NHK大河ドラマのいだてんか1昨日最終回を終えた。
ビデオリサーチによる調査によると、平均視聴率は8.2%と歴代大河ドラマではじめて一桁台に落ち込み、過去最低だったとのこと。
昨日の日刊スポーツはその原因について4点指摘している。
1.テーマが大河ファンに人気がない近現代
2.特に序盤、番組の構成がわかりずらかった
3.強い裏番組の登場(「ポツンと一軒家」)
4.出演者の不祥事(ピエール瀧、チュートリアル徳井義実)
いずれも的確な指摘だと思うが、個人的にもう一つ付け加えるなら2020東京オリンピック・パラリンピックの盛り上げに向け「NHKも頑張ってます!」ってことで、「花燃ゆ」に続く安倍官邸主導、あるいはNHKの政権そんたく番組ではないかという先入観があった。
前作「西郷どん」の延長でつい1回目を見てしまったが、わかりにくいというか、なにがなんやらわからない展開で「あ~こりゃ視聴率落っこちそう」。
予想はピタリと当たったが、惰性でしばらく見続けていたところ、だんだん面白くなってきた。
1912年のストックホルム大会に金栗四三と三島弥彦が日本人として初めて参加したこと、明治、大正、昭和と国民の体力強化の体操がスポーツに変わっていく歴史や女性スポーツの歴史なども随所に紹介され初めて知ることがいっぱい。
柔道の嘉納治五郎がオリンピック初参加から1940年の東京大会誘致まで大きな役割を果たしていたことなども全く知らなかった。
ヒトラーやムッソリーニまで登場し、当時からの政治とオリンピックの切っても切れない関係も結構ドロドロと。
その一方で金栗と並ぶ主人公の阿部サダヲ演じる田畑政治の「人種や国境、宗教の壁を越えて世界中の人が集う平和の祭典がオリンピック」という理想も節目節目で重要な位置付けで登場する。
田畑政治事務局長のクビ以降の裏実行委員会の存在は痛快で笑える。
最終回の快晴の中での1964東京オリンピック開会式、「あの日は雨だった」と回想する声。あの日とは1943年の雨中の国立競技場、学徒出陣で有望なオリンピック選手を含む多くの若者が出征した日のことだ。
独立して日も浅いアフリカの国々も参加する。オリンピック初参加のコンゴは出場選手が2人で、52年前の金栗、三島を思い出す。
閉会式の日に独立を果たしたザンビア共和国も実話だそうだ。
ビートたけし演じる志ん生のオリムピック噺がうまく絡み合って最終回につながっていく構成はさすが宮藤官九郎といったところか。
全体を通じて、オリンピックを過度に理想化しすぎることもなく、それでも1964東京オリンピックはまだ純粋に理想を求める熱い裏方の人たちが何人もいたんだなあと伝わってくる。
裏を返すと2020東京オリ・パラは政治利用・商業主義が極まれり。
これまでのオリンピックの歴史を振り返って、少しは頭を冷やせ、立ち止まれ、時には引き返す勇気も必要だというメッセージが込められているような・・・とここまで言ったらちょっと手前味噌過ぎる解釈か。
いずれにしても第一回スタート時の「政権そんたく番組」は誤った先入観だった。
視聴率低すぎは残念だったが、2020年を前にしていいドラマだったと思う。
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