北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

専門委員会の出番はどこ? 県へ志賀廃炉申し入れ

2015-05-22 | 志賀原発

5月13日の原子力規制委員会有識者会合の議論を受け、さよなら!志賀原発ネットワークとして県へ申し入れ。
一番の焦点は、有識者会合の敷地内断層の評価書(案)が「活断層の可能性を否定できず=活断層」となることがほぼ間違いない中、県原子力環境安全管理協議会(安管協)がわざわざ設置した「原子力安全専門委員会」がどこで、どのような動きをするかである。

今日確認できたのは、
(1)評価書(案)がまとまった段階で専門委員会として原子力規制庁から説明を受ける。
(2)原子力規制委員会としての判断が出た段階で規制委員会(事務方の規制庁)から説明を受け、県民の立場でその結論を確認する。
(3)規制委員会の判断と専門委員会の見解が異なった場合の対応は未定。

安管協は原子力規制委員会の議論に法的にコミットする権限はない。
それをいいことに、これまでは事あるごと、国や北電からの報告を受け、追認するだけの組織だった。
はっきり言って「地域住民の安全を確保し、生活環境の保全を図る」という設置目的は霞んでいた。

そんな中、今回初めて国と北電の見解が異なる可能性が出てきたのである。
知事は13日、マスコミの取材に答え「有識者と北電が同じ土俵に上がって議論をかみ合わせ、方向性を出していくことが大事だ」とコメントした。
有識者会合は、2回の現地調査を含め、北電からの詳細な調査結果の報告を受け、約1年3ヶ月に及ぶ審議を経て一つの見解で一致したのである。
あたかも違う土俵で独自の見解を一方的に発表したわけではなく、知事の認識は基本的に誤っている。

今日の申し入れでもこの点について何人もの参加者から懸念する声が上がった。
単に知事がうっかりミスのコメントをしたから懸念しているのではない。
まさにこの20数年間の安管協の歴史は北電の意向を踏まえて議論し結論を出していく繰り返しであり、知事の発言は本音そのものだったからである。

「地域住民の安全を確保し、生活環境の保全を図る」という本来あるべき安管協の立場に初めて立てるのかどうか、県民は疑問視している。
なにより専門委員会の委員構成は到底「県民の立場」と胸を張って言えるようなものではない。
今日の申し入れに対して「人選を見なおす必要なない」とここだけ断言したことも、不信感に拍車をかけている。

おそらく規制委員会の結論が出るまでじっとしているなんてことはないだろう。
評価書(案)が出た段階で説明を受けることとしているが、ここでまずひと暴れして、規制委員会の結論に影響を及ぼそうとするのではないか。
油断できない。

以下、今日の申入書である。

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2015年5月22日
申 入 書
石川県知事 谷本正憲 様
さよなら!志賀原発ネットワーク
共同代表  岩淵 正明
南  高広
中垣 たか子


 5月13日、北陸電力志賀原発の断層問題に関して、原子力規制委員会の有識者による評価会合が「敷地内のS-1,S-2,S-6断層は13~12万年前以降の活動が否定できない」との見解を全員一致で出しました。すなわち、志賀原発は敷地内の重要施設の直下に、原子力規制委員会が定めた新規制基準の規則の解釈(2013年6月19日規制委員会決定)における「将来活動する可能性のある断層等」があると認定されたのです。北陸電力は断層調査に3年近く費やしても、結局、専門家を説得できるような、活断層でないことを示す証拠を見つけ出すことができなかったわけです。
 この規制委員会の評価会合の判断は、地震や断層に関する科学には限界があることを認めた上で、原発が抱える潜在的リスクの大きさを考慮し、安全側にたって判断を下したものであり、私たちは、この判断はあくまでも安全を最優先で考えるべき原子力規制としては当然のものであると考えています。また、評価会合委員は、全員が過去の安全審査の際の個別の原発の活断層評価等には関わっておらず、予断を持たずに客観的審査をすすめるための妥当な人選であると判断しています。
 敷地内だけでなく志賀原発の周辺にはいくつも活断層があります。北電がごく最近まで活断層とは認めなかった福浦断層、3本の断層に分割して評価していたものが2007年3月の能登半島地震で一体となって動き、北電の評価が誤りだったことが判明した笹波沖断層、金沢地方裁判所の志賀原発2号機差止め判決の根拠となった邑知潟断層帯、あるいは北電の評価よりも長い可能性が指摘されている富来川南岸断層など多くの活断層に囲まれていて、耐震安全性の観点から不適当な場所に立地しているのが志賀原発なのです。 
 2011年3月11日以降、志賀原発は2基とも停止しても電力需給に何ら問題はなく、経営面でも3年連続の黒字が続いています。ところが北電はいまだに原発再稼働に固執し、結論の先延ばしを図ろうとしています。断層の活動性に関する調査や審議をまだ続け、さらなる耐震補強工事を進めるなら、その間、危険性は放置され、膨大な調査費や工事費はいずれ消費者が負担することになります。
 このような状況にもかかわらず、県が県民の安全を守る立場よりも、むしろ北陸電力の側に立って、原子力規制委員会の有識者会合の見解に異議を唱えようとしていることは、到底、納得できません。
 そこで、私たちは、石川県に対して、下記の要望をいたします。


 
1.北陸電力に対して、これ以上、調査に時間を費やすようなことはせずに、原発に依存しない電力会社へ経営方針の転換を求め、廃炉に向けた検討を速やかに開始するよう申入れること。

2.原発に頼らない新たな地域振興策など、廃炉に向けた環境整備に着手し、県として必要な措置の検討作業を始めるとともに、必要に応じ国および志賀町などとも協議すること。

3.原子力環境安全管理協議会とその下に設置されている原子力安全専門委員会については、過去に志賀原発の安全審査などに関わった委員を交代させること。
  また、「地域住民の安全を確保し、生活環境の保全を図る」という原子力環境安全管理協議会の設置目的を再確認し、協議会および専門委員会の協議の内容が県民の安全確保と環境保全に資するものとなっているか、抜本的な見直しと検討を行なうこと。


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