朝日新聞(12月17日)
第2次安倍改造内閣の打ち出した地方創生、ローカルアベノミクスの目玉として語れていたふるさと納税の拡充策が今月30日に決定される2015年度税制大綱に盛り込まれることになった。
昨今のふるさと納税を巡る特典競争の異常さ、そして税制を歪めていく問題点については9月11日のブログ「どう考えてもおかしい!ふるさと納税の特典競争」で指摘してきた。
制度の提唱者である西川福井県知事ですら当初の目的からずれてきていることを危惧し、福井県は特典競争ではなく政策競争へと舵を切る方針を示している。
私は自治体が政策立案を巡って切磋琢磨すること自体は結構なことだとは思うが、ふるさと納税の獲得を巡って政策競争が展開されることにも疑問を抱く。政策の実現に絡めてこの制度を利用しようとするなら、これまた様々な活用方法が編み出されてくるだろう。
これについては2011年1月16日に書いた「米軍再編交付金と『ふるさと納税』制度」をご覧いただければありがたい。
「ふるさと」という甘い郷愁を誘う表現と、いかにもその活用を正当化するような「納税」という表現をセットにしたこの制度、現在の税制を巡る最大の課題である所得の再分配機能の強化どころか、再分配機能をさらに歪めることになるだろう。
真面目に、本気で地方創生を目指すのならば、地方交付税の拡充をはじめとした自治体の自主財源の確保に真正面から取り組むべきである。
私は税制を歪め、寄付文化の定着も阻害するこんなばかげた競争には参加するべきではないと主張してきた。
この間、珠洲市にふるさと納税をしていただいている全国の「珠洲市」応援隊の皆さまには制度の趣旨を踏まえて協力していただいている。
珠洲市長、そして担当の総務課もこのような特典競争に煽られることなく制度を運用してきた。
ただ、目先のことだけ考えればこの特典狂騒曲に踊らされた方が得であることには違いない。
本当に困った制度である。
厳しい財政事情の中、特典競争に参加する自治体を私はことさら非難するつもりはないが、ふるさと納税制度導入の本来の趣旨を踏まえて真面目に対応している自治体がバカを見るような制度拡充に対しては、地方六団体揃って撤回を求めるくらいの自治体のプライドがほしいと思う。
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