好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 ボールト/ロンドンフィルハーモニックプロムナード管

2023-01-28 18:40:55 | ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
ベートーヴェン 
交響曲第3番「英雄」

指揮…ボールト 
演奏…ロンドンフィルハーモニックプロムナード管
好み度…4(5点満点)

ちょっと拾い物の感のあるいい盤。
オケは聞かない名前だが、HMVの紹介ではロンドンフィルと言われている(はっきりしないって…)というようなことが書いてあり、ネットではロンドンフィルとして紹介しているサイトもあり、聴いていてもしっかりしたオケであることが感じられる。
響きは所謂男性的な響き。がっちり響いて、しかし威圧的ではない。
古典的な堅固な響きながら無機的でなく、一音一音ががっちり意志をもって奏されているようであり、流麗な柔らかさや目新しさとかはないけど、古典的な力強さに温かみも漂うような、堂々たる演奏といえようか。
ボールトって、真面目(硬いという意味ではない)に、しっかりした音楽をつくる人だなぁ、と改めて思う。
テンポは普通だが、終楽章だけはゆっくりとっている。大きさを得たと聴くか、勢いを若干ながら削がれたと聴くか…、弦のかけあいとかゆっくり聴けるのもおもしろいけど、どちらかといえば後者の感を受けるかなぁ。

ブルックナー 交響曲第8番 テンシュテット/ロンドンフィル

2023-01-28 18:38:17 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…テンシュテット
演奏…ロンドン 
好み度…5(5点満点)

1981年ロイヤルフェスティバルホールでのライブ録音。
大げさに言えば、手に汗握るような、思わず引き込まれるような、そんな演奏。
何でテンシュテットはブルックナーでの評価があんまり高くないのか不思議に思う。
巨大と言うよりはしっかり引き締まったエネルギーを感じるような演奏。
情感を感じるテンポの変化をつけながら、響きは管も弦もとてもエネルギーに満ち思い切りのよさは爽快。
ときに力みすぎてか大味になってしまうこともあるこのコンビの音だが、この演奏ではしっかりまとまってもいる。
低弦やティンパニが要所でしっかり効いて響きに厚みというか凄みというかを与えているのもテンシュテットらしいか。
金管の重ね方も随所でカッコいいな、と感じさせるものがある。
ロンドンっ子の拍手はここでも盛大。
荘厳とか深遠とか、そういったタイプではないが、大層ぶることなく、大きな活きたエネルギーに満ちた、この大曲を少しの弛緩も感じさせずにあっという間に聴かせてしまうような、そんな演奏のように思う。

マーラー 交響曲第5番 プレートル/ウィーン響

2023-01-28 18:35:54 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー 
交響曲第5番

指揮…プレートル 
演奏…ウィーン響 
好み度…4(5点満点)

例えばアダ-ジェットは、遠くや幻想を静かに想うアダージェットでなく、もっと生々しい、甘美で重くて熱い情を託した歌のようであり、どこかのレヴューにあったが、こうなると確かにこの楽章はラブレターなのだと思う。
全体的に大味と言えばそうかもしれないし、少なくとも完成度を求めるならもっと上をいく盤は数多あるだろう。
多分プレートルも精密で整った演奏をしようと思っていないと思う。しかし、この、上手い下手でなく、思いをどこまでそのままに伝えられるかに割り切ったようなたような濃い響きは、捨て難い魅力のようにも思う。

ブルックナー 交響曲第8番 シャイー/ロイヤルコンセルトヘボウ管

2023-01-21 17:54:48 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…シャイー 
演奏…ロイヤルコンセルトヘボウ管
好み度…5(5点満点)

華と奥行きのある大きさと高い完成度といろんな意味でのバランスのよさと…、いろんなものを高い次元でしっかり備えたブルックナーのように思う。
シャイーはここでも彩りのある粋を感じさせるしコンセルトヘボウの響きは艶と輝きを感じさせ、録音もよい。
スケルツォも堂々としたものだしアダージョの明るい艶に満ちた美しさもこのコンビならではだろう。
圧倒感といったようなものこそ感じないが、颯爽と、艶と華と奥行きをもった、むしろその華が軽さに聴こえるようなら、好みによってはそれが難といえるかもしれないような、そんなブル8のように思う。

ブラームス ピアノ協奏曲第2番 アラウ/マルケヴィチ/フランス国立管

2023-01-21 17:48:06 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)
ブラームス 
ピアノ協奏曲第2番

ピアノ…アラウ 
指揮…マルケヴィチ
演奏…フランス国立管 
好み度…4.5(5点満点)

一種特異な雰囲気を感じさせる。重い。
この重さはアラウのピアノによるところが大きいだろう。
オケもフランス国立管から連想させる明るさというよりはやはり重い。
しかし両者相まってのその重みは結構気持ちいい。
1976年のローザンヌ国際音楽祭でのライブ録音のようだが、録音はちょっと不安定な箇所もないわけではないが音質等、聴くに支障はない。
アラウの録音としてはジュリーニとの盤が1960~1962年くらい、ハイティンクとの盤は1969年の録音のようだから、その後。
マルケヴィチのこの曲はコンセルトヘボウとの録音があるようがだあまり録音状態はよくないようで、私はマルケヴィチは結構好きなのでこれは結構貴重な盤のように思う。
ピアノもオケも華やいだ雰囲気からは縁遠いところにあり、ピアノもミスタッチとかちょこちょこありそうだし、洗練された完成度とかを求めるならこの盤はないと思うが、何かピアノもオケも重さの中に迫力を感じるというか、この重さは結構この盤ならではであり魅力のように思う。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 キーシン/デイヴィス/ロンドン響

2023-01-21 17:45:13 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン 
ピアノ協奏曲第4番

ピアノ…キーシン 
指揮…デイヴィス 
演奏…ロンドン響
好み度…4.5(5点満点)

ピアノは叙情的でたっぷりの情を濁りなく込めて、静かに美しく、デイヴィスの優しく繊細な美しい響きは皇帝ではちょっと力不足の感も受けたがこの曲には合っているように思われ、全体の趣として情の込もった夜想曲といった感を受けるくらいに叙情的で静かな美しさを漂わせているように思う。終楽章は力と華を少しくわえて華やかな雰囲気で〆ている。

ブルックナー 交響曲第5番 フリーデル/ロンドン響

2023-01-15 09:36:28 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第5番

指揮…フリーデル 
演奏…ロンドン響
好み度…4.5(5点満点)

特に何と言うのでもないのだけど、どことなく透明感というか清涼感みたいなものがあって、しっかりしていて美しい。
ごく自然で、退屈しない。
決めるとこは颯爽と決めて。
ジャケットの真っ青な空にアルプス風の雪のついた颯爽とした山岳、のイメージがよく合っている。
その颯爽とした自然な活力と清涼感が気持ちのよい、ちょっと他と違う空気感をもったブル5であり、有名な盤ではないのだろうけど、なんか、いい。
あまり有名じゃない分、ちょっといい拾い物をしたような感もあり。

マーラー 交響曲第5番 ベルティーニ/ウィーン響

2023-01-15 09:36:28 | マーラー 交響曲(第2番「復活」 第5番)
マーラー 
交響曲第5番

指揮…ベルティーニ 
演奏…ウィーン響
好み度…4.5(5点満点)

完成度の高さとかうまさとか、そういったものを感じる演奏ではない。
ただ、実直でどこか古風で重みのある中に生身の熱とほんのり甘みを漂わせたような響きは捨て難い味わいがある。
整いきっていないことも含めて生身ならではの熱とか滋味を感じるような、実直で血の通ったようなマーラーのように思う。
特にアダージェットは重く美しい弦がゆったりしたテンポの中絡んで、上質の抑えの効いたとろけるような深みのある甘さと言うか、絶品といってよい域かと。

ブラームス 交響曲第2番 コンドラシン/ロイヤルコンセルトヘボウ管

2023-01-15 09:34:02 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番

指揮…コンドラシン 
演奏…ロイヤルコンセルトヘボウ管
好み度…5(5点満点)

湿り気や粘着質は伴わないがしっかり感じられる情と熱と、がっちり統率のとれつつ開放感も重みもある力強さと、終楽章の爆発力と豪快さを伴うようなフィナーレと、名盤でしょうなぁ、これは。

ブルックナー 交響曲第8番 ズヴェーデン/オランダ放送響

2023-01-07 10:13:58 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…ズヴェーデン 
演奏…オランダ放送響
好み度…5(5点満点)

美しく、力強く、雄大。いいブル8である。
大きく丁寧で、その丁寧が少しも堅苦しさを感じさせていない。録音もいい。
テンポは基本的にゆったりとり、寄せて返す波が絶えず変化を生じながら自然に大きな起伏を見せるような、自然で大きく心地よいものを感じる。
第3楽章ではウィーンフィルのような特殊な美音はないが響きは深遠、他の盤にはちょっとないくらい大きく、そして美しい。
終楽章も力まず尖らずしかし力に満ちて雄大、ときに美しく、ときにワクワクするような躍動感も感じさせる。
この指揮者は大きな曲を大きく演奏するのに秀でているように思う。
巨大な城塞のようでありながら深遠な森林をも連想させるような、力強く、美しく、大きい、いいブル8である。