好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ガブリーロフ/ムーティ/フィラデルフィア管

2018-04-21 15:37:52 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第3番 

ピアノ…ガブリーロフ
指揮…ムーティ
演奏…フィラデルフィア管
好み度…5(5点満点)

ピアノはクリアで美しく、力強い。叙情部での、ゆっくりと、一音一音透き通るように打たれる音の美しさも印象的ならば、大カデンツァやフィナーレでの圧倒的な、情感を伴う強さも印象的。オケは厚く沈まず濁らずロマンを感じさせるような弦が印象的、全体としても厚く情感豊かな響きで、ピアノとオケの溶け具合もよく録音も優秀。
出だしから、ただならぬ雰囲気と響きにあっという間に引き込まれる感があり、その後もピアノとオケの美しく大きく情感豊かな響きに聴き惚れているうちに気が付くともう展開部の感があり、大カデンツァは、そこに向かうおどろおどろしいような雰囲気もよく、一級の強さに切なさを感じさせて秀逸。2楽章も厚くクリアで美しい。
終楽章はさらにピアノもオケも覇気ある力強さを加え、後半に移る前のピアノソロの叙情部の美しさも印象的。フィナーレへ向かう高揚感と、フィナーレの力強さとスケール感はピアノ、オケとも圧倒的、劇的ですらある。
ピアノ、オケとも、美しさ、情感、力強さ、スケール感、これらのどれもが高い次元で表現された、大げさかもしれないが感動ものの演奏と思う。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ポコルナ/ピンカス/ブルノ国立フィル 

2017-11-04 10:36:00 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第3番 

ピアノ…ポコルナ
指揮…ピンカス
演奏…ブルノ国立フィル
好み度…4(5点満点)

叙情部でのしっとり感や情感、あるいは全体的にスケール感には欠ける感を受けるが、ピアノは気の強さを感じさせる激しく輪郭のはっきりした音と、回転の速さと個性を感じる思い切りのよい打鍵っぷりが印象的。要所では凛とした叙情性も感じさせる。
オケも小気味よく密度の濃い響きで好感がもてる。
全体的に、特に終楽章はオケがやや控えめでピアノの印象が強い印象になっている。また、カデンツァはオリジナルのほうで、ちょっとこのコンビの大カデンツァを聴いてみたい気もするが、これはこれで高速な中に緊張感を感じさせたものになっていて、この演奏にはこちらがあっているかもしれない。
スポーツでいえば花形選手ではないが自分のスタイルで切れ味のよさをピリリと感じさせるような、ロシア的叙情性やスケール感というよりはこの曲の硬派な切れ味を感じさせる、奏者の意気をドライにコンパクトにある意味自分の好きなようにぎゅっと詰めたような演奏のように感じる。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ティボーデ/アシュケナージ/クリーヴランド管

2017-10-14 11:27:59 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第3番 

ピアノ…ティボーデ
指揮…アシュケナージ
演奏…クリーヴランド管
好み度…4(5点満点)

ラフ3でそうであったように、このコンビの演奏は感情表現は控えめな印象も受け、そのスタイルはこの曲ではスケール感と情感にやや不足の感も受ける。
ただ、ピアノはその確かな打鍵に飾り気のない情感を秘め、オケもときに深みを湛えた弦など美しい。
第1楽章では叙情部は素朴な美しさを感じさせ、中間のピアノとオケによる主題の強奏部分へ向けて緊張感を高めていく様や、そこをヤマとした楽章全体の構成も心地よく、その強奏部はなかなかに力強い。第2楽章は実直な美しさ、
第3楽章は力感や起伏を増し、スケール感などは特に感じないが、ピアノとオケの確かな技量に、力感と情感がにじむような好演と思う。
華を感じるタイプではないし、スケール感やしっとりした情感はあまり感じず、強い感銘を受ける、といったタイプではないように感じるが、確かな実力のある両者がしっかりまとめあげた質の高い好演と思う。

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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 アーロノヴィチ/ヴァーシャーリ/ロンドン響

2017-07-30 10:18:20 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第3番 

ピアノ…アーロノヴィチ
指揮…ヴァーシャーリ
演奏…ロンドン響
好み度…4(5点満点)

ピアノは録音のせいか、ややクリアに抜け切らない感も感じるが、情感と温もりが随所に感じられ、大カデンツァの迫力は見せ所、の感があり、最後の低音の迫力ははちょっと聴かれない類。オケの響きも濃く、第1楽章は秀逸の域かと思う。終楽章はピアノもオケも第1楽章に聴かれた特有の情感濃い雰囲気がやや薄れた感もあり、フィナーレもこの演奏の〆としてはもう少し雄大さと強さがほしいようにも感じる。
全体的にはいろんな意味で抜け切らない感もあるが大カデンツァの迫力や飾り気のない力感や情感が好印象な盤かと思う。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 バルト/エッシェンバッハ/ロンドンフィル

2017-05-14 09:07:15 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ 
ピアノ協奏曲第3番 

ピアノ…バルト
指揮…エッシェンバッハ
演奏…ロンドンフィル
好み度…4.5(5点満点)

ややゆっくりめのテンポで、ピアノもオケも強さや緊張感よりは、録音による印象もあるようにも思うが、しっとりと落ち着いた印象を受けるくらいの雰囲気。
第1楽章前半は強い起伏はあまり見せないが、ゆっくりめのテンポの中、その叙情性は独特の雰囲気をつくって印象的であり、大カデンツァは低音の迫力も印象的に重量感と情感に満ちた聴き応えのあるものになっている。
第2楽章はゆっくりと静かに確かな重みを持つかのような響き。
終楽章はピアノもオケも堂々とした力強さを加え、また、叙情部もさらに叙情性を濃くしたかのようなであり、かなりゆっくり情感込めて奏されるフィナーレもこの演奏にはしっとりあっているように思う。
歯切れのよさや厳しさや華やかさ、引き締まった感には欠けるかもしれないが、この曲はこんなに叙情系の曲だったっけ、と思うくらいの、悪い意味でなく沈んだ感じのたっぷりの叙情性や重量感を感じる魅力を持った盤のように思う。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ブロンフマン/サロネン/フィルハーモニア管

2015-12-20 22:55:09 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第3番

ピアノ…ブロンフマン
指揮…サロネン
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

アシュケナージの叙情性、マツーエフの強靭さ、といったような個性を求めるならばもう一歩、という感があるが、特に感情への訴求を求めなければ、ピアノの音もときに美しく、時に重く、平均点以上の聴き応えではあり、サロネン指揮フィルハーモニア管も豊かな音色で単なる伴奏以上の演奏を聴かせているように思う。
まぁただ、他の盤を差し置いて何度も手を伸ばすかと言われればそうでもないような気もする。
オーソドックスかつ質の高い演奏、という意味ではそれなりに位置づけされる盤であると思う。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 アシュケナージ/ハイティンク/コンセルトヘボウ管

2015-11-17 22:34:14 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第3番

ピアノ…アシュケナージ
指揮…ハイティンク
演奏…コンセルトヘボウ管
好み度…4.5(5点満点)

この組み合わせでのラフ2は雪原の情景浮かぶ叙情性にあふれた美しい名演と思うが、この3番もその延長線上のようなスタンスを感じる。
何とも叙情的であり、少し重みを帯びるような美しさである。
オケの音色もその印象に大きく影響を与えているように思う。
月夜の大河のような、静かな重みと叙情性を湛え、大カデンツァでも力強さよりはむしろ情感が印象的。
終楽章ではピアノ、オケとも、力感を加え、強さを帯びた美しさも聴かせている。
ある意味ラフ3らしくないほどに耽美的ですらあるほどに美しく、幻想的な雪原を思わせるようなラフ3と感じる。
プレヴィン版との比較では、個人的には独特の雰囲気があるという点でハイティンク版をとるが、これは好みでしょうね。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 プレトニョフ/ロストロポーヴィチ/ロシア・ナショナル管

2015-10-10 23:34:36 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第3番

ピアノ…プレトニョフ
指揮…ロストロポーヴィチ
演奏…ロシア・ナショナル管
好み度…4.5(5点満点)

ピアノの音のなんと澄んでいることか。
澄んでいてなおダイナミックさを備え、豊かな情感を湛えている。
起伏の動きも細やかで大きく凛として美しい。
大カデンツァも激しさと強さとともに強い情感を表現して聴き応えあり、その後の叙情部は夢見心地に誘われるように美しい。
オケはロストロの棒で重く重厚かと思いきやどちらかといえばむしろクリアで控えめ、ながら、緊張感を湛えた起伏をもってピアノの美音をしっかり支えている。
両者相まって高い完成度の中にこの盤ならではの緊張感と雰囲気を醸している。
この曲のドライな激しさと緊張感とともに情感と美しさも存分に聴かせる、難曲であることを忘れるほどにプレトニョフの名人芸が光る名盤と思う。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ティボーデ/アシュケナージ/クリーヴランド管

2015-05-30 23:17:46 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第3番

ピアノ…ティボーデ
指揮…アシュケナージ 
演奏…クリーヴランド管 
好み度…5(5点満点)

ピアノもオケも、過度な表現を避け、むしろぐっと表現を抑えているようで、なぜか音に情感がのっている、独特の雰囲気がつくられている、そんな演奏である。
出だしからしてそんな雰囲気を持った演奏で、派手さはないがしっかり弾かれた名盤だと思う。
的確で、それでいて少しも無機的でなく、小さな起伏はきちんとつけながら、騒がず力まず大人のラフ3といった雰囲気で展開していき、大カデンツァへ向かう高揚部と大カデンツァでは、その大人の底力を見せ付けられるかのような迫力に満ち、その後の静けさの中で弾かれる音はまた優しく美しい。第1楽章が終わってみれば、大きなヤマは大カデンツァと決めてかかっていたかのような感さえあり、その分その迫力は際立つ。
第2楽章も叙情性の強調とかとは距離を置いたスタンスのようでいて、どこか人間味のある美しさも漂わせる。
終楽章のピアノは適度な力感をもちつつ、それが重くなったり威圧感になることなく、むしろその力感の中にはピアノの素朴な美しさや暖かさを感じるくらいである。
この演奏中、オケはかなり控えめだが、フィナーレはそれなりに鳴らしている。 
この演奏に大曲感はない。特に力強さを誇示するわけでもラフマニノフの曲が持つ叙情性を強調するわけでもない。
虚飾や余分を捨てて、なお余裕のある大人のような演奏、であり、コンパクトで機能的だが血の通ったぬくもりのある演奏、である。
マツーエフやアルゲリッチなどとは全然違ったタイプの、これも名盤だと思う。
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 アシュケナージ/プレヴィン/ロンドン響

2015-05-23 22:53:16 | ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第3番

ピアノ…アシュケナージ
指揮…プレヴィン
演奏…ロンドン響
好み度…3.5(5点満点)

音色や歌のはっきりした良版ではあると思うが、良くも悪くもCDの帯にある「映画音楽そのもの」との表現にまさに納得の演奏と思う。
全体の印象も明るめであり、音色は厚く明瞭でたっぷり歌い、鳴らしどころはしっかり鳴らしてきかせどころもわかりやすくとっつきやすいが、どこか深みに欠ける印象とでもいおうか。
音質がやや固めのせいもあるかもしれない。
アシュケナージにしかない叙情性も希薄な印象である。
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