好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブルックナー 交響曲第8番 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル

2023-08-13 10:43:29 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…チェリビダッケ
演奏…ミュンヘンフィル(1993年盤)
好み度…4(5点満点)

テンポは、遅いとわかって聴いてもやはり遅い。
さすがに躍動感のようなものは感じられず、テンポを遅くして失ったもののかわりに得た魅力がどれほどか、といえば評価は分かれるかもしれない。
叙情楽章の第3楽章はチェリならではの雰囲気を聴けるような気もするが、チェリの演奏でときに聴かれるその曲が別物に思えるような新鮮味を伴うほどではないようにも思う。
むしろ終楽章に躍動感でなく叙情性を感じるあたりに新鮮味を感じる。
重量感のある立派な演奏と思うが、リスボンライヴに至高とまで言われる評価がありながらこちらにそこまでの評価がないのは、全体的に何か「活きた」ものが感じられないというか、そんな印象があるのかもしれない。これも好みの範疇かもしれないが。

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 カヒッゼ/トビリシ響/SIMIスタジオ合唱団 他

2023-08-13 10:34:44 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」

指揮…カヒッゼ 
演奏…トビリシ響
合唱…SIMIスタジオ合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)

「あれ、結構いいな」というのがまずの感想。
あれ、というのも失礼かもしれないが、どうしてなかなか堂々雰囲気のある第九である。
この人のCDはジャケットに敢えてなのか、何か一種狂人めいた頑固さを思わせたいような写真があったりネットでも「カルト的人気」なんて文句が常套のように使われてたりするが、この演奏など所謂教科書どおりでないにせよ(むしろそれがいいが)、変に我を張るものでもなく爆演と言われるようなものでもなく、むしろ金管などは少し抑え目、テンポはゆったり目にとって堂々厚みと大きさと味わいの感じられる演奏のように思う。
少し残響多めの録音もこの曲ではかえって敬虔な雰囲気を付加するようでプラスに作用しているようにも思う。
緊張感とか完成度とか切れ味とか、じゃなくてまっとうにゆったり構えた素朴な敬虔さすら感じられるような厚みと大きさがいい。
ソリストも別にまずくないし、合唱の声量と大きさも不足なし、オケの技量にも厚みにも不足はない。
難を言うなら第2楽章とかもうちょっと要所でのキレがあれば、とかということになるのかと思うけど難というほどのこともないし、巨匠と一流オケとの整った演奏とかと比べたらこなれてないところもあるかもしれないけど、情と大きさの感じられる結構味の感じられる演奏のように思う。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ブレンデル/デイヴィス/バイエルン放送響

2023-08-13 10:27:51 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ブレンデル 
指揮…デイヴィス 
演奏…バイエルン放送響
好み度…4(5点満点)

ブレンデルの80歳の誕生日を記念してのコンサートの録音とのこと。
特に深みとか美しさとかを感じるという演奏でもないかと思うが、ライヴということもあるのだろうか、常のデイヴィスやブレンデルより肩肘張らない感情的なものがちょっと表に出ているようなところが感じられる。
ブレンデルならイッセルとのほうが個人的には完成度も情熱も上のように思うし、デイヴィスによるオケも、普段のデイヴィスより威勢がいいな、とは思うけど特別に何か感銘というものまでは感じないかな。
でもやっぱりさすがにこの人たちなので、ちゃんと聴き応えのある演奏にはなっているように思う。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 アンダ/ヨッフム/アムステルダムコンセルトヘボウ管

2023-08-06 18:49:40 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…アンダ 
指揮…ヨッフム 
演奏…アムステルダムコンセルトヘボウ管 
好み度…4.5(5点満点)

出だしのオケの響きはどこか硬く、各パートの揃いぶりもどこか危なっかしいような印象を受け、このオケらしい淡く輝くような艶とか気品が感じられず、ちょっとこの名人集団らしからぬ印象を受けるが、ピアノは澄みながら和音に頼らず一音一音の血の通った力強さと美しさで聴かせるような、オケがどうだろうとこのピアノだけで聴く価値ありだな、と思わせるものを聴かせる。
オケも次第に馴染んできて、相変わらずこのオケらしいとは言えないが武骨っぽい渋い力の効いた響きを随所に聴かせてある意味このピアノにはあっているかもしれない。
ピアノは第1楽章の力もいいし、第2楽章の情を宿すような音もいいし、終楽章も少し奔放さを加えてトーンダウンすることなく、ライブの少々のムラみたいなものはあるようにも感じるが、完成度というのでなく、感銘という点で、やっぱりピアノが印象深い盤のように思う。

ブルックナー 交響曲第8番 テンシュテット/ベルリンフィル

2023-08-06 18:46:45 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…テンシュテット 
演奏…ベルリンフィル 
好み度…4(5点満点)

帯に当時のこの演奏評が紹介されている。「荘厳さは足りない。平穏さも足りない。しかしながら他にくらべ一層色彩ゆたかな演奏が聴かれた」と。
確かにそうかもしれない。多分演奏するほうもはなから荘厳とか平穏なんて気はないだろうし、もっと生身の情とか熱、そんなものを感じる。色彩とか言うよりはむしろ熱だろうか。
他の指揮者のときとちがってベルリンフィルががむしゃらになっているように聴こえるのもちょっとおもしろい。
てこでも動かないような、そんな重厚感とか大きさとかを望むなら他の演奏を聴いた方がよいと思うが、血の通った力強さと躍動感に満ちた他にはないブル8があるように思う。
やや乾きめの録音のせいもあってか熱はあってもどこか軽い印象もあって、個人的にはロンドンフィルとのライブをとる。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 大友/ジャパンヴィルトゥオーゾシンフォニーオーケストラ

2023-08-06 18:39:16 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」
指揮…大友 
演奏…ジャパンヴィルトゥオーゾシンフォニーオーケストラ 
好み度…4.5(5点満点)

どういういきさつかは知らないが、よく自分たちでこういう名前をつけたな、と思うようなオケではあるが、大友は(あまり聴いたことはないですが…)あんまりひねらずに結構ストレートに情を込めた演奏をするイメージがあって、運命にはあうかも、と思って聴いてみたといったところ。
日本の一流どころ、という割には冒頭から音が揃いきっていない印象もある(あえてなのか?)し、多分完成度とかでいえば日本のオケでも例えばインバルとの都響なんかのほうがよくできていると思うけど、それでも響きは厚く低弦もしっかり効いて結構古風な雰囲気もあって、すまして上手にまとめようというよりはかなり熱いものが感じられて、案外こういう素直に熱い運命っていいと思う。