北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

どうなる?「革新的エネルギー・環境戦略」

2012-08-03 | 脱原発
 野田内閣の国家戦略室が環境・エネルギー会議とやらを設け、全国各地で国民の声を聞く意見聴取会を開催している。
 先月28日には富山市でも開催され、1昨日は福島市でも開催された。

 2030年の原発の割合をどうするか、0%、15%、20~25%の選択肢を設け、意見を集めている。

 当初の予定では今月中に「革新的エネルギー・環境戦略」なるものが策定されることになっている(今月中は無理との声も出ているようだが)。
 これを受け、エネルギー基本計画、原子力政策大綱、地球温暖化対策、グリーン政策大綱策定といった政策の具体化につながるそうだ。

 なんとも重要な基本方針が策定されようとしているはずなのに、自分も含めそんな重大な局面にあるという認識に欠けているように思えてならない。

 その原因は、一方的にこちらにあるとも思えない。

(1)意見聴取会の資料である「エネルギー・環境に関する選択肢」をみれば、現行エネルギー基本計画を持ち出し、原発の比率を45%にすることになっていると紹介している。また、原発の比率が26%だった2010年を起点として、いかにも3つの選択肢が原発削減の方向にあるように見せかけているが、2011年を起点としてみれば、いずれも再稼働前提の選択肢である(0%も2030年だから再稼働ありである)。

 こんな議論に国民を巻き込もうとすること自体、詐欺である。多くの国民が引くのも当然である。

(2)再稼働を前提にしようにも再稼働をゆるさない現地のたたかいが全国的に展開されている。計画通りにコトが進まないのもあきらか。

(3)そもそも福島第一原発事故が収束していないのに原発再稼働、存続の議論をすること自体、安全無視であり、福島会場での福島の皆さんの怒りは当然である。
 仮に中期的計画をつくらなければならないのならば、100歩譲っても暫定計画しかありえない。

(4)そんなに重要な計画ならば、全国11か所の意見聴取会だけで、しかも限られた発言者の意見を聞くだけで決めていいはずがない。
 国会周辺に毎週金曜日に集まる数万人の人たちの声が「音」にしか聞こえない首相に国民の声を聞こうとする姿勢があるとは思えない。大飯再稼働で「私の決断」を強調した首相が、国民の声を広く聞くと言っても信用する国民は少ない。

(5)自民党時代の原子力政策大綱でも、実現不可能な原発増設計画を盛り込んであり、絵に描いた腐ったモチのような大綱だったが、ましていつまで続くかわからない民主党政権であり、計画をつくっても実行に移せるとは思えない。

(6)そこに昨日から急浮上した内閣不信任案提出の動きも加わった。革新的エネルギー・環境戦略の取りまとめまですら、政権が存続しているかもわからなくなってきた。

 考えれば考えるほど相手にするものバカらしくなるような革新的エネルギー・環境戦略であるが、残念ながら国民が相手にしないともっと悪くなるのが政治の常である。
 これから1か月、議論の集約状況には関心を持たなければならない。



1 コメント

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残念ながら国民が相手にしないともっと悪くなる (Unknown)
2012-08-04 22:55:34
しっかり反論:瓦礫引き受け・・・量と濃度の錯覚
http://youtu.be/OZUvagiQfBI

武田邦彦 (中部大学)より
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