ロゴス文庫主催の学習会「図書館の力、図書館の役割」に参加。
講師は滋賀県の元・野洲図書館長の千歳(せんざい)則雄さん。
滋賀県は県民一人当たり図書貸出数が8.62冊で全国一位(2013年度)。
多ければいいという単純な話ではないが、図書館が県民のそばにあり、県民の期待に十二分に応える存在となっていることは間違いない。
千歳さんはこの滋賀県で、旧野洲町の新図書館建設準備室長、そして図書館長として、さらに滋賀県公共図書館協議会長として活躍してこられた方。
野洲町は2004年に合併で野洲市となったが、合併前の人口は約3万7千人。珠洲市の約2.5倍の規模だが、この町が22億円を投入して図書館をつくった。市長や住民、議会の図書館に対する理解や期待がないととてもできない予算規模だ。
このような住民の期待に応える図書館、いったいどんな理念に立脚するかといえば・・・千歳さんの資料の冒頭に記されたのが日本国憲法第三章国民の権利及び義務、そして戦後の公立図書館のあり方を方向づけた前川恒夫氏(小松市出身)の「中小都市における公共図書館の運営」、さらに公共図書館宣言と続く。
昨今話題を集めたTUTAYA図書館などとは理念として対極に位置することはあきらか。
新図書館建設にあたっての市民への提言、アドバイスも示唆に富む発言が続いた。
新図書館建設検討委員会の答申では触れられていない蔵書数について5~6万冊では魅力なし、臨界点に達しない図書館はダメ!とズバリ。
建物については現図書館の改修ではなく新図書館建設がいいとしつつも、ハコ物ではなく人の重要性を力説。
ちなみに野洲図書館は18人のも司書資格を持った職員がいるとのこと。
まさに司書の存在、活躍が図書館の成否を決める。そのために市民の応援が必要だし、図書館は創立記念日から「はじめる」という意識が重要とのこと。
そして市民の参加の大前提は情報公開。答申後の市の動きが見えないことは問題と苦言。
市長が交代した後が難しいとの指摘も実感がこもる。
講演後の質疑でも参加者からたくさんの意見が出された。
珠洲市の新図書館は平成30年度の完成を目指し、来年度は実施設計に入り、図書館の姿が徐々に具体化していく。
そんな中、今日の学習会は改めて公立図書館の原点、そして市民の関わり方を学ぶ貴重な機会となった。
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