好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー 交響曲第4番 ゲルギエフ/マリインスキー管

2021-07-23 18:22:58 | チャイコフスキー 交響曲第4番
チャイコフスキー 
交響曲第4番

指揮…ゲルギエフ 
演奏…マリインスキー管
好み度…4(5点満点)

2010年パリライブ、DVDが先行した演奏のCD盤。
よく鳴ってしっかり整って、やっぱり上の演奏だと思う。ただ、その情を訴えるようなテンポの動きとかタメは情をまとうようで熱を帯びず、どこかよそよそしくというか上手な演出めいた雰囲気も感じ、緊張感とか、ときにこの曲で聴かれる不安定な情緒を含んだような推進力のようなものを感じるということもない。
以前の演奏にはもっと情、熱、あるいは「何か」を帯びた厚い流れとかエネルギーがあったようにも思うが。昔より綺麗な演奏にはなったようには思うが何かが抜けてしまったような。
もうがっちり名は売れているからこれくらいしっかりした演奏をしておけば演じるほうも聴くほうもいい着地点なんだろうし、終楽章の明るく弾ける力感など含め何が不足するわけでもなく最初にも書いたように上の演奏であり、録音もまず良好に、拍手も盛大で、総合的に良のランクの盤なんだろうとは思いつつ、「何か」不足感を感じるところもある。何かを期待しすぎてるのかもしれないが。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 コワセヴィッチ/サヴァリッシュ/ロンドンフィル

2021-07-23 18:20:27 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…コワセヴィッチ 
指揮…サヴァリッシュ 
演奏…ロンドンフィル 
好み度…4(5点満点)

ピアノもオケも圧倒感とか情の濃さとかといったものは抑えられているが、非力なわけではなく、ここぞというときにはしっかり力強さも見せながら、静かな佇まいで上質で、騒がず力まずしっかりと美しい、大人の響きといった趣の演奏のように思う。
陰とか重さとか、そういったものを求めるならこの盤ではないように思うが、上質で美しい、しかし味気ないわけではない、そんなこの曲を聴きたいときはよい盤のように思う。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 セル/ロイヤルコンセルトヘボウ管

2021-07-23 18:15:38 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」

指揮…セル 
演奏…ロイヤルコンセルトヘボウ管
好み度…4.5(5点満点)

セルは特に好きな指揮者というわけでもないが、私の好みからみてこの曲とは相性がいいようで(というかセルとヨーロッパのオケの組み合わせはいい)、この演奏もかなり好感度大である。
セルの甘さを削ぎ落としたような厳しさがこの曲にはあうようである。加えてこの盤はコンセルトヘボウである。厳しく正攻法の音作りの中にもヨーロッパの古風な芳香が香るようで、推進力と覇気と気品を備えたかのようでスピード感を感じながら堂々覇気ある運命となっている。

チャイコフスキー 交響曲第5番 キタエンコ/ケルン・ギュルツェニヒ管

2021-07-11 17:00:28 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…キタエンコ 
演奏…ケルン・ギュルツェニヒ管 
好み度…4.5(5点満点)

音楽に流麗な流れはなく重く朴訥である。
鈍く光る金属の塊のような重さで決して器用なチャイ5ではないが、こんな武骨で重いチャイ5も悪くない。
ほの暗さを帯びた重さは第2楽章などでもよい雰囲気となっている。
悪くない、と思いながら重く武骨な演奏を聴き進んで、そんな響きに慣れた後のフィナーレは、ゆったりと、何でだかわからないが、弦に突然何かから解放されたかのような安堵感に似た光彩を放つような美しさがまとう。あるいはこの不思議な感覚がこの盤のいちばんの魅力かもしれない。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 ブレンデル/ラトル/ウィーンフィル

2021-07-11 16:57:14 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン 
ピアノ協奏曲第4番

ピアノ…ブレンデル 
指揮…ラトル
演奏…ウィーンフィル
好み度…4.5(5点満点)

皇帝もよかったけど、ここでのラトル/ウィーンフィルも流石の美しさ。
この空気はウィーンフィルならではだろうし、この類の美しさは交響曲でなくてやっぱり協奏曲だから聴けるようにも思う。
といって室内楽的なものではなく、むしろ他の盤よりもゆとりのある自然な大きさのような雰囲気を感じさせている。
ブレンデルのピアノもここでもその余裕を感じさせる美しさは上質のウィーンフィルの響きともよく合って、特に激しさや情を求めないこの曲でもあり、この曲の王道といってもよいような演奏と思う。
第1楽章終盤のカデンツァが他とちがうのが個人的にはちょっと残念。
ブレンデルのピアノもいいけど、やっぱりなんと言ってもラトル/ウィーンフィルがいい。

ブラームス ピアノ協奏曲第2番 ゼルキン/オーマンディ/フィラデルフィア管

2021-07-11 16:33:56 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第2番 

ピアノ…ゼルキン
指揮…オーマンディ
演奏…フィラデルフィア管
好み度…4.5(5点満点)

オケの大きく柔らかな覇気のある華と、ピアノの漲る気迫とほとばしるような情に彩られた、陰を感じさせる重さはないが、大きさを感じさせる堂々の演奏。
明るい大きさの中に緊張感も漂わせ、ゼルキンのピアノは力強く気概に満ちた情にあふれながらどこか純粋に澄んでいるような響きでもある。
ゼルキンは後年、セル/クリーヴランド管ともこの曲を録音しており、世間的にはセルとの盤が名盤ということになっているようだが、個人的にはオケに大きさと華、ピアノに闊達な気概と純粋な情を感じられる音色を感じるこちらに軍配。