北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

放射線監視の拠点-保健環境センター視察

2012-01-10 | 活動報告
 盛本県議のお世話で金沢市太陽が丘にある石川県保健環境センターを視察。県内各地の自治体議員、市民グループの人たちも含め11人が参加。


 同センターは細菌やウイルスに関する検査や調査研究、食品や医薬品の衛生試験や調査研究、さらに大気や水、土壌に関する試験や調査研究など県民の健康と環境を守る様々な活動を行っているが、今日の視察の目的は環境放射線のモニタリング体制についての学習だ。
 環境放射線のモニタリングは大きく空間放射線の測定と飲食物等に含まれる放射線の測定に分けられる。


 空間放射線の測定は志賀原発運転当初から行われているが、この4月からさらに監視システムを改良した石川県環境放射線監視ネットワークシステムというものが立ち上がっている。
 志賀原発から5キロの距離にある志賀町監視センター(オフサイトセンターと同じ場所)のシステムがダウンしても監視体制を維持できるよう回線を多重化し、故障によるデータの未回収も回避できるシステムだという。志賀原発の放射線監視の本丸としての機能強化である。
 これ自体はもちろん前進だが、現在のオフサイトセンターの位置をそのままにしておいていいということではない。
 また、このシステムから文科省の緊急時迅速放射能影響予測システム、いわゆるSPEEDIにも観測データを常時送信しているが、福島の事故では住民避難に全く役立たなかった。国が情報を出さなかったからである。現在の石川県のシステムでも同様に、観測データは送るが、避難に役立つ情報としてバックしてくるかどうかはわからない。
 地方でどれだけシステムを整えても、国の原子力防災の責任者がその必要性や重要性を認識していなかったら何の役にも立たない。
 国に情報を一元化する現在の原子力災害対策特別措置法の見直し議論が国会議員の間で起こらないこと自体、大きな問題だ。これでは国会議員のどなたが原発担当大臣になっても事態は変わらない。


 
 続いて飲食物等の放射線測定をおこなうゲルマニウム半導体検出器付核種分析装置も見せてもらった。
 4台あるがなんと1台約2000万円。県内各市町ではとても揃えられない。金沢市のように2~300万円程度の測定器を備え、詳細な測定が必要な場合は保健環境センターに持ち込むという役割分担かと思うが、3.11以後、すでにここの4台はフル稼働。
 輸出品の安全確認のための検査依頼もあるという。
 消費者の安全安心、学校給食の安全確保など、万が一の事故に備えた食のモニタリング体制がいかに脆弱か、あらためてよくわかる。

 保健環境センターの体制は、そもそも志賀原発の周辺環境の平常時の安全を確認するための体制であり、福島第一原発のような長期かつ広範な汚染をもたらす大事故による食や環境のモニタリングには対応できないのだ。

 福島でも相次いで市民放射線測定室が立ち上がっているように、現在の行政の体制では、志賀原発で事故が起きた場合、とても対応できる状況でないことがあらためて確認できる。

 福島第一原発の事故を踏まえた原子力防災計画の見直し議論では、当然モニタリング体制の再検討も避けることはできないが、ここでも県は国の指針待ちだろうか。
 地方からどんどん声をあげていかないと、課題丸ごと積み残しのまま、国は再稼働へ突き進む。 


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