北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

瀬戸内芸術祭を訪れて・・・島の魅力

2016-11-09 | 活動報告
地域アート=地域名を冠した美術のイベント(藤田直哉氏の定義)としての芸術祭の魅力は、アートをきっかけに作品が展示されている地域に足を運び、地域の魅力を再発見することにあるともいわれている。
まさに今回は瀬戸内国際芸術祭をきっけとして、直島は約20年ぶり、女木島(人口173人)や男木島(人口179人)には初めて訪れることができた。
そこで男木島の魅力を少し紹介してみたい。

   
  (女木島の鷲ヶ岳展望台から望む男木島)

島に上陸し、まず気付くのはネコの多さ。
それも瀬戸内の気候風土の中で育ったからかのんびりと、しかもカメラ慣れしているようにも感じる。
ネコ愛好家の方ならご存知かもしれないが、動物写真家岩合光昭氏の世界のネコ歩きに男木島のネコが登場し、一気に人気が沸騰したそうだ。
男木島のネコの写真を撮るためにわざわざ島に泊りがけでやってくるファンもいるとのこと。

   

ネコブームよりもっと前に男木島を有名にしたのはこれ。

   

男木島灯台。
映画やドラマにもなった「喜びも悲しみも幾歳月」の舞台である。
いまでも港から約30分、てくてく歩いてやってくるファンもいるそうだ。

   

島にはかつて1800人の島民がいた。
墓の多さを見ても現在よりはるかに多くの人がいたことは容易に想像がつく。

   

時代の流れで人口が減少し、子どももいなくなり、一時は島民の平均年齢は73歳まで上昇したとのこと。

それがいまや若者の移住が30人、小中学校や保育所が復活し、平均年齢は65歳前後まで降下したそうだ。

あらためてわずか一泊二日の滞在だが、島の一番の魅力は?と考えたとき、ネコや男木島灯台、料理や自然もさることながら、やっぱり島に暮らす人たちだろう。
民宿さくらさんは先に書いたが(11月6日のブログ)さくらさん以外にも島で出会った皆さんがそれぞれ魅力的。
人が人を呼ぶ流れがしっかりとできているような感じ。

島の暮しを聞く中で一番興味深かったのは、島にはお巡りさんがいないということ。
民宿さくらの奥さん言うには、数十年前に神社の賽銭泥棒があったくらいでそれ以来犯罪は起こってないとのこと。
ちなみにその犯人は?と聞くと、捕まってはいないが島のみんなは〇〇さんちの息子だとわかっていたそうだ。
家の鍵も誰もかけない(芸術祭が始まって鍵をかける家もでてきたそうだが)。
ただし週2回くらいは隣の女木島から駐在さんが船でやってくる。
するとあっという間に島中に「駐在さんがやってきたぞ」という情報が伝わり、普段やってる〇〇はやめるそうだ。
日本中、治安の悪化が叫ばれて久しいがこの島は無縁だ。
島という特殊性はあるが、お巡りさんを必要としない地域社会というのも、じっくり考察する価値がありそうだ。

   
   (男木島から見る朝日)

少子高齢化にも歯止めがかかった。
そういう意味では日本の最先端を走ってる島だ。

芸術祭をきっかけに島の魅力が開花したともいえるのかもしれない。

だけど、一日に島民の5倍以上もの人がくるようなイベントが果たしてこの島に本当に必要なのかとも思う。
男木島の朝日にアートが必要なのかとも思う。

瀬戸芸視察報告の締めくくりに、次回は作品の感想を少し書いてみたい。

   


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