北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

地域自給力とTPP

2011-10-17 | 雑感
 今晩のクローズアップ現代は 「“自給力”~食とエネルギーを自給する暮らしの可能性~」というテーマで都心に住む人たちの新しい動きを紹介していた。

 100%とは言わないができるだけ自給を目指した暮らしをしていきたい。食糧も、エネルギーも。
 都心に住む人たちの間で、そんな思いから地方に移住を希望する人たちが増えているという。

 評論家の内橋克人さんは、生活を自分の手に取り戻したいというこうした動きについて、ノスタルジーではなく未来を先取りした動きであるという。
 背景には企業の海外展開、産業の空洞化など経済のグローバル化があり、労働の意味や生きがいを問い直そうという意識が高まっていると指摘する。

 番組では、埼玉県小川町で約40年前から有機農業に取り組み、食やエネルギーの地域自給を目指す金子美登さんも紹介されていた。
 金子さんは、私が82年に脱サラして百姓を目指そうと思ったころから、その道の人たちの間ではその取り組みは広く知られていたが、ここ数年、視察や研修希望者が殺到しているという。

 一昨日、民主党・前原誠司政調会長が民主党石川県連のパーティ出席のために来県し、北國新聞政経懇話会で講演をおこなっている。
 アジアのインフラ需要の開拓が日本の経済成長には欠かせないとし、社会保障維持のため、そして産業空洞化を避けるためにもTPPについて議論し答えを出していかなければならないと、慎重な言い回しながら事実上TPP参加を訴えた。

 私が生活の自給度を高めたいという思いから有機農業を目指そうと思った頃は「変わり者」だったが、いま、国の自給力を一気に押し下げようというTPPへの交渉参加の危機感が高まるなかで、生活の自給力、地域の自給力を高めようという動きが市民の間に加速する。

 政府がTPP参加で経済成長だと太鼓をたたけばたたくほど、田舎だけでなく都会でも成長より暮らしの質だ、生き方だ、という人が増えてくる。生活の自給度を高める市民が増えれば増えるほど、GDPの拡大にブレーキをかけることになる。なんとも皮肉な話である。

 米国でも重大な問題になっているようだが、国民の間で利害の対立にとどまらず、価値観の分裂がますますに深刻になっている。

 単に政権のリーダーシップの問題ではなく、政策自体が抱える矛盾である。

 民主党はそのあたりをどのように考えているのだろうか。


 


コメントを投稿