北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

朝日新聞連載「敵がいる」

2013-04-30 | 雑感
 権力をチェックする報道機関としての使命がかなり薄れてきたと感じて久しく、今日発売の週刊ポストでは安倍首相との「不適切な蜜月」との大見出しが踊る朝日新聞であるが、1昨日からはじまった連載「敵がいる」は読んでおくべき連載である。

 かつての朝日新聞阪神支局への襲撃事件を機に、時代の言論状況をみつめてきた企画の第38部となる。
 今回は「『敵』を見つけ、暴力的な言葉を浴びせる人々がいる。それを容認し、駆り立てる空気がある。」という言論状況を取り上げ、不寛容な社会の危うさがテーマとなっている。

 1回目は「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の動き、2回目は「北朝鮮」に触れたら排除というテーマで石川県議会の様子も取り上げられている。3回目は沖縄の反基地・平和運動に対する攻撃である。

 これまで、ネトウヨと呼ばれる人たちが偏った思想と不正確な情報に基づいてネット上で特定の人を攻撃するということは頻繁にあったが、「在特会」は街に出てデモ行進などでアピールする。
 
 さらに沖縄の人たちによるオスプレイ反対のデモ行進に罵声を浴びせる動きまであるとは、にわかには信じ難かった。かつての本土には在日米軍基地を沖縄に押し付けている後ろめたさがあったが、いまは領土問題を背景に、沖縄の平和運動を中国から支援を受けている運動だと決めつけ攻撃するのだという。
 一昨日の「主権回復の日」のように、沖縄の人たちが日本に裏切られてたと感じるのは当然だと思うが、事態は逆で、中国脅威論にあおられた人たちが、オスプレイ配備反対は日米安保条約に水を差す利敵行為で、「沖縄は日本を裏切るのか」「売国奴」「日本から出て行け」と罵声を浴びせられる。

 そこまで言われるのならば「琉球独立論」が勢いを増して当然だと思うが、これまた「日本への裏切り」と批判されるそうな。

 彼らの思考回路の中で、長年にわたる沖縄の苦しみや痛み、怒りはどんなふうに位置づけられているのか、ただただ驚くばかりである。

 こうした動きがごく一部の人の特異な行動にとどまらず、多くの人がそうだ、そうだという雰囲気が怖い。昨年の米大統領選挙では米国社会の分断と対立が指摘されていたが、日本も同じような流れにあるのかもしれない。

 このシリーズ、何回続くか知らないが、生活保護者バッシング、公務員攻撃などが続いて取り上げられるのだろう。
 過疎地域では交付税が多く配分されるなど財政的に手厚く支援されている面があるが、そのうち過疎地に人が住むのは税金の無駄遣いだ!という攻撃が始まらないか冗談抜きで心配である。

 


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