好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番 イッセルシュテット/NDR響

2018-02-12 10:18:26 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」

指揮…イッセルシュテット
演奏…NDR響
好み度…5(5点満点)

1970年ライブ。
イッセルシュテットのライブは、オーソドックスに、しっかりつくられた音に頑固な職人の覇気のような熱が加わって緊張感と力感漲る剛毅な響きとなって、厳格であり情熱的であり、心地よい。
この演奏でのNDRは重厚かつ熱気に満ち、ベートーヴェンの激しい気迫を響きで表しているかのようである。
私が聴いたのは新しい多分リマスターされた盤なので、音質がよくなったのもますますこの演奏のよさを伝えていると思う。
第1楽章の、重く鈍い刃のような力のこもった実直な激しさと響きは何ともよく、この楽章の醍醐味を聴くようであり、第2楽章もそのまま緊張感と熱にあふれた力漲る響き。
第3楽章はうっとりするような、というのとは違うかもしれないが、明るくストレートで実直な美しさは心地よい。普通のようでも艶と重みのあるNDRの響きも一役買っているかもしれない。
終楽章もオケは冒頭のコントラバスの響き、歓喜の主題での弦の響きから艶と活力に満ち、独唱陣も充実。合唱団は活き活きと力強く、男声女声ともにしっかり響いてアンサンブルも豊かに力強い(男声がちゃんと響いているというのもこの演奏には合っている)。そしてそっくり包まれるようなスケール感とその空気感から生じる力強さと美しさは、オケといっしょになって熱く活きた力に満ちた音楽を雄大に響き渡らせて感動的。
いろんな第九があるだろうけど、その響きと激しさにベートーヴェンならではのものを感じ、そのスケール感に第九ならではのものを感じる、感動的な一級の名演・名盤。

ブラームス 交響曲第1番 チェリビダッケ/シュツットガルト放送響

2018-02-12 10:10:51 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…チェリビダッケ
演奏…シュツットガルト放送響
好み度…4(5点満点)

一音一音丁寧に美しく完成度も高く、独特の雰囲気を色濃く湛えている。
音の強弱とかテンポとか、結構独自の解釈があるし、分厚い重厚感や燃焼感のようなものが感じられるわけでもなく、第1楽章なんかを聴いていると、いい響きなんだけどそこかしこで唐突に肩透かしを食うような、ちょっとちぐはぐした感覚も受け、何となくブラ1らしくない感もある。とはいえ、その響きは美しく完成度高く、第2、第3楽章は神経の行き届いた美しさを聴かせ、終楽章のホルンの雄大な強奏なんかは、やっぱりチェリでしか聴けないし、例の主題もしっとり美しい。チェリが若い分か響きに瑞々しさも感じられて(チェリの元気な声もそこここで健在)、録音もいい。
他では聴かれないものが随所で聴かれるのは確かであるが、個人的な好みとしては、何か全体的にしっくりこないところがあって、どこか微妙な位置づけの盤である。多分、あちこちでの特有の処理が普通のブラ1としては違和感を感じさせ、部分的なよさはあっても全体的にチェリらしい何かに昇華されているかといえばそこまでも感じられず、その響きの美しさや完成度の割には不完全燃焼感が残る印象を受けるのかもしれない。

チャイコフスキー 交響曲第4番 パッパーノ/聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団

2018-02-12 10:06:17 | チャイコフスキー 交響曲第4番
チャイコフスキー 
交響曲第4番 

指揮…パッパーノ
演奏…聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団
好み度…4.5(5点満点)

深みとは違うが、若々しい活力を感じさせる弦に結構爽快に力強く鳴る金管、洗練さと力感とを兼ね備えた響きと心地よい歌心も感じさせる快演のように思う。
第1楽章は弦と金管ともによく鳴りながら両者のバランス、洗練さと力感のバランスともに心地よく、特に劇的だったり情感濃かったりするわけではないが、ほんのりとこの曲特有の雰囲気も醸しつつしっかり演奏されている。
第2楽章はもう少し雰囲気を出してほしいかな、という気もしないではないが、音量控えめにバレエ音楽の小品的な雰囲気の第3楽章の後の終楽章は冒頭の力感も爽快に、ときに他の演奏で聴かれる熱狂的なお祭り的熱さこそ感じないが、しっかりした力感で奏しきっている。
全体的にこの曲らしさもほのかに感じさせながら洗練さと力感をバランスよく備えた良演と思う。