ばくは含まれていませ
ん。これも考慮にいれるべき。
・内部被ばくに関しては、モニタリングの対象とすべき。

文科省が示している「今年度」とは、4月1日からとなり、事故後の3月分は含
まれない可能性があります。また、「当面の対応」では、積算線量計を各学校に
配布し「積算線量のモニタリングを実施する」となっています。マスコミ報道に
よれば、この測定は基本的に6月からとされています。4月以降または6月以降
の評価で「1ミリシーベルト」とするのは不十分です。

2.財政支援を、土壌の汚染低減措置に限っていることについて
・授業停止、学童疎開、避難などあらゆる被ばく低減策について、これらを実行
に移す具体的な措置を示し、財政支援を行うべき。

「当面の対応」では、国による財政支援を土壌の汚染低減措置に限っています。

3.土壌の汚染低減化を毎時1マイクロシーベルト以上に制限していることにつ
いて
・土壌の汚染低減化は毎時1マイクロシーベルト未満であっても必要です。年間
1ミリシーベルトの被ばく以下になるよう土壌の汚染を除去するべき。
・除去した土壌については、東電と国の責任で管理すべき。

「当面の対応」では、財政支援の対象として、校庭・園庭の空間線量率が毎時1
マイクロシーベルト以上と制限を設けています。しかし、毎時1マイクロシーベ
ルトは、事故以前の福島県の平均空間線量の約25倍にもあたり、年間では8.8ミ
リシーベルトにもなります。年1ミリシーベルトを守るためには、セシウム137
で考えれば、土壌1平方メートル当たり40キロベクレル、空間線量では毎時0.15
マイクロシーベルト以下にする必要があります。

なお、今回の問題の根底には、文科省がもつ根強い「安全」神話がありました。
文科省および福島県の放射線リスクアドバイザーは、あたかも100ミリシーベル
ト以下であれば安全であるかのような宣伝を行ってきました。この偏った文科省
および一部の無責任な学者の宣伝を修正していかない限り、問題は繰り返し生じ
るでしょう。

私たちは、勝ち取った今回の大きな前進を、一緒になって行動を起こしてくださ
った全世界の市民の方々とともに確認するとともに、引き続き、日本政府に対し
て、以上の問題の対応および20ミリシーベルト基準撤回を求めていく所存です。

以上


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